ソウシソウアイ?

野草こたつ/ロクヨミノ

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二部

◇ザクセンとオデット◆

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「きみはいつランヴァルドに出逢ったんだ?」
 街を歩きながら、ザクセンに問われてオデットはちいさく首を傾げる。

「ちいさな頃ですよ。ねえさんと一緒に屋敷にいらして、そのときにお会いしたのが初めてです」
「そうか。あいつとは、ながいつきあいなんだな」

 あいつ、とザクセンはランヴァルドを呼ぶ。
 やはり二人は親しい間柄なのだろう。
 ならばなぜ、ランヴァルドは親しくないと嘘を言ったのだろう?
 考え事をしていると、つまづきそうになった。

「――っと、あぶない、オデット」
 その身体をザクセンが支える。
「あ、ありがとうございます、ザクセンさん」
「いや、きみこそだいじょうぶか?」
「あなたが支えてくださったので、だいじょうぶです」


 ――……。
「あらっ? ねえランヴァルド! あれってあなたの奥さんじゃない?」
「……はい?」

 金髪碧眼の姫君、ツェリアの指さす先を見て、ランヴァルドは青い目を見開いた。
 なぜか、ザクセンとオデットが手をつないで歩いている。
 方向からして、おそらく騎士団に行って屋敷に戻るところなのだろう。

「なぜかしら、うちのザクセンも一緒ね」
 楽しそうに会話をして歩いていたが、オデットがつまづいたのをザクセンが支える。
 オデットはただ、彼が善意だけでそうしてくれたのだと思っているのだろうが、
 ザクセンの瞳にはいまだ彼女への恋心が見て取れる。

「……そのようですね」
 ランヴァルドはじわじわと滲む黒い感情をごまかすように微笑んでそうこたえた。
「ふたりとも手を繋いで恋人同士みたいね。あ、そうだわ! 私たちも手をつなぎましょ!」
 言うが早いか、ツェリアはランヴァルドの手をとって身軽に走り出す。

「ザークセーン!」
 そして道路を挟んだ向こう側に居る二人に声をかける。
 ザクセンはただ作り笑いを浮かべて手を振っていたが、オデットは驚いたような顔をしたあと、微苦笑を浮かべた。

「姫様、あぶないですよ」
 しかしランヴァルドは任務ゆえに、ただそれを遂行することにつとめた。

 ……。
 アーノルト伯爵邸につくと、ザクセンはオデットの手をはなして微笑んだ。

「それではオデット、また会えることを祈っているよ」
「ありがとうございました、ザクセンさん……あの……」
「ん?」
 背を向けようとした彼はふりかえり、オデットをじっと見つめる。

「姫様はなぜランヴァルド様を護衛に指名したのでしょう?」
「ああ……そのことか。姫様はその、姫と王子のような騎士の恋愛に憧れているかたでな……だが、こっちの制服は真っ黒だろう?
 なかなかおめがねにかなう相手がいなかったようだが、ランヴァルドはああだからな」
「さ、さようでございますか……」
 聞いてよいことだったのだろうかと、すこしばかり考えるものだった。

「どうやら本気でいれこんでいるようだが、姫様も子供ではないからな、そのうち目がさめるだろう」
「――はい」
 やはり、胸にひっかかりが残るものだ。

(わ、私も負けず劣らず嫉妬深いのですね……)
 自分の一面にきづいてしまい、オデットは気恥ずかしさを感じた。
「白い制服なんて返り血がめだってしようがないと思うんだが……あぁ、でもオデット、きみの制服姿はとても愛らしかったぞ」

「? 私の現役時代をご存知なのですか?」
「あぁ、遠目に見たことが何度かあるくらいだったが」
「そうなのですか。ふふっ、すこし恥ずかしいですね」
 今はこうしてドレスを着てすごしているのだから。

「今のきみもとても愛らしいがな」
「まぁ、おじょうずですね」
「世辞ではないんだが……まぁ、いい。それではオデット、俺は戻るよ」
「はい。ありがとうございました、ザクセンさん」
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