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40話 フィンレイの真実と、綺麗な炎の鳥とピィ君の登場
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宿舎から連れて来られて、どれくらい移動したのか。たぶん1時間以上は離れた場所まで来たと思うんだけど。私は今、どこかのボロボロの建物にいる。
ここまで来るまでに、何度変な移動の仕方をしたか。ライトノベルや漫画によくある、転移魔法や、そういう関係の魔法を使ったんだと思うんだけど。
ただ、とっても遠くまで移動したり、ちょっと長めに移動したり、下手をしたら、ほんの数メートルどころか、目の前にしか進まないこともあって。変に周りの景色が変わるから、途中で酔っちゃってね。ようやく今、落ち着いてきたところだよ。
そして、私を連れて来たフィンレイだけど。私を連れて来てから、突然大声を出したり、静かになったり、丁寧に話し始めたかと思えば、乱暴な口調になったりと、宿舎と同じ感じで。それでずっと、独り言を言っているんだ。
私の方へは来ないから、それだけは今のところ助かっているかな。絶対に、アンドリューさんたちが迎えに来てくれるはずだから、このまま、私を放っておいてくれると良いんだけど。
ただ、ここへ来てからずっと、独り言を言っているフィンレイのおかげで、フィンレイのことで、分かったことがたくさんあるんだ。それは、後でアンドリューさんたちに、伝えないとダメなものばかりでね。
まず、向こうで聞いた、お前たち野蛮人のせいでとか、あのまま死んでいればよかったんだとか、全員回復しやがってと、フィンレイが言っていたことに関してね。
この言い方に、アンドリューさんたちだけじゃなく私も、フィンレイが今回の獣衰病に関わっている? と思ったけど。やっぱり間違っていなかったみたい。
私の用意した薬は、完璧なものだったはず。あれを作るまでに、どれだけ苦労したか。現に最初は、自分が思った以上に、奴らによく効いていたのだ。
私が、私が作ったんだ。私が完璧な獣衰病を。魔獣、獣人、全ての下級な生き物たちを消すための。なんて言っていて。
ね? これはもう、フィンレイが今回のことをやったで、ほぼ間違いないでしょう。
それから、獣衰病に関してだけど。フィンレイが時々、彼の方って口にすることがあって。その人はとっても偉い人で、フィンレイはその人のことを、とても崇拝している感じだったんだけど……。
どうも今回、フィンレイが総団長さんたちを殺せなかったことで、その人に失望されたらしい。
……いや、違う。その人は、実は最初からフィンレイに、まったく期待していなくて。ただただ、フィンレイに危険な仕事を押し付けただけだったみたい。
なんか、新しい力を生み出したとかで。たぶん、フィンレイにまとわりついている、あの気持ち悪い黒い物。あれが、新しい力っぽいんだけど。
実験をしないで、新しい力を使うのは危険でしょう? だから、その人たちは、その力を安全に使うことができるか、フィンレイで実験したらしい。そう、フィンレイは実験体だったんだよ。
そして、獣衰病のことは、それをやらせるついでだったみたい。実験には、ちょうど良いって。
それなのに、フィンレイは、そのことを知らず、自分は優秀だから選ばれたのだと信じ、その力を使うために訓練をしてきて。
そして、力が使えるようになるのと同時に、どうやったか、それは分からなかったけど、フィンレイ自身も、獣人たちを獣衰病にする薬を開発することに成功。そして、いよいよ、計画を実行に移したんだ。
だけど、結局は? ニーンのおかげで、みんなは助かって。フィンレイは、崇拝していた人から、期待されていなかったことを知り、実験体だと言われるわ。
挙句の果てには、これからは、自分が格下だと思っていた相手に付けって言われたみたい。そして、その格下だと思っていた人こそが、フィンレイが信頼していた人が、本当に信頼している人だったらしい。
と、いうようなことを、ずっと誰に対してということもなく、ずっと話していたよ。
うん、話を聞いただけなら、そりゃあ怒りたくもなるよなって思う。それにフィンレイが自分を優秀だって思うっているのも、獣衰病の薬を作るくらいなんだから、確かに優秀なんだろう。
それなのにフィンレイが崇拝している人は、フィンレイを実験体にするなんて。その人の周りにはどれだけの優秀な人たちが居るのか。
もしかしてフィンレイがおかしくなっちゃったのは、その新しい力の副作用だったりして。それか、現実が受け入れられずに、本当におかしくなっちゃったとか。
まぁ、フィンレイにそういうことがあったからと言って、~同情する気にはなれないけどね。自分だって総団長さんたちの命を脅かしたし。ここへきてからずっと、酷いことを言いまくってるんだから。
獣人差別が酷いんだよ。下級の生き物だとか、野蛮な、生きていちゃいけない種族だとか。まぁ、いろいろ言ってるの。
どうも、そんな考えの人たちが集まっている組織? に、フィンレイは属しているみたい。それで、フィンレイが崇拝している人も、フィンレイは信用していなかったけれど、あの獣衰病で少しでも獣人が死ねば、儲けものだったと言っていたみたい。
本当に、最悪な人たちだよ。みんなが何をしたって言うんだ。まさかこの世界に、こんな人たちがいたなんてね。
「くそ、くそっ、今頃私は。私はもっと上にいるべき人間なんだ。それなのに、それなのに……。ぐ、ぐあぁぁぁ」
な、何!? と、フィンレイの独り言を、聴いている時だった。
今まで怒っているだけだったフィンレイが、突然苦しみ出すと、体にまとわりついている黒い物が、また炎みたいになって、フィンレイを包み込み。完璧に姿が隠れたフィンレイは倒れると、その辺をゴロゴロと転がり始めたんだ。
「ぐあぁぁぁ!?」
私はそっとそっと、できる限りでフィンレイから離れる。だけど、その途中だった。私は床に座っている状態だったんだけど、そんな私の足元に、グサッとナイフが刺さったんだ。そして前を見れば……。
顔に、黒い線みたいな模様が浮かび上がって、とても顔色の悪いフィンレイが立っていたよ。黒い炎は消えずに、少し色を薄くして、体にまとわりついたまま。だから、一応体は見えるかな。
「はぁ、はぁ、ようやく少し落ち着きましたかね」
「!?」
「まったく、この力を扱うのも大変ですよ。ですが、ここまで来ればあと少し。私を馬鹿にした格下のあれにも、私の才能と力の違いを、分からせてさしあげましょう」
そう言いながら、私のことを見てきたフィンレイ。
「申し訳ありませんでした。しっかりと相手ができずに。ですがこれからは、いつもの私に戻りますので、安心してください。今から私たちの拠点に戻り、あなたを徹底的に調べますよ。さぁ、行きましょう」
口調と動作が、元のフィンレイに戻った? 本当に?
今までのことがあったからか、少しよろけながら、でも確実に私に近づいてくるフィンレイ。フィンレイは、手にナイフを持っている。さっき、私の足元に刺さったナイフ。たぶん動くとまた、ナイフが飛んでくるだろう。
私は動けず、ただフィンレイが近づいてくるのを、見ていることしかできなくて。そうして数秒もすれば、目の前にはフィンレイが。私に伸びてくるフィンレイの手。私は、ギュッと目をつぶった……。と、その時。
『ピギャアァァァッ!!』
突然、大きな鳴き声が、頭の上から聞こえてきて、思わず目を開ける私。すると、私とフィンレイの間に、白っぽいベールのような物が張られていて、それに、フィンレイの手が弾かれたんだ。
「くっ! 一体、何が!?」
上を向くフィンレイ。
「ピギャアァァァ!!」
また鳴き声が聞こえて、私も上を向く。
私たちがいるのは、ボロボロの建物だからね。屋根が落ちているところから、外を見ることができたんだ。
そうしたら上空に、フィンレイみたいに気持ち悪い炎じゃなくて、とても綺麗で、暖かく感じる炎に包まれている、とても大きな鳥が旋回していたんだ。
そして鳥から、キラキラしたラメみたいな物が、私に降り注いでいて。そのキラキラした物が、ベールを形成しているみたいだった。
「……きれい」
思わず、そう言った私。ただ、フィンレイは、
「あれは……なぜここに? 急に現れたと思えば、どうしても私の邪魔を?」
どうもフィンレイは、あの鳥のことを知っているみたいだったよ。だけど、すぐに私の方に視線を戻してきて。それに身構える私。
それから少しの間フィンレイは、このベールのような結界みたいなものを、何度もあの黒い物で攻撃。でも、びくともしない結界にイライラし始めて。今度は上空の鳥を攻撃し始めたんだ。
「あぶない!!」
「ぴぎゃあぁぁぁ!」
ふう、ちゃんと避けてくれてる。もうね、鳥が攻撃されるたびに、気が気じゃなかったよ。だってそうでしょう? 何であの鳥が、私を守ってくれているのかは分からないけど。でも、私のせいで、怪我をしたり、何かあったりしたら、そんなの嫌だもん。ただ……。
「なぜあれは攻撃してこない? ……もしかして、生まれたばかりなのか?」
急に、鳥への攻撃をやめたフィンレイ。
「ならば、あちらを攻撃せずとも、こちらを攻撃していれば、そのうち、この結界を破ることができるはず。あれも、こちらに来る気はなさそうですし。こちらに集中しましょうかね」
そう言って、また結界へ攻撃を始めるフィンレイ。鳥が狙われなくなったのは良いけど、いつまで、鳥が張ってくれた結界が持つのか。私は壁際まで移動して、いつフィンレイが私の方へ来ても良いように身構える。
それからどれだけ経ったか。急にフィンレイが手を止めたんだ。そして、おかしかった時のように顔を歪めて。
「いまさら攻撃してきますか」
そう言ったの。それとほぼ同時に鳥が大きく、
『ピギャアァァァッ!!』
と鳴き、屋根に突撃してきたんだ。それと同時に、炎が一面に広がって、私は目を瞑ったよ。だけどすぐに、
『ぴぃっ!!』
と声が聞こえて、私は慌てて目を開けて振り向いた。
私のすぐ後ろには部屋があり、壁は半分ほど崩れていてね。その崩れた壁のところまで、下がって逃げていた私。
その隣の部屋から、何とピィ君が飛んできて。フィンレイの攻撃でも壊れなかった結界を通り抜け、まっすぐに私の胸へと飛び込んできたんだ。そんなピィ君を、抱きしめる私。
「ぴぃくん!! どちてここにいるの!? しょれにけっかいは?」
『ぴぴぴーっ!!』
「あの鳥はどこへ? 今の攻撃で、周りは全部やられてしまいましたかね。それに……」
フィンレイが何とも言えない、笑い顔を浮かべながら、
「あなたを助けに、野蛮で下級の生き物が来たみたいですよ」
そう、私に言ってきて。そして、その言葉が終わると同時に、
「リア!!」
「無事か!?」
総団長さんたちが、板のはまっていない窓や、ボロボロの壁を破りながら、建物に入ってきたんだ。
ここまで来るまでに、何度変な移動の仕方をしたか。ライトノベルや漫画によくある、転移魔法や、そういう関係の魔法を使ったんだと思うんだけど。
ただ、とっても遠くまで移動したり、ちょっと長めに移動したり、下手をしたら、ほんの数メートルどころか、目の前にしか進まないこともあって。変に周りの景色が変わるから、途中で酔っちゃってね。ようやく今、落ち着いてきたところだよ。
そして、私を連れて来たフィンレイだけど。私を連れて来てから、突然大声を出したり、静かになったり、丁寧に話し始めたかと思えば、乱暴な口調になったりと、宿舎と同じ感じで。それでずっと、独り言を言っているんだ。
私の方へは来ないから、それだけは今のところ助かっているかな。絶対に、アンドリューさんたちが迎えに来てくれるはずだから、このまま、私を放っておいてくれると良いんだけど。
ただ、ここへ来てからずっと、独り言を言っているフィンレイのおかげで、フィンレイのことで、分かったことがたくさんあるんだ。それは、後でアンドリューさんたちに、伝えないとダメなものばかりでね。
まず、向こうで聞いた、お前たち野蛮人のせいでとか、あのまま死んでいればよかったんだとか、全員回復しやがってと、フィンレイが言っていたことに関してね。
この言い方に、アンドリューさんたちだけじゃなく私も、フィンレイが今回の獣衰病に関わっている? と思ったけど。やっぱり間違っていなかったみたい。
私の用意した薬は、完璧なものだったはず。あれを作るまでに、どれだけ苦労したか。現に最初は、自分が思った以上に、奴らによく効いていたのだ。
私が、私が作ったんだ。私が完璧な獣衰病を。魔獣、獣人、全ての下級な生き物たちを消すための。なんて言っていて。
ね? これはもう、フィンレイが今回のことをやったで、ほぼ間違いないでしょう。
それから、獣衰病に関してだけど。フィンレイが時々、彼の方って口にすることがあって。その人はとっても偉い人で、フィンレイはその人のことを、とても崇拝している感じだったんだけど……。
どうも今回、フィンレイが総団長さんたちを殺せなかったことで、その人に失望されたらしい。
……いや、違う。その人は、実は最初からフィンレイに、まったく期待していなくて。ただただ、フィンレイに危険な仕事を押し付けただけだったみたい。
なんか、新しい力を生み出したとかで。たぶん、フィンレイにまとわりついている、あの気持ち悪い黒い物。あれが、新しい力っぽいんだけど。
実験をしないで、新しい力を使うのは危険でしょう? だから、その人たちは、その力を安全に使うことができるか、フィンレイで実験したらしい。そう、フィンレイは実験体だったんだよ。
そして、獣衰病のことは、それをやらせるついでだったみたい。実験には、ちょうど良いって。
それなのに、フィンレイは、そのことを知らず、自分は優秀だから選ばれたのだと信じ、その力を使うために訓練をしてきて。
そして、力が使えるようになるのと同時に、どうやったか、それは分からなかったけど、フィンレイ自身も、獣人たちを獣衰病にする薬を開発することに成功。そして、いよいよ、計画を実行に移したんだ。
だけど、結局は? ニーンのおかげで、みんなは助かって。フィンレイは、崇拝していた人から、期待されていなかったことを知り、実験体だと言われるわ。
挙句の果てには、これからは、自分が格下だと思っていた相手に付けって言われたみたい。そして、その格下だと思っていた人こそが、フィンレイが信頼していた人が、本当に信頼している人だったらしい。
と、いうようなことを、ずっと誰に対してということもなく、ずっと話していたよ。
うん、話を聞いただけなら、そりゃあ怒りたくもなるよなって思う。それにフィンレイが自分を優秀だって思うっているのも、獣衰病の薬を作るくらいなんだから、確かに優秀なんだろう。
それなのにフィンレイが崇拝している人は、フィンレイを実験体にするなんて。その人の周りにはどれだけの優秀な人たちが居るのか。
もしかしてフィンレイがおかしくなっちゃったのは、その新しい力の副作用だったりして。それか、現実が受け入れられずに、本当におかしくなっちゃったとか。
まぁ、フィンレイにそういうことがあったからと言って、~同情する気にはなれないけどね。自分だって総団長さんたちの命を脅かしたし。ここへきてからずっと、酷いことを言いまくってるんだから。
獣人差別が酷いんだよ。下級の生き物だとか、野蛮な、生きていちゃいけない種族だとか。まぁ、いろいろ言ってるの。
どうも、そんな考えの人たちが集まっている組織? に、フィンレイは属しているみたい。それで、フィンレイが崇拝している人も、フィンレイは信用していなかったけれど、あの獣衰病で少しでも獣人が死ねば、儲けものだったと言っていたみたい。
本当に、最悪な人たちだよ。みんなが何をしたって言うんだ。まさかこの世界に、こんな人たちがいたなんてね。
「くそ、くそっ、今頃私は。私はもっと上にいるべき人間なんだ。それなのに、それなのに……。ぐ、ぐあぁぁぁ」
な、何!? と、フィンレイの独り言を、聴いている時だった。
今まで怒っているだけだったフィンレイが、突然苦しみ出すと、体にまとわりついている黒い物が、また炎みたいになって、フィンレイを包み込み。完璧に姿が隠れたフィンレイは倒れると、その辺をゴロゴロと転がり始めたんだ。
「ぐあぁぁぁ!?」
私はそっとそっと、できる限りでフィンレイから離れる。だけど、その途中だった。私は床に座っている状態だったんだけど、そんな私の足元に、グサッとナイフが刺さったんだ。そして前を見れば……。
顔に、黒い線みたいな模様が浮かび上がって、とても顔色の悪いフィンレイが立っていたよ。黒い炎は消えずに、少し色を薄くして、体にまとわりついたまま。だから、一応体は見えるかな。
「はぁ、はぁ、ようやく少し落ち着きましたかね」
「!?」
「まったく、この力を扱うのも大変ですよ。ですが、ここまで来ればあと少し。私を馬鹿にした格下のあれにも、私の才能と力の違いを、分からせてさしあげましょう」
そう言いながら、私のことを見てきたフィンレイ。
「申し訳ありませんでした。しっかりと相手ができずに。ですがこれからは、いつもの私に戻りますので、安心してください。今から私たちの拠点に戻り、あなたを徹底的に調べますよ。さぁ、行きましょう」
口調と動作が、元のフィンレイに戻った? 本当に?
今までのことがあったからか、少しよろけながら、でも確実に私に近づいてくるフィンレイ。フィンレイは、手にナイフを持っている。さっき、私の足元に刺さったナイフ。たぶん動くとまた、ナイフが飛んでくるだろう。
私は動けず、ただフィンレイが近づいてくるのを、見ていることしかできなくて。そうして数秒もすれば、目の前にはフィンレイが。私に伸びてくるフィンレイの手。私は、ギュッと目をつぶった……。と、その時。
『ピギャアァァァッ!!』
突然、大きな鳴き声が、頭の上から聞こえてきて、思わず目を開ける私。すると、私とフィンレイの間に、白っぽいベールのような物が張られていて、それに、フィンレイの手が弾かれたんだ。
「くっ! 一体、何が!?」
上を向くフィンレイ。
「ピギャアァァァ!!」
また鳴き声が聞こえて、私も上を向く。
私たちがいるのは、ボロボロの建物だからね。屋根が落ちているところから、外を見ることができたんだ。
そうしたら上空に、フィンレイみたいに気持ち悪い炎じゃなくて、とても綺麗で、暖かく感じる炎に包まれている、とても大きな鳥が旋回していたんだ。
そして鳥から、キラキラしたラメみたいな物が、私に降り注いでいて。そのキラキラした物が、ベールを形成しているみたいだった。
「……きれい」
思わず、そう言った私。ただ、フィンレイは、
「あれは……なぜここに? 急に現れたと思えば、どうしても私の邪魔を?」
どうもフィンレイは、あの鳥のことを知っているみたいだったよ。だけど、すぐに私の方に視線を戻してきて。それに身構える私。
それから少しの間フィンレイは、このベールのような結界みたいなものを、何度もあの黒い物で攻撃。でも、びくともしない結界にイライラし始めて。今度は上空の鳥を攻撃し始めたんだ。
「あぶない!!」
「ぴぎゃあぁぁぁ!」
ふう、ちゃんと避けてくれてる。もうね、鳥が攻撃されるたびに、気が気じゃなかったよ。だってそうでしょう? 何であの鳥が、私を守ってくれているのかは分からないけど。でも、私のせいで、怪我をしたり、何かあったりしたら、そんなの嫌だもん。ただ……。
「なぜあれは攻撃してこない? ……もしかして、生まれたばかりなのか?」
急に、鳥への攻撃をやめたフィンレイ。
「ならば、あちらを攻撃せずとも、こちらを攻撃していれば、そのうち、この結界を破ることができるはず。あれも、こちらに来る気はなさそうですし。こちらに集中しましょうかね」
そう言って、また結界へ攻撃を始めるフィンレイ。鳥が狙われなくなったのは良いけど、いつまで、鳥が張ってくれた結界が持つのか。私は壁際まで移動して、いつフィンレイが私の方へ来ても良いように身構える。
それからどれだけ経ったか。急にフィンレイが手を止めたんだ。そして、おかしかった時のように顔を歪めて。
「いまさら攻撃してきますか」
そう言ったの。それとほぼ同時に鳥が大きく、
『ピギャアァァァッ!!』
と鳴き、屋根に突撃してきたんだ。それと同時に、炎が一面に広がって、私は目を瞑ったよ。だけどすぐに、
『ぴぃっ!!』
と声が聞こえて、私は慌てて目を開けて振り向いた。
私のすぐ後ろには部屋があり、壁は半分ほど崩れていてね。その崩れた壁のところまで、下がって逃げていた私。
その隣の部屋から、何とピィ君が飛んできて。フィンレイの攻撃でも壊れなかった結界を通り抜け、まっすぐに私の胸へと飛び込んできたんだ。そんなピィ君を、抱きしめる私。
「ぴぃくん!! どちてここにいるの!? しょれにけっかいは?」
『ぴぴぴーっ!!』
「あの鳥はどこへ? 今の攻撃で、周りは全部やられてしまいましたかね。それに……」
フィンレイが何とも言えない、笑い顔を浮かべながら、
「あなたを助けに、野蛮で下級の生き物が来たみたいですよ」
そう、私に言ってきて。そして、その言葉が終わると同時に、
「リア!!」
「無事か!?」
総団長さんたちが、板のはまっていない窓や、ボロボロの壁を破りながら、建物に入ってきたんだ。
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