わたしにしか懐かない龍神の子供(?)を拾いました~可愛いんで育てたいと思います

あきた

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第二章

14・新しい家(?)へ

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 診察室の扉ごしに尋ねる薄氷うすらいに、はなだは笑った。

「随分とせっかちだな。妻がそんなに恋しいか?」
「当たり前だろう」

 薄氷の言葉に、キイロは驚いて、縹はキイロに微笑んだ。

「軍人だから不愛想な所もあるが、許してやってくれ。あなたを妻に迎えることを心から待っていたんだ」

 思わず頷くと縹は「いいぞ」と答えた。
 薄氷が診察室のドアを開け、入って来た。
 まっすぐ薄氷を見たのはこれが初めてな気がする。

(綺麗な人)

 キイロは思わず椅子に座ったまま見上げた。
 長身の身体に軍服はあまりにもよく映えて、俳優かと見まごうほどだ。
 立派な診察室とあわせて、映画の中に自分が入り込んでしまったかのような錯覚すらある。

「怪我は」
「打撲だ。薬を塗っいるし、うちからも出しておくから、暫く傷の上に塗って。あとは重いものを持たないようにしておけば良い」
「そうか、助かった。急に済まなかった」
「なに、お前の頼みは珍しいからな。思わずお前の愛妻の顔も見れて良かった」
「見世物じゃない」
「勿論。ああ、奥様、なにかあったらすぐこの病院へ。『縹の客』といえば通るから」
「え、はい、ありがとうございます」
「一応、痛み止めも出しておくから、もし必要なら飲めばいい。軟膏にも少しは痛み止めの効果はあるから、それで足りなかったばあいにな」
「わかった。では行きましょうか」
「は、はい」

 薄氷に支えられ、キイロは立ち上がった。

 薬を受け取り、キイロと子供、そして梅花と薄氷は揃って病院の前へ出た。

(これからどうすればいいのだろう?)

 キイロは困った。
 一応、自分はこの美しい薄氷の妻らしいのだが、この先なにをすればいいのかさっぱりわからないのだ。

「では、八塩やしお梅花うめかさん、すみませんが妻と帝王ていおうホテルまで移動していただけますか?」
「帝王ホテル?」
「ええ。申し訳ないことに、妻の為に用意した家は燃えてしまいましたし、色々、お話しなければならない事もあります。が、妻はいま、一人なので心細いと思いまして」
「それは私はかまいません」

 梅花が言うと、薄氷は頷いた。

「では、ホテルまで馬車でお送りします。私は馬で移動しますので」

 さっきと同じだな、と思うとちょっと安心するな、とキイロは思い頷く。
 馬車に乗り、帝王ホテルへ移動となった。

「すぐよキイロ。もし私がしってる場所ならね」
「そうなの?」
「そうよ。それにしても、この距離の移動でも馬車と使うとか、キイロは本当に大事にされているのね」

 ほう、と梅花はうっとりするが、キイロは判らず首を傾げた。
 梅花の言う通り、ホテルにはすぐ到着した。
 すでに薄氷が待っており、キイロに手を差し伸べた。

「しばらく、このホテルで暮らしてください。必要なものはすぐに用意させますから」

 頷き、薄氷の手を持ってキイロはホテルの中へ入った。

「わあ」

 ホテルの中は絢爛豪華で、まるで海外のお城に来たようだとキイロは思った。
 それもそのはず、このホテルは国賓を招くときにも使われるほど格式の高い場所だった。
 エレベーターを使い、最上階へと案内された。
 どこも初めて見るものばかりで、キイロはきょろきょろした。

(女学校より立派だわ)

 キイロは一応、女学校に通っていて、その学校も良いところの子女が通っていたので勿論立派だったのだが、さっきの診療所もこのホテルも、学校より格式が上だ。

(なんてすごいの)

 壁の装飾も足元の絨毯にも美しい柄があって、踏むのが躊躇されるほどだ。
 しかし薄氷はどんどん先に進んで行く。

「ここが暫く、あなたのお部屋になります。どうぞ」

 薄氷がドアを開け、キイロは部屋へ入る。
 まるで家のように広い場所に、どの部屋だろうときょろっと見渡した。
 目の前は居間だろうか、テーブルと椅子があり、その奥にソファーがある。
 更に奥も部屋があり、さて、自分はどの部屋へ行けばいいのだろうかとキイロは尋ねた。

「あの、どのお部屋を使ったら?」

 薄氷は笑顔で答えた。

「どのお部屋でもどうぞ。このフロアは全て、あなたの家です」

 言われた意味がよく判らず、キイロは首を傾げた。
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