【完結】勇者PTから追放された空手家の俺、可愛い弟子たちと空手無双する。俺が抜けたあとの勇者たちが暴走? じゃあ、最後に俺が息の根をとめる

ともボン

文字の大きさ
71 / 104
第八章 ~華やかで煌びやかな地下の世界・裏闘技場の闇試合編~

道場訓 七十一   いざ、闇試合の本選へ

しおりを挟む
「素晴らしい。あなたはまれに見る強さの持ち主です。これならば本選も大いに盛り上がるでしょう」

 俺が般若面はんにゃめんの男女の目の前まで行くと、両手を広げて真っ先に口を開いたのは般若面はんにゃめんの男のほうだった。

 そんな般若面はんにゃめんの男は〈強音石きょうおんせき〉ではなく、仮面の下から地声でしゃべっている。

「余計な世辞せじはいい。さっさと本選会場へ案内してくれ」

「おやおや、せっかちな方ですね……分かりました。私について来て下さい」

 般若面はんにゃめんの男が歩き出すと、俺もその背中を追うように歩き出す。

 続いて般若面はんにゃめんの女が黙って俺の後ろからついてくる。

 やがてこの部屋から出るとなったとき、般若面はんにゃめんの男が立ち止まった。

「そうそう、先ほどあなたは大変良いことをおっしゃられていましたね。どんなに強くても相手をめる者は2流で、状況が把握できない者は3流。そして真剣勝負の場所で遊び心を出す者は評価にあたいしないと」

 俺も立ち止まり、「それがどうした?」と般若面はんにゃめんの男に言う。

「いえいえ、その言葉……今のあなたにそっくりそのままお返ししようと思いましてね」

 次の瞬間、俺の後方から〈痙攣パラライズ〉という声が発せられた。

「……」

 数秒後、俺はそのまま膝から前方に倒れ込む。

 やがて俺の頭の上から般若面はんにゃめんの男の声が聞こえてくる。

「先ほど見た強さならば、てっきりこちらの意図を見抜いていたのかと思っていましたが……こちらの見込み違いでしたかね」

 般若面はんにゃめんの男が落胆らくたんするような声をらすと、俺に〈痙攣パラライズ〉の魔法を放った般若面はんにゃめんの女に言った。

「ですが、この四十七番の強さは使えます。先ほどの三十一番と一緒に例の場所へ連れて行きますので、立たせて上げてください」

「いや、その必要はない」

 直後、俺は何食わぬ顔で立ち上がった。

「ほう」

 般若面はんにゃめんの男は感嘆かんたんの声をらした。

「いやはや、これは異なことですね。確実に魔法を受けたはずですが」

「ああ、魔法を受けたさ。だが、俺じゃなくてがな」

 俺がそう答えると同時に、般若面はんにゃめんの女が床に崩れ落ちた。

 ビクビクと身体を痙攣けいれんさせて悶絶もんぜつしている。

闘神とうしん鏡破きょうは〉。

 闘神流空手とうしんりゅうからての3段から修得できる技術の1つであり、術者の肉体の周囲に張った気力アニマまくに触れた相手の技や魔法をそのまま返すことができる。

 ただし、返せる技や魔法は1度に1つしか返せない。

 それでも成功すれば相手に与えるダメージは高かった。

 肉体的なダメージもさることながら、相手からしてみればまるで鏡に映る自分を攻撃したような不気味な精神的ダメージをこうむるだろう。

 今もそうであった。

 不意をついたと思っていた般若面はんにゃめんの女は、なぜ自分が放った魔法が返されたのか分からずパニックになっているに違いない。

 一方の般若面はんにゃめんの男のほうも同じだ。

 ただし、般若面はんにゃめんの男は別の疑問も感じていただろう。

 それは――。

「アンタはこの大規模な乱戦バトル・ロイヤルの説明を一通り終えたあと、感情を高ぶらせた俺たち参加志望者に言ったよな? 〝私をのぞいた〟参加者の中で1人だけが本選へと出場できる、と」

 俺はちらりと般若面はんにゃめんの女を見る。

「この仮面の女も参加志望者の1人なのか、アンタたち主催者側の人間なのかは分からないが、どちらにせよここまでが大規模な乱戦バトル・ロイヤルなんだろう? 自分が最後の1人だと油断した人間の最後の適性を見極めるためのな」

 もしも今の俺のように主催者側のたくらみを見極められたなら良いが、自分が勝ち残ったと油断していたら最後の最後に手酷てひどい不意打ちを食らうという仕組みだ。

「いやー、素晴らしい」

 俺がりくげられた魚のようになっている般若面はんにゃめんの女から視線を外すと、般若面はんにゃめんの男がパチパチと柏手かしわでを打つ。

「四十七番、あなたのの突破を確認いたしました。これで晴れてあなたは本選出場となります」

「そんな風に呼ぶな」

「はい?」

「俺を番号でなんて呼ぶな。俺にもれっきとした名前がある。それとも、ここから先もずっと番号で呼ばれるのか?」

 般若面はんにゃめんの男は首を左右に振った。

「いいえ、ここから先はきちんと名前で呼ばさせていただきます。名前だけではありません。あなたさまの年齢、身長、体重、出身地……そして流派などもありましたら教えていただけると、我らだけではなく招待者ゲストさまへの良いアピールになりますので」

 招待者ゲストさま、か。

 どうやら、ここも表の闘技場コロシアムと性質は同じなのだろう。

 けれども、その本質や客層は天と地ほども違うだろうが。

 まあ、それはさておき。

「とにかく、これで俺は本選へ出場できるんだな?」

「はい、もちろんでございます……しかし、本当によろしいのですね?」

「何がだ?」

「ここから先はもう簡単に引き返せないということです。そして前もってお伝えしておきますが、本選出場者の実力は裏予選の参加者など問題になりません。どの出場者も最低限はSランクの魔物を余裕で倒せるほどの実力者ばかり。また本選に出場すると言うことは、あなただけではなくお連れさまの命も賭けることになりますが……」

 よろしいのですね、と般若面はんにゃめんの男はいてくる。

「ああ、お互い覚悟の上だ……しかし、どの出場者もSランクの魔物を余裕で倒せるとは凄いな。その実力なら表でも十分に自分の望みを叶えられるだろうに」

「さて、私からは何とも」

 そう言うと般若面はんにゃめんの男は再び振り向いて歩き出す。

 この般若面はんにゃめんの男の態度だけでピンときた。

 本選に出場する人間は実力がありながらも、表舞台では絶対に活躍も称賛しょうさんも得られない人間たちだと。

 だが、それでも俺は一向に構わない。

 どんな相手でも勝ち上がり、優勝してキキョウの身柄みがらを取り戻すのだ。

 そして俺は般若面はんにゃめんの男の後を追うように歩き出した。

 魔物よりも手強い、裏の強者たちと死闘を演じるために――。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

A級パーティーを追放された黒魔導士、拾ってくれた低級パーティーを成功へと導く~この男、魔力は極小だが戦闘勘が異次元の鋭さだった~

名無し
ファンタジー
「モンド、ここから消えろ。てめえはもうパーティーに必要ねえ!」 「……え? ゴート、理由だけでも聴かせてくれ」 「黒魔導士のくせに魔力がゴミクズだからだ!」 「確かに俺の魔力はゴミ同然だが、その分を戦闘勘の鋭さで補ってきたつもりだ。それで何度も助けてやったことを忘れたのか……?」 「うるせえ、とっとと消えろ! あと、お前について悪い噂も流しておいてやったからな。役立たずの寄生虫ってよ!」 「くっ……」  問答無用でA級パーティーを追放されてしまったモンド。  彼は極小の魔力しか持たない黒魔導士だったが、持ち前の戦闘勘によってパーティーを支えてきた。しかし、地味であるがゆえに貢献を認められることは最後までなかった。  さらに悪い噂を流されたことで、冒険者としての道を諦めかけたモンドだったが、悪評高い最下級パーティーに拾われ、彼らを成功に導くことで自分の居場所や高い名声を得るようになっていく。 「魔力は低かったが、あの動きは只者ではなかった! 寄生虫なんて呼ばれてたのが信じられん……」 「地味に見えるけど、やってることはどう考えても尋常じゃなかった。こんな達人を追放するとかありえねえだろ……」 「方向性は意外ですが、これほどまでに優れた黒魔導士がいるとは……」  拾われたパーティーでその高い能力を絶賛されるモンド。  これは、様々な事情を抱える低級パーティーを、最高の戦闘勘を持つモンドが成功に導いていく物語である……。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

追放された宮廷薬師、科学の力で不毛の地を救い、聡明な第二王子に溺愛される

希羽
ファンタジー
王国の土地が「灰色枯病」に蝕まれる中、若干25歳で宮廷薬師長に就任したばかりの天才リンは、その原因が「神の祟り」ではなく「土壌疲弊」であるという科学的真実を突き止める。しかし、錬金術による安易な「奇跡」にすがりたい国王と、彼女を妬む者たちの陰謀によって、リンは国を侮辱した反逆者の濡れ衣を着せられ、最も不毛な土地「灰の地」へ追放されてしまう。 ​すべてを奪われた彼女に残されたのは、膨大な科学知識だけだった。絶望の地で、リンは化学、物理学、植物学を駆使して生存基盤を確立し、やがて同じく見捨てられた者たちと共に、豊かな共同体「聖域」をゼロから築き上げていく。 ​その様子を影から見守り、心を痛めていたのは、第二王子アルジェント。宮廷で唯一リンの価値を理解しながらも、彼女の追放を止められなかった無力な王子だった。

追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~

さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。 全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。 ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。 これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。

処理中です...