120 / 901
二章 勇者兼捕虜兼魔王専属吸血家畜兼お菓子屋さんとは俺のことだ。
64※
しおりを挟む切羽詰まったお互いの呼吸、喘ぎ声、擦れるシーツ、軋むベッド。
こもった熱気が肌に纏わりついて、独特の空気が充満している。
「く……ふ、ぅ、っ……」
おかしくなりそうなほど、興奮した。
トロ、と開いた唇から唾液が漏れ、クッションにまた新しいシミを作る。
それが恥ずかしくて、シミごと布地に甘噛みして誤魔化す。
「はっ……シャル……」
ここまでたっぷりと我慢をして俺のことばかり考えていたアゼルが、強請るような甘い声で俺の名前を呼んだ。
苦しそうに乱れる呼吸。
俺の返事を待つ間さえ、甘噛みしていた項の歯型をペロペロと舌先で舐められる。
もう限界だと訴えるようにアゼルは腰を支えていた手で、張り詰め、勃起した俺の肉棒を触り、親指で鈴口を刺激して誘う。
胸の奥と腹の中がキュン、と疼いた。
初めての感覚に浸るよりも、甘えてくるアゼルが非常にかわいい。
俺にも母性とかそういうものがあったのか、心がきゅんきゅんする。胸キュンと言うやつだ。
顔の横に添えられてクッションを緩く握っているアゼルの手に、俺はぼう、と熱でとろけた頭のまま、唇を寄せる。
舌を伸ばして滑らかで白磁のような手の肌を舐め、唇で挟んでちゅうちゅうと子どものように甘噛みして、視線を背後に流した。
早く犯してくれ。
お前で蹂躙してほしいんだ。
「ふっ、シャル……ッ」
「く……っあぁ……!」
それが許可だと伝わった途端──俺の身体を抱きしめながら、中の怒張が激しく暴れだす。
「あぁ……っ! う、あっ、ぁっ」
素肌同士がぶつかり合う破裂音とともに、結合部からズチュッ、と漏れ出す、粘着質で卑猥な音。
散々に喘いだ後の頭がおかしくなりそうな責めに、かすれた声を悲鳴のように絞り出す俺が、カラクリのように連動している。
「はっ、シャルん中、熱くて、イイぜ……ッシャルももっと感じろ、俺のことだけ、感じてろ……ッ」
「う、ぐ……ッ! あぁッ、あ、アゼル、ッは、激しい……ッ」
「くそ、止められねぇんだよッ……!」
獣じみた獰猛な唸り声。
汗の一滴をも逃がさないとばかりに舐められ、襞の一つ一つをアゼルの熱が貪った。
トンットンットンッ、と速い動きで前立腺を斜め上からノックしたかと思うと、不意に奥の肉の曲がり角をドスッ、と深く穿つ。
そして抜けそうなほど腰を引かれ、鎌首の反りが前立腺をひっかく。
「ひッ、ひ……ッ!」
ビクッ、と仰け反る背骨。
限界まで勃起した屹立の先から、先走りがボタボタと壊れたように流れた。
最奥に突きこまれ、浅いところを捏ねられ、ギッギッとベッドを軋ませながらシーツの上で、俺の体はアゼルの一部になっていく。
繰り返される抽挿。背中に散る汗。
失禁したように濡れた股もシーツも気にならず、ただ揺さぶられるだけ。
それでも自分の直腸をみっしりと埋める膨満感が、気持ちよくてたまらないのだ。
けれどそう感じるのは、きっと本来の俺じゃない。ギチ……ッと内壁が、離れていく杭を引き留めようとキツく柔らかくうねった。
「あぁッ、こんなの、ッあ、俺の身体が、く、変にな、る、ッ……んッ、んんッ」
「っは、変じゃねえ、シャル、イイ……っお前の身体、気持ちいい……っ」
自分でもなにを言っているのかわからなくなりそうになりながら、回らない舌で泣きそうな嬌声をあげる。
アゼルは離すまいと甘える中の締めつけに息を詰めると、ズルリとそれを振り切って引き、角度を変えて上から突き刺すように深く埋めた。
トプッ、と蜜が吹き出す。
強すぎる。蠕動する襞が落ち着く前に、今度はゆっくりと小刻みに追い詰める律動。
96
あなたにおすすめの小説
相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~
柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】
人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。
その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。
完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。
ところがある日。
篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。
「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」
一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。
いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。
合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)
女子にモテる極上のイケメンな幼馴染(男)は、ずっと俺に片思いしてたらしいです。
山法師
BL
南野奏夜(みなみの そうや)、総合大学の一年生。彼には同じ大学に通う同い年の幼馴染がいる。橘圭介(たちばな けいすけ)というイケメンの権化のような幼馴染は、イケメンの権化ゆえに女子にモテ、いつも彼女がいる……が、なぜか彼女と長続きしない男だった。
彼女ができて、付き合って、数ヶ月しないで彼女と別れて泣く圭介を、奏夜が慰める。そして、モテる幼馴染である圭介なので、彼にはまた彼女ができる。
そんな日々の中で、今日もまた「別れた」と連絡を寄越してきた圭介に会いに行くと、こう言われた。
「そーちゃん、キスさせて」
その日を境に、奏夜と圭介の関係は変化していく。
平凡ハイスペックのマイペース少年!〜王道学園風〜
ミクリ21
BL
竜城 梓という平凡な見た目のハイスペック高校生の話です。
王道学園物が元ネタで、とにかくコメディに走る物語を心掛けています!
※作者の遊び心を詰め込んだ作品になります。
※現在連載中止中で、途中までしかないです。
その男、ストーカーにつき
ryon*
BL
スパダリ?
いいえ、ただのストーカーです。
***
完結しました。
エブリスタ投稿版には、西園寺視点、ハラちゃん時点の短編も置いています。
そのうち話タイトル、つけ直したいと思います。
ご不便をお掛けして、すみません( ;∀;)
イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした
天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです!
元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。
持ち主は、顔面国宝の一年生。
なんで俺の写真? なんでロック画?
問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。
頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ!
☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。
【完結】※セーブポイントに入って一汁三菜の夕飯を頂いた勇者くんは体力が全回復します。
きのこいもむし
BL
ある日突然セーブポイントになってしまった自宅のクローゼットからダンジョン攻略中の勇者くんが出てきたので、一汁三菜の夕飯を作って一緒に食べようねみたいなお料理BLです。
自炊に目覚めた独身フリーターのアラサー男子(27)が、セーブポイントの中に入ると体力が全回復するタイプの勇者くん(19)を餌付けしてそれを肴に旨い酒を飲むだけの逆異世界転移もの。
食いしん坊わんこのローグライク系勇者×料理好きのセーブポイント系平凡受けの超ほんわかした感じの話です。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる