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第二章
第73話:従魔の憧れと大型従魔事情
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「――ありがとうございます、ライゴウさん!」
「ヂギル! ヂギキルギ!(おうよ! あとは任せたぜ!)」
ライゴウから話を聞き終わった楓は、お礼を口にしてからヴィオンへ振り返る。
「ライゴウさんとのやり取りを聞いてもらっていたと思いますが、あれでよかったですか?」
楓としては従魔の意見を尊重して従魔具を作りたいと思っている。
しかし、決定を下しのは主であるヴィオンだ。
願わくば、ライゴウの意見を尊重してほしいと思うところだが、果たして。
「もちろんだ。ライゴウがそうしたいと思っているなら、そうしてほしい」
するとヴィオンも、楓と同じ意見だったのか笑顔で頷いてくれた。
「ありがとうございます!」
ここでもお礼を口にした楓だったが、ヴィオンからは苦笑を返されてしまう。
「お礼を言うべきは、俺の方なんだがな。ありがとう、お嬢さん。……いいや、カエデさん」
呼び方が「お嬢さん」から「カエデさん」に変わり、楓は思わず笑みを浮かべる。
ヴィオンに認められたと、そう思えたからだ。
「ちょっと、ヴィオン! カエデに色目使ってんじゃないわよ!」
「い、色目を使うわけがないだろう! 職人としての姿を見て、お嬢さんでは失礼だと思っただけだ!」
「はあ? あんた、カエデに魅力がないって言いたいの? 色目を使うわけがないって、どういうことよ!」
「お、お前なぁ……」
結局最後は、ティアナがヴィオンに絡んでいってしまい、楓は思わず苦笑する。
それからもう一度ライゴウの姿を目に焼き付けようと振り返ったのだが、その時に従魔房の中からライゴウへ熱い視線を向けている従魔に目が留まる。
「……ハオ君?」
ハオはエリンの従魔で、ライゴウと同じ鳥の魔獣である。
だからだろう、ハオがライゴウを見る目には熱いものが感じられ、憧れているのが一目で分かった。
「……ピヒョ!?」
楓の視線に気づいたのか、ハオはハッとした表情を浮かべると、そそくさと従魔房の奥へ姿を隠してしまった。
(恥ずかしかったのかな? でも……ハオ君が速く飛びたかったって言っていた理由が、分かった気がするな)
それから楓たちは、従魔房の前をあとにした。
セリシャの部屋に戻ってくると、ヴィオンから材料の提供を受けることになった。
「雷属性の材料はそこまで多くないからな」
「ありがとうございます! 完成は明日か、明後日くらいになると思います!」
「……そんなに早いのか?」
楓がいつものように答えると、ヴィオンはここでも驚きの声を漏らした。
「そうですけど……早いんですか?」
「ライゴウはあの大きさだからな。今までずっと、従魔具職人から従魔具作成を断られてきたんだ。作成するのに時間が掛かるから、割に合わないと言ってな」
「そうだったんですね……あれ? ってことは、ライゴウさんの従魔具は?」
「恥ずかしながら、ないんだ。だから、ライゴウにとっては初めての従魔具になるのさ」
「……それは、責任重大ですね」
初めての従魔へ贈る、初めての従魔具ならいざ知らず、長年相棒として過ごしてきた従魔へ贈る、初めての従魔具になるのだ。
楓はゴクリと唾を呑み、気合いを入れ直すことにした。
「あぁ、あまり重く受け止めないでほしい。今までも上手くやれたんだ。もし難しいとなっても、俺たちはカエデさんを責めたりはしないさ」
「当然でしょうが! それに、なんでカエデが失敗する体で話を進めるのよ! カエデは失敗しないわよ!」
何がそこまで気に食わないのか、ティアナはここでもヴィオンの発言に突っかかっていく。
「はいはい。あなたがそんなんじゃあ、話が進まないでしょう?」
「あ! ちょっと、セリシャ様!」
そんなティアナとヴィオンの間にセリシャが立ち、これ以上の発言をさせないようにしてくれた。
「……いいや、セリシャ様。今のは俺の失言だった。すまない、カエデさん」
「お気になさらないでください! 駆け出しの従魔具職人をすぐに信じろだなんて、私も言えませんから」
「だが……」
「とはいえ、私も失敗するつもりはありません。ライゴウさんの初めての従魔具、しっかりと作り上げて見せますね!」
グッと力こぶを作るようなジェスチャーを見せた楓。
そんな楓にヴィオンは驚きながらも、すぐに柔和な笑みを浮かべる。
「それじゃあ、改めて……よろしく頼むよ」
「はい!」
それからヴィオンはセリシャの部屋をあとにすると、そのままライゴウのもとへ向かった。
「ねえ、カエデさん。もしかして、頭の中にはもう、従魔具の作り方が浮かんでいるのかしら?」
自信満々だった楓の姿を見て、セリシャはそんな質問を口にした。
「実は、その通りなんです。もしかすると、ヴィオンさんが材料を持っていたから、すぐに作り方が浮かんできたのかもしれません」
「全く。なんなのかしらね、あいつは。カエデが失敗するわけないのにね!」
ここで何故か鼻高々なティアナだったが、楓もセリシャもジト目を向ける。
そのことに気づいたティアナは、自慢げな表情から徐々に苦笑いに変わっていく。
「……えっと、あのー……え?」
「ティアナさんは、ヴィオンさんへの態度を改めてくださいね!」
「あなたの嫉妬に付き合わされるカエデさんの身にもなってあげなさい」
「うぐっ!? ……し、嫉妬ってわけじゃ――」
「「改めなさい!!」」
「……………………はい」
最後は素直に頷いてくれたティアナ。
二人が仲良くなってくれることを願いながら、楓は腕まくりをして従魔具作りを開始した。
「ヂギル! ヂギキルギ!(おうよ! あとは任せたぜ!)」
ライゴウから話を聞き終わった楓は、お礼を口にしてからヴィオンへ振り返る。
「ライゴウさんとのやり取りを聞いてもらっていたと思いますが、あれでよかったですか?」
楓としては従魔の意見を尊重して従魔具を作りたいと思っている。
しかし、決定を下しのは主であるヴィオンだ。
願わくば、ライゴウの意見を尊重してほしいと思うところだが、果たして。
「もちろんだ。ライゴウがそうしたいと思っているなら、そうしてほしい」
するとヴィオンも、楓と同じ意見だったのか笑顔で頷いてくれた。
「ありがとうございます!」
ここでもお礼を口にした楓だったが、ヴィオンからは苦笑を返されてしまう。
「お礼を言うべきは、俺の方なんだがな。ありがとう、お嬢さん。……いいや、カエデさん」
呼び方が「お嬢さん」から「カエデさん」に変わり、楓は思わず笑みを浮かべる。
ヴィオンに認められたと、そう思えたからだ。
「ちょっと、ヴィオン! カエデに色目使ってんじゃないわよ!」
「い、色目を使うわけがないだろう! 職人としての姿を見て、お嬢さんでは失礼だと思っただけだ!」
「はあ? あんた、カエデに魅力がないって言いたいの? 色目を使うわけがないって、どういうことよ!」
「お、お前なぁ……」
結局最後は、ティアナがヴィオンに絡んでいってしまい、楓は思わず苦笑する。
それからもう一度ライゴウの姿を目に焼き付けようと振り返ったのだが、その時に従魔房の中からライゴウへ熱い視線を向けている従魔に目が留まる。
「……ハオ君?」
ハオはエリンの従魔で、ライゴウと同じ鳥の魔獣である。
だからだろう、ハオがライゴウを見る目には熱いものが感じられ、憧れているのが一目で分かった。
「……ピヒョ!?」
楓の視線に気づいたのか、ハオはハッとした表情を浮かべると、そそくさと従魔房の奥へ姿を隠してしまった。
(恥ずかしかったのかな? でも……ハオ君が速く飛びたかったって言っていた理由が、分かった気がするな)
それから楓たちは、従魔房の前をあとにした。
セリシャの部屋に戻ってくると、ヴィオンから材料の提供を受けることになった。
「雷属性の材料はそこまで多くないからな」
「ありがとうございます! 完成は明日か、明後日くらいになると思います!」
「……そんなに早いのか?」
楓がいつものように答えると、ヴィオンはここでも驚きの声を漏らした。
「そうですけど……早いんですか?」
「ライゴウはあの大きさだからな。今までずっと、従魔具職人から従魔具作成を断られてきたんだ。作成するのに時間が掛かるから、割に合わないと言ってな」
「そうだったんですね……あれ? ってことは、ライゴウさんの従魔具は?」
「恥ずかしながら、ないんだ。だから、ライゴウにとっては初めての従魔具になるのさ」
「……それは、責任重大ですね」
初めての従魔へ贈る、初めての従魔具ならいざ知らず、長年相棒として過ごしてきた従魔へ贈る、初めての従魔具になるのだ。
楓はゴクリと唾を呑み、気合いを入れ直すことにした。
「あぁ、あまり重く受け止めないでほしい。今までも上手くやれたんだ。もし難しいとなっても、俺たちはカエデさんを責めたりはしないさ」
「当然でしょうが! それに、なんでカエデが失敗する体で話を進めるのよ! カエデは失敗しないわよ!」
何がそこまで気に食わないのか、ティアナはここでもヴィオンの発言に突っかかっていく。
「はいはい。あなたがそんなんじゃあ、話が進まないでしょう?」
「あ! ちょっと、セリシャ様!」
そんなティアナとヴィオンの間にセリシャが立ち、これ以上の発言をさせないようにしてくれた。
「……いいや、セリシャ様。今のは俺の失言だった。すまない、カエデさん」
「お気になさらないでください! 駆け出しの従魔具職人をすぐに信じろだなんて、私も言えませんから」
「だが……」
「とはいえ、私も失敗するつもりはありません。ライゴウさんの初めての従魔具、しっかりと作り上げて見せますね!」
グッと力こぶを作るようなジェスチャーを見せた楓。
そんな楓にヴィオンは驚きながらも、すぐに柔和な笑みを浮かべる。
「それじゃあ、改めて……よろしく頼むよ」
「はい!」
それからヴィオンはセリシャの部屋をあとにすると、そのままライゴウのもとへ向かった。
「ねえ、カエデさん。もしかして、頭の中にはもう、従魔具の作り方が浮かんでいるのかしら?」
自信満々だった楓の姿を見て、セリシャはそんな質問を口にした。
「実は、その通りなんです。もしかすると、ヴィオンさんが材料を持っていたから、すぐに作り方が浮かんできたのかもしれません」
「全く。なんなのかしらね、あいつは。カエデが失敗するわけないのにね!」
ここで何故か鼻高々なティアナだったが、楓もセリシャもジト目を向ける。
そのことに気づいたティアナは、自慢げな表情から徐々に苦笑いに変わっていく。
「……えっと、あのー……え?」
「ティアナさんは、ヴィオンさんへの態度を改めてくださいね!」
「あなたの嫉妬に付き合わされるカエデさんの身にもなってあげなさい」
「うぐっ!? ……し、嫉妬ってわけじゃ――」
「「改めなさい!!」」
「……………………はい」
最後は素直に頷いてくれたティアナ。
二人が仲良くなってくれることを願いながら、楓は腕まくりをして従魔具作りを開始した。
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