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閑話 男気番長は抱かれたい
08※
しおりを挟む押し寄せる波のような断続的な快感。
目隠しのせいで、アゼルの触れるところ全てに、過敏に反応してしまう。
本来なら痛いだけのはずの胸への刺激も、自覚するくらいに気持ちがいい。
擦れすぎて感覚が薄れたはずの体内も、ぐちゃぐちゃと深くかき混ぜられ、逃れようがない快感をもたらしていた。
「あっい、やだ……っも、だめだ、から……」
ギシギシと軋むベッド。
勃起できなくても永続的に与えられ高ぶる熱で、脳はずっと達している。
抵抗したくても腕は動かせず、寝返りすら打てない格好。
それなのに、どこか本気で逃れようとしていないことは、わかっていた。
そんなシャルに笑いをかみ殺して、アゼルはちゅ、とキツく乳頭を吸い上げた。
「んっ、あぅ……っ」
「やめてほしいのか?」
「あ、ぁ」
トントンと中のイイところを突き上げ尋ねると、シャルは返事はできなくとも必死に頷く。
これ以上は、また自分だけイカされてしまう。
わかっているくせに同じところを集中的に穿ってくる動きに、ああ、またイク、と思い身を震わせた。
「クク……いいぜ」
それなのに──アゼルは口角を上げ、あっさりとひとつになりそうな体を離すと、ズル、とまだ収まらない怒張を引き抜く。
「ひっ、ん……っあ、?」
突然触れていた手も追い立てていたものもなくなり、シャルは刺激のなくなった暗闇で、ぽかんと呆けた。
乱れた呼吸をはぁはぁと漏らし、胸を上下させて呆気ない開放を受け取る。
てっきりまだだと言われ、いつかのように朝まで貪られるかと思っていたのに、やけに素直にやめてくれた。
先程まで柔らかく拡がっていた後孔が、きゅっと窄まる。
思い出したように自分の格好を恥ずかしく思い、尻をもじつかせて見えてもいないのに顔を横に逸らした。
やめてくれと望んだ。
だからなにも、惜しむことはないのだが、なんだかな。
「は……あ、あぜる、」
しかし懇願通りに責め苦を止めたのにも関わらず、一向に次の動きがなかった。
声も聞こえないし、音もない。
触れてももらえないのに、解放もしてくれない。
どういうつもりなのかわからなくて、縋るように名を呼んだ。
それでも愛する人は、シャルになにも齎さなかった。
「あぜる、……もう、とってくれ……アゼル、……?」
首だけを動かし、起き上がろうとするが、叶うわけもない。
それに、中途半端に再度犯されたせいで、登りきれなかった快感が腹の中でくすぶっていた。
「ぁ……ン、……」
ままならない赤子のように、もぞもぞとわずかばかり蠢く。
返事のない暗闇が不安を掻き立て、迷子になったようだ。
欲しい……もう一度。
触ってほしい。ちゃんと終わりまでその腕で抱いてほしい。
「アゼル……、っなんで、触って……」
どこかにいるはずのアゼルを恋しがって、切なく火照る体をゆする。
あれだけ限界を訴えていたのに、打って変わってシャルは甘くねだり始める。
「やめないで、くれ、」
もどかしい拘束をか弱く擦る。
絶頂の寸前で引き抜かれた、晒しっぱなしの後孔がヒクヒクと物欲しげにしている。
「これ、取って、アゼル……っお、俺も、お前に触りたい……もっと、シて………」
まるで真逆の言葉を、懸命に強請った時。
突然シュル、と優しく目隠しが解かれ、驚くほど近くにニヤリと上機嫌でニヤつくアゼルのご尊顔があった。
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