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第三章
18・水のかたまり
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「こいつ、」
警官は引き金に指をかけたが、その時だった。
(―――――!!!!)
子供が、クローゼットから出てきてしまったのだ。
キイロが目を見開いたせいで、警官は異変に気付き、振り返るとそこに子供が立っていた。
「だめ!」
キイロが走り出し、子供を抱きしめようとして、警官が引き金を引いた、その瞬間だった。
どぽんっ、という音と同時に、警官は銃ごと『丸いなにか』に包まれていた。
キイロは慌てて子供を抱きかかえ、部屋の端へと逃げた。
(な、な、な、なに?)
まさか自分の力で?とキイロは疑ったが、ここまでの事が出来たことはない。
「だう」
子供は一言そう呟くと、『丸い何か』の中の警官がぐるぐると回り始めた。
まるで渦の中で振り回されているように。
(あれ、水だ!)
警官をまるごと包んでいる透明な風呂敷のようなものは水で、その中で警官がもがいていた。
ごぼぼっ、と音を立て、必死にもがき、苦しむ様子にキイロは戸惑う。
(さ、さすがに私じゃないわよ?)
確かに変な能力は持っていたが、ここまでのことはやったこともないし、できるとも思えない。
目の前のあまりの光景にキイロはついぼんやりしてしまったが、はっと我に返る。
とにかく子供を守らなくちゃと近寄って必死に抱きかかえた。
すると、その瞬間だった。
ぱちんという大きな音がしたと同時に、ざばっと物凄い勢いで警官を包んでいた水が弾けた。
どすんと警官が落ちてきて、大量の水がばっしゃあああああん、という勢いで流れ、キイロも子供も梅花も、ずぶぬれになった。
警官はおぼれてしまったのか、ぐったりと倒れていた。
「な、な、な、」
なにが起こったのと梅花は言いたいようだったが言葉が出ない。
キイロも一体、なにがどうなっているのか判らない。
すると、激しい足音と共に、誰かが入って来た。
また警官か、とキイロが子供を抱きしめると、入って来たのは薄氷で、背後に何人もの軍人がついてきていた。
「無事ですか?!」
「は、はい、なんとか」
「怪我は?」
「あ、ありません」
どやどやと軍人らが部屋に入り、気を失っている警官を無理矢理に起こす。
「こいつ!一体誰の指示だ!」
「聞くまでもないが、一応吐かせろ」
薄氷はキイロを抱き寄せた。
「怖い思いをさせました。まさか、ここまで追手が来るとは。私の見立てが甘かった」
「追手?警察が?」
一体、なにがどうなっているのか、キイロには理解できず、ただ首を傾げるだけだ。
「―――――あなたにはもっと、楽しく過ごして欲しいと思っていたのに、そうもいかないようです」
薄氷はキイロを抱き寄せてため息をつく。
「迎えをよこしています。梅花さん、巻き込んで申し訳ないが多分、あなたにも危害が及ぶ可能性がる。八塩家の皆さまは?」
「あ、長屋には私と母が。父は働きに行っていて」
「お母さまだけが長屋に?」
「いえ、数名、うちの元従業員らも近くの長屋におります」
「わかりました。その方たちにもお知らせして、一旦安全を確保しましょう。舛花!」
「はい、」
「妻とご友人を私の屋敷に」
「はっ」
「申し訳ありません、本来ならあまり行かせたくはなかったのですが、そうも言っていられません。一番安全な場所へご案内します。私もすぐ後で向かいます」
「は、はい?」
混乱するキイロだったが、舛花と呼ばれた薄氷の部下に「こちらへ」と言われ、ついていくしかなかった。
ホテルの横には滅多に見ない、立派な黒い車が用意されていた。
「どうぞ」
「いえ、あの」
キイロも梅花も顔を見合わせる。
なぜなら二人ともずぶ濡れだったからだ。
「そのままで結構です。お急ぎになって下さい」
舛花に言われ、二人は頷き、車に乗り込んだ。
シートが濡れるのが気になったが、仕方ない。
車はキイロと梅花が乗り込むとすぐに出発した。
(この子が風邪ひかなきゃいいんだけど)
ずぶぬれになった子供が心配だったが、むしろ機嫌が良かった。
(一体、なんなのかしら)
昨日からあまりにめまぐるしくて、キイロはもうついていけそうにない。
(私って、どんな夫と結婚してしまったんだろう)
警官は引き金に指をかけたが、その時だった。
(―――――!!!!)
子供が、クローゼットから出てきてしまったのだ。
キイロが目を見開いたせいで、警官は異変に気付き、振り返るとそこに子供が立っていた。
「だめ!」
キイロが走り出し、子供を抱きしめようとして、警官が引き金を引いた、その瞬間だった。
どぽんっ、という音と同時に、警官は銃ごと『丸いなにか』に包まれていた。
キイロは慌てて子供を抱きかかえ、部屋の端へと逃げた。
(な、な、な、なに?)
まさか自分の力で?とキイロは疑ったが、ここまでの事が出来たことはない。
「だう」
子供は一言そう呟くと、『丸い何か』の中の警官がぐるぐると回り始めた。
まるで渦の中で振り回されているように。
(あれ、水だ!)
警官をまるごと包んでいる透明な風呂敷のようなものは水で、その中で警官がもがいていた。
ごぼぼっ、と音を立て、必死にもがき、苦しむ様子にキイロは戸惑う。
(さ、さすがに私じゃないわよ?)
確かに変な能力は持っていたが、ここまでのことはやったこともないし、できるとも思えない。
目の前のあまりの光景にキイロはついぼんやりしてしまったが、はっと我に返る。
とにかく子供を守らなくちゃと近寄って必死に抱きかかえた。
すると、その瞬間だった。
ぱちんという大きな音がしたと同時に、ざばっと物凄い勢いで警官を包んでいた水が弾けた。
どすんと警官が落ちてきて、大量の水がばっしゃあああああん、という勢いで流れ、キイロも子供も梅花も、ずぶぬれになった。
警官はおぼれてしまったのか、ぐったりと倒れていた。
「な、な、な、」
なにが起こったのと梅花は言いたいようだったが言葉が出ない。
キイロも一体、なにがどうなっているのか判らない。
すると、激しい足音と共に、誰かが入って来た。
また警官か、とキイロが子供を抱きしめると、入って来たのは薄氷で、背後に何人もの軍人がついてきていた。
「無事ですか?!」
「は、はい、なんとか」
「怪我は?」
「あ、ありません」
どやどやと軍人らが部屋に入り、気を失っている警官を無理矢理に起こす。
「こいつ!一体誰の指示だ!」
「聞くまでもないが、一応吐かせろ」
薄氷はキイロを抱き寄せた。
「怖い思いをさせました。まさか、ここまで追手が来るとは。私の見立てが甘かった」
「追手?警察が?」
一体、なにがどうなっているのか、キイロには理解できず、ただ首を傾げるだけだ。
「―――――あなたにはもっと、楽しく過ごして欲しいと思っていたのに、そうもいかないようです」
薄氷はキイロを抱き寄せてため息をつく。
「迎えをよこしています。梅花さん、巻き込んで申し訳ないが多分、あなたにも危害が及ぶ可能性がる。八塩家の皆さまは?」
「あ、長屋には私と母が。父は働きに行っていて」
「お母さまだけが長屋に?」
「いえ、数名、うちの元従業員らも近くの長屋におります」
「わかりました。その方たちにもお知らせして、一旦安全を確保しましょう。舛花!」
「はい、」
「妻とご友人を私の屋敷に」
「はっ」
「申し訳ありません、本来ならあまり行かせたくはなかったのですが、そうも言っていられません。一番安全な場所へご案内します。私もすぐ後で向かいます」
「は、はい?」
混乱するキイロだったが、舛花と呼ばれた薄氷の部下に「こちらへ」と言われ、ついていくしかなかった。
ホテルの横には滅多に見ない、立派な黒い車が用意されていた。
「どうぞ」
「いえ、あの」
キイロも梅花も顔を見合わせる。
なぜなら二人ともずぶ濡れだったからだ。
「そのままで結構です。お急ぎになって下さい」
舛花に言われ、二人は頷き、車に乗り込んだ。
シートが濡れるのが気になったが、仕方ない。
車はキイロと梅花が乗り込むとすぐに出発した。
(この子が風邪ひかなきゃいいんだけど)
ずぶぬれになった子供が心配だったが、むしろ機嫌が良かった。
(一体、なんなのかしら)
昨日からあまりにめまぐるしくて、キイロはもうついていけそうにない。
(私って、どんな夫と結婚してしまったんだろう)
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