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最終章 ~華やかで煌びやかな地下の世界・元勇者の消滅編~
道場訓 九十三 煉獄の炎
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「――がはッ!」
俺は血が混じった吐瀉物を吐き出しながら、後方へと大きく吹き飛ばされた。
そして一旦は背中から落ちたものの、それでも俺はすぐに身体のバネを利用して立ち上がる。
俺は口内に残っている吐瀉物もすべて吐き捨てると、ズキンと痛みが走る上半身に目線を落とす。
【神の武道場】から渡される空手着は特別製だ。
一見すると丈夫な素材で出来ただけの衣服に見えるが、〈気力〉を込めると全身鎧並みの強度を誇る防御力を発揮する。
今もそうだ。
上半身に撃ち込まれた魔法の水弾は、〈気力〉を込めていた空手着の防御力によって肉体を穿つまでには至らなかった。
それでも魔法の水弾による威力は凄まじく、貫通こそしなかったものの肉体の表面の筋肉に与えられたダメージは高い。
カムイが放った魔法と武技の融合技――〈水破・浸透掌〉。
身体内部に深く衝撃が行き渡るのは、闘神流空手の〈波状・掌底打ち〉とほぼ同じ。
しかしカムイはそんな〈波状・掌底打ち〉の特徴に加えて、魔法で生み出した鉄の強度に近い無数の水弾を同時に撃ち込んできたのだ。
なので俺は瞬時に闘神流の7段から使える、全身を水のように完全脱力できる〈闘神の柔体《じゅうたい》〉を使った。
だが、その〈闘神の柔体《じゅうたい》〉によって拡散できるのは内部に浸透する衝撃波だけである。
それこそ、魔法の水弾による物理的攻撃は拡散はできなかった。
恐ろしい技だ。
これほどの威力ならば〈身体強化〉した魔法使いでも余裕で倒せるだろう。
しかし、俺にはもう通用しない。
今ので〈水破・浸透掌〉を撃ち出すタイミングや呼吸などはすべて見切った。
もしも次に同じ攻撃を仕掛けてきても、俺はダメージを受けずに完璧なカウンターをカムイに打ち込める。
「……とか思っとるんやろ?」
カムイは俺の考えを見透かすと、「今のはほんの小手調べや」と笑う。
「次のは少々熱いで」
と、カムイが言い放った直後だった。
カムイの〈魔力〉が上丹田に集まっていくと、やがて上丹田から噴き出した炎がカムイの全身を覆い尽くしてく。
それはさながら、重罪人に与えられる火刑の光景だった。
しかし、炎の中心にいるカムイの肉体と衣服はまったく燃えていない。
〈魔力〉で生み出した炎以上に強力な〈魔力〉を全身に張り巡らせ、火傷や衣服に燃え広がるのを防いでいるのだろう。
そんなカムイは全身を炎に包まれながら自流の構えを取る。
「ワイの煉獄の炎にどこまで耐えれるかな?」
次の瞬間、意思を持った火の玉が俺に襲い掛かった。
俺は血が混じった吐瀉物を吐き出しながら、後方へと大きく吹き飛ばされた。
そして一旦は背中から落ちたものの、それでも俺はすぐに身体のバネを利用して立ち上がる。
俺は口内に残っている吐瀉物もすべて吐き捨てると、ズキンと痛みが走る上半身に目線を落とす。
【神の武道場】から渡される空手着は特別製だ。
一見すると丈夫な素材で出来ただけの衣服に見えるが、〈気力〉を込めると全身鎧並みの強度を誇る防御力を発揮する。
今もそうだ。
上半身に撃ち込まれた魔法の水弾は、〈気力〉を込めていた空手着の防御力によって肉体を穿つまでには至らなかった。
それでも魔法の水弾による威力は凄まじく、貫通こそしなかったものの肉体の表面の筋肉に与えられたダメージは高い。
カムイが放った魔法と武技の融合技――〈水破・浸透掌〉。
身体内部に深く衝撃が行き渡るのは、闘神流空手の〈波状・掌底打ち〉とほぼ同じ。
しかしカムイはそんな〈波状・掌底打ち〉の特徴に加えて、魔法で生み出した鉄の強度に近い無数の水弾を同時に撃ち込んできたのだ。
なので俺は瞬時に闘神流の7段から使える、全身を水のように完全脱力できる〈闘神の柔体《じゅうたい》〉を使った。
だが、その〈闘神の柔体《じゅうたい》〉によって拡散できるのは内部に浸透する衝撃波だけである。
それこそ、魔法の水弾による物理的攻撃は拡散はできなかった。
恐ろしい技だ。
これほどの威力ならば〈身体強化〉した魔法使いでも余裕で倒せるだろう。
しかし、俺にはもう通用しない。
今ので〈水破・浸透掌〉を撃ち出すタイミングや呼吸などはすべて見切った。
もしも次に同じ攻撃を仕掛けてきても、俺はダメージを受けずに完璧なカウンターをカムイに打ち込める。
「……とか思っとるんやろ?」
カムイは俺の考えを見透かすと、「今のはほんの小手調べや」と笑う。
「次のは少々熱いで」
と、カムイが言い放った直後だった。
カムイの〈魔力〉が上丹田に集まっていくと、やがて上丹田から噴き出した炎がカムイの全身を覆い尽くしてく。
それはさながら、重罪人に与えられる火刑の光景だった。
しかし、炎の中心にいるカムイの肉体と衣服はまったく燃えていない。
〈魔力〉で生み出した炎以上に強力な〈魔力〉を全身に張り巡らせ、火傷や衣服に燃え広がるのを防いでいるのだろう。
そんなカムイは全身を炎に包まれながら自流の構えを取る。
「ワイの煉獄の炎にどこまで耐えれるかな?」
次の瞬間、意思を持った火の玉が俺に襲い掛かった。
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