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最終章 ~華やかで煌びやかな地下の世界・元勇者の消滅編~
道場訓 百 勇者の誤った行動 ㉟
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か、顔が……ない?
俺は瞬きをすることも忘れ、般若面の男の素顔を食い入るように見つめる。
しかし、どれだけ見ようと結果は変わらない。
仮面を剥ぎ取ったその下にあるはずの顔には、まったく何もなかったのだ。
眉毛も――。
両目も――。
鼻も――。
口も――。
顔を構成している部位が1つもそこには存在していなかった。
「ひいッ!」
と、俺は慌てて般若面の男から飛び退った。
「な、何だてめえは!」
俺は叫びながら、頭の中で〝顔無し〟という言葉を思い浮かばせた。
とそのとき――。
仮面を被っていた、元般若面の男――顔無しは上半身だけをゆっくりと起こした。
そのまま顔無しはスクッと立ち上がる。
まるでダメージを負っていないような軽やかな動きだった。
「て、てめえ……魔物の類か?」
いや、確認することでもなかった。
顔がない人間などこの世にはいないのだ。
間違いなく、顔無しは魔物の類に違いなかった。
しかし、あんな魔物の話は聞いたことがない。
仮面を被っていたとはいえ、流暢に人間の言葉を喋っていたのである。
一体、どこから声を出していたのだろう。
「あなた、中々いいですね。紛い物にしてはそれなりに力を使いこなせている」
俺はギョッとした。
突如、俺の耳に顔無しの声が聞こえてきたからだ。
だが、その声は立ち上がったままピクリとも動かない顔無しから聞こえてきたわけではなかった。
俺はおそるおそる視線を落とす。
その声は俺が手にしていた、般若の仮面から聞こえてきたのだ。
「うおッ!」
俺は驚いて仮面を投げ捨てようとした。
「――――ッ!」
そこであることに気づく。
「何だと!」
手元から仮面がまったく離れない。
まるで強力な糊か何かで接着されているようだった。
くそっ、何だこれは!
俺は何度も腕を振って仮面を剝がそうとする。
それでも仮面は俺の手から離れる気がしなかった。
「無駄ですよ。もう、あなたは私の一部になったのですから」
仮面からそう聞こえた直後、俺はハッとして顔を正面に向けた。
いつの間にか、目の前まで顔無しが歩み寄っていた。
それだけではない。
顔無しは両手で俺の顔をガシッと掴む。
万力のような凄まじい力だった。
不思議なことに、俺は抵抗できなかった。
顔無しの両手から力というか何というか、自分の持っている色々なモノを吸収されているような感覚があったからだ。
すると凹凸の無い平らな顔に異変が起こった。
俺は大きく目を見開いた。
凹凸の無い平らな顔に、様々な顔の部位が現れてきたからだ。
その現れた顔は……。
「嘘だろう」
俺は驚愕の色を含んだ声で呟く。
目の前には、キース・マクマホンこと俺と同じ顔があった。
俺は瞬きをすることも忘れ、般若面の男の素顔を食い入るように見つめる。
しかし、どれだけ見ようと結果は変わらない。
仮面を剥ぎ取ったその下にあるはずの顔には、まったく何もなかったのだ。
眉毛も――。
両目も――。
鼻も――。
口も――。
顔を構成している部位が1つもそこには存在していなかった。
「ひいッ!」
と、俺は慌てて般若面の男から飛び退った。
「な、何だてめえは!」
俺は叫びながら、頭の中で〝顔無し〟という言葉を思い浮かばせた。
とそのとき――。
仮面を被っていた、元般若面の男――顔無しは上半身だけをゆっくりと起こした。
そのまま顔無しはスクッと立ち上がる。
まるでダメージを負っていないような軽やかな動きだった。
「て、てめえ……魔物の類か?」
いや、確認することでもなかった。
顔がない人間などこの世にはいないのだ。
間違いなく、顔無しは魔物の類に違いなかった。
しかし、あんな魔物の話は聞いたことがない。
仮面を被っていたとはいえ、流暢に人間の言葉を喋っていたのである。
一体、どこから声を出していたのだろう。
「あなた、中々いいですね。紛い物にしてはそれなりに力を使いこなせている」
俺はギョッとした。
突如、俺の耳に顔無しの声が聞こえてきたからだ。
だが、その声は立ち上がったままピクリとも動かない顔無しから聞こえてきたわけではなかった。
俺はおそるおそる視線を落とす。
その声は俺が手にしていた、般若の仮面から聞こえてきたのだ。
「うおッ!」
俺は驚いて仮面を投げ捨てようとした。
「――――ッ!」
そこであることに気づく。
「何だと!」
手元から仮面がまったく離れない。
まるで強力な糊か何かで接着されているようだった。
くそっ、何だこれは!
俺は何度も腕を振って仮面を剝がそうとする。
それでも仮面は俺の手から離れる気がしなかった。
「無駄ですよ。もう、あなたは私の一部になったのですから」
仮面からそう聞こえた直後、俺はハッとして顔を正面に向けた。
いつの間にか、目の前まで顔無しが歩み寄っていた。
それだけではない。
顔無しは両手で俺の顔をガシッと掴む。
万力のような凄まじい力だった。
不思議なことに、俺は抵抗できなかった。
顔無しの両手から力というか何というか、自分の持っている色々なモノを吸収されているような感覚があったからだ。
すると凹凸の無い平らな顔に異変が起こった。
俺は大きく目を見開いた。
凹凸の無い平らな顔に、様々な顔の部位が現れてきたからだ。
その現れた顔は……。
「嘘だろう」
俺は驚愕の色を含んだ声で呟く。
目の前には、キース・マクマホンこと俺と同じ顔があった。
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2021年2月17日 23:39 更新
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