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七皿目 ストーキング・デート
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しおりを挟む俺はほんの少し気がかりだった気持ちが、簡単にクリーンになってしまう。
ゼオは俺の中身を見てくれて、ちゃんと友人として着いてきてくれたということだ。
友人、というのは気が早いかもしれないが、俺はつい、口元をゆるゆると緩めた。
「そうか……うん、嬉しい。俺はそれのおかげでなく、個人としてゼオと話がしたかったんだ。中身も気に入ってもらえて嬉しいぞ」
「そうですか。……注文。決めないなら、一人で話をしていてください」
「ん?」
「俺の血の好みですが、種族問わず、未婚の中年女性が好きです。行き遅れを気にする時期で、やけ酒翌日であればなおイイです。だからあんたは範疇外」
「く、屈折した趣向だな……」
ゼオは俺の罪悪感を取り除くや、店員さんを呼ぶテーブルのベルをチリチリ鳴らす。
質問には答えてもらえたが、突然さっさと切り上げられて驚きだ。
あまりに自然体な彼に慌ててメニューを睨み、注文を決める俺であった。
しばらく経って、ランチがやってきた。
ゼオは大盛りキノコのパスタ。
俺は胡桃とサーモンのサンドイッチと、マンドラゴラジュースだ。
胡桃と見て、つい頼んでしまった。
今はアゼルがいないのに、急いでいて無意識に選んだぞ……。
俺ってやつはなんというか、うん。
まぁでも、アゼルの好物だから、食べておいて損はないだろう?
最終的にはアゼルと一緒にデートをするわけだ。問題はない。
どこにいても欠片を追いかけてしまうので、関係を知っている人と一緒だと、それがバレて少し照れる。
例に出すとガドはニヤニヤとするし、ユリスとリューオは呆れてしまう。
俺の嫁が魔王だなんて知らないゼオは、特にリアクションはなく、黙々と食事をしていた。
──が。
(うーん、なんだか食べるのが早くないか?)
料理が届いてから五分もかからず、ゼオの皿からキノコのパスタが全て消え失せてしまった。
大食らいには見えないスマートな長身の体をしているのに、なんという早食い。
ゼオには驚かされてばかりの俺だ。
「食べるのが早いんだな」
「普段忙しいので」
「あぁ、確かに忙しいと食事が早くなる」
カチャン、と食器を置いたゼオの言い分に、社畜だった俺は深く頷いて、サンドイッチにかぶりつく。
ん、美味い。
これはアゼルと絶対に来よう。
柔らかなパンとサーモンの間で、胡桃がゴロゴロといい食感を出している。
続いて、マンドラゴラジュース。
(こ、これは……大根おろしの汁だ……! ふむふむ……けれどはちみつとレモンで割れば、美味しいんじゃないか……?)
一足先に食べ終えたゼオはまた変化なく肘をつき、内心で食レポをする俺を眺めるだけの置物になってしまった。
ぐっ、待たせている。
急いで食べよう。
じっと見られる理由が暇なのだと仮定した俺は、急いでサンドイッチを口に詰め込んだ。
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