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閑話 男気番長は抱かれたい
09※
しおりを挟む実はずっと目の前で覆いかぶさり、気配を消して悶える表情を余すところなく眺めていたのだ。
もう無理だと言うシャルをここぞというところで引いて、一転して続行の言質をもぎ取る。
魔王らしいといえば魔王らしい。
夜は好きに気配を消せる自分の特性をフルに活かした、特等席である。
戦闘に使うものをプレイに使う。
変態の名に恥じない所業だ。
「ぇ、あ……?」
「そんなこと言われたら、朝まで頑張るしかねぇよなあ。クックック……!」
「な、なん、うっふ、っ、ンン……っ」
そして状況を理解しきれないシャルが二の句を告ぐ前に、アゼルはシャルの唇を塞ぎ、有無を言わさず貪った。
舌を吸い上げ、上顎をなで、喉奥を突き、滲んだ唾液を啜りながら、手のひと振りで拘束していた自分の魔力を消し去る。
突然自由になった手足がドサとベッドに落ちると、それが動き出すより早く。
ぎゅっと引き締まった色めかしい腰を抱き寄せ──待ちわびる秘部に、熱い怒張を根本まで突き入れた。
「ンッ……! っ……うう、っ、ふぁ……っ」
そのまま静かに放置した時間を早送りするように、激しく肌同士を打ち鳴らしながら攻め立てる。
塞がれた唇から篭った喘ぎ声があがり、シャルは快感に溺れていった。
いつの間にやら身体の下に潜り込んだ右腕が尻を抱え、左腕が浮いた背骨から背中をなぞり、好き勝手愛撫される。
「はっん……! っんん、ぅ、ふっぅ」
シャルは目の奥にバチバチと散る火花を見ながら、空いた腕を必死にアゼルの首に回してた。
下からの突き上げでベッドヘッドに頭をぶつけないように、熱い体へしがみつく。
酸素を奪われ息もできないが、暖かな体にしがみつけるし、乱れる自分から目を離さない黒い瞳を見つめることもできる。
そのうちにゴツンッ、と深く中の曲がり角を穿ったものが震えたかと思うと、ようやく弾け、初めから勢いの減らないままの熱が熱く迸った。
「ん、っんん……っ」
その熱を感じ、出しながら押し込むように内壁をグリグリと抉られた快感で、つられるようにシャルの頭の中で星が散る。
ビクンッ、と大きく身体が痙攣し、喉奥から絞り出す嬌声が室内にから回った。
ドク、ドク、と注ぎ込まれる精を漏らさないよう、酷使された襞が健気にきゅぅ、と纏わり付く。
今日だけでいくら出されたかわからない。
下腹部がやや重いが、後が怖いので考えないことにした。
後処理は自分の感度との戦争だ。
達するシャルの戦慄きが収まる頃に、ようやく塞がれっぱなしだった唇がツゥ、と糸を引いて解放される。
「っは、……っは……」
紅潮した頬を汗と唾液で濡らし、浅く呼吸を蹴り返した。
トロンとした瞳で見つめてくるシャルに、アゼルは心の中で転げまわって、かわいいかわいいと叫ぶ。
どんな悶絶も聞こえなければ無罪放免だ。クールな魔王ぶっておく。
となれば、だ。
ぼんやりとしているがまだ意識はある様だし、言質は取った。
朝まで時間はたっぷりある。
「ぁ……? な、んでまた、おおき……っ」
「大丈夫、お前は中イキできるから、精液尽きても全然イケるだろ?」
「ヒ……ッ」
──その後。
一睡もすることなく朝日を眺める羽目になった、奉仕の練習をしたかっただけの男気番長・シャル。
こんなに抱かれたら、もう二度と男としてのセックスに満足できないだろうな。
なんて若干世を儚んだが……枯れるまで責任を取ってもらうことにして、前向きに諦めたのだった。
絶倫魔王の果てしない欲望を受け入れるのも、また愛情と言う男気なのである。
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