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二部
◇アーノルト夫妻◆
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……。
その日もオデットは、はやく休むように言いつけられていたのでランヴァルドが戻る前にベッドに入ったのだが。
眠りにおちてしばらく経った頃、頬にくすぐったさを感じて目がさめた。
「――ん」
うっすら瞳を開くと、首筋をなぞっていた指先がとまる。
「……すまない。起こしてしまったね、オデット」
「……ランヴァルド様?」
夫の声が聞こえて、オデットはそちらへ視線を向ける。
「ただいま、オデット」
「おかえりなさいませ」
まだ少し眠たい頭を起こして彼と向きあうと、そのまま抱きしめられた。
「可愛いオデット、今日はザクセンとなにを話していたんだい?
私は彼と親しくしないでくれと言ったはずだが」
「それならばランヴァルド様、どうしてザクセンさんと親しくないなんて嘘を言ったのです? 理由を教えてほしいです」
「理由か……」
ランヴァルドはしばし考え、言いたくはなさそうに口をひらいた。
「ザクセンは昔からきみを女性として好いているから、かな」
「――はい?」
「あれはもう十年くらい前のことだが、私と一緒にいた時にきみを見かけて、そのまま恋におちたようでね」
「な、なにをおっしゃっているんです?」
「理由を聞いたのはきみだろう?」
少し意地悪く笑って、ランヴァルドはオデットの唇を指先でなぞる。
「今も諦めていないようだから、親しくしないでほしいと言っただけだよ」
「ランヴァルド様、それはきっとなにかの間違いです、ザクセンさんはたしかに優しいおかたですが、私に、そんな……っ」
ありえないことだと否定しようとすると、言葉を遮るように口づけられた。
「オデット、きみはなにも分かっていない。多くの感情にはすばやく気づくのに、自分に向けられる好意には気づかない」
「で、ですが、ザクセンさんと正式な形で会ったのはつい先日で……」
「一目惚れだったんだよ。ザクセンはね、誰にでも優しいわけじゃない。むしろ普段はもっと冷たい態度をとる人間だよ、だけどきみにだけは優しくする、知っている人間が見ればひとめできみに抱いている感情が分かるよ」
だからね、と続けて、ランヴァルドはオデットを抱き寄せるとその首筋にキスをする。
「いいこだからオデット、あまり私を不安にさせないでくれ」
「――それでしたら」
オデットは勇気をふりしぼり、自らもランヴァルドの首筋にキスをする。
「私だって、不安……なのですよ?」
「……オデット」
驚いたようすのランヴァルドは、ふと笑みを浮かべてオデットをきつく抱きしめた。
「私はきみ以外だれのことも愛さないよ。だからそんなに不安そうな顔をしないでくれ」
髪を撫でられて、オデットは安心したようにランヴァルドの肩に頬をすりよせる。
――きっと大丈夫。
そう思って瞳を閉じたのだが、問題はすぐに起きた。
その日もオデットは、はやく休むように言いつけられていたのでランヴァルドが戻る前にベッドに入ったのだが。
眠りにおちてしばらく経った頃、頬にくすぐったさを感じて目がさめた。
「――ん」
うっすら瞳を開くと、首筋をなぞっていた指先がとまる。
「……すまない。起こしてしまったね、オデット」
「……ランヴァルド様?」
夫の声が聞こえて、オデットはそちらへ視線を向ける。
「ただいま、オデット」
「おかえりなさいませ」
まだ少し眠たい頭を起こして彼と向きあうと、そのまま抱きしめられた。
「可愛いオデット、今日はザクセンとなにを話していたんだい?
私は彼と親しくしないでくれと言ったはずだが」
「それならばランヴァルド様、どうしてザクセンさんと親しくないなんて嘘を言ったのです? 理由を教えてほしいです」
「理由か……」
ランヴァルドはしばし考え、言いたくはなさそうに口をひらいた。
「ザクセンは昔からきみを女性として好いているから、かな」
「――はい?」
「あれはもう十年くらい前のことだが、私と一緒にいた時にきみを見かけて、そのまま恋におちたようでね」
「な、なにをおっしゃっているんです?」
「理由を聞いたのはきみだろう?」
少し意地悪く笑って、ランヴァルドはオデットの唇を指先でなぞる。
「今も諦めていないようだから、親しくしないでほしいと言っただけだよ」
「ランヴァルド様、それはきっとなにかの間違いです、ザクセンさんはたしかに優しいおかたですが、私に、そんな……っ」
ありえないことだと否定しようとすると、言葉を遮るように口づけられた。
「オデット、きみはなにも分かっていない。多くの感情にはすばやく気づくのに、自分に向けられる好意には気づかない」
「で、ですが、ザクセンさんと正式な形で会ったのはつい先日で……」
「一目惚れだったんだよ。ザクセンはね、誰にでも優しいわけじゃない。むしろ普段はもっと冷たい態度をとる人間だよ、だけどきみにだけは優しくする、知っている人間が見ればひとめできみに抱いている感情が分かるよ」
だからね、と続けて、ランヴァルドはオデットを抱き寄せるとその首筋にキスをする。
「いいこだからオデット、あまり私を不安にさせないでくれ」
「――それでしたら」
オデットは勇気をふりしぼり、自らもランヴァルドの首筋にキスをする。
「私だって、不安……なのですよ?」
「……オデット」
驚いたようすのランヴァルドは、ふと笑みを浮かべてオデットをきつく抱きしめた。
「私はきみ以外だれのことも愛さないよ。だからそんなに不安そうな顔をしないでくれ」
髪を撫でられて、オデットは安心したようにランヴァルドの肩に頬をすりよせる。
――きっと大丈夫。
そう思って瞳を閉じたのだが、問題はすぐに起きた。
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