わたしにしか懐かない龍神の子供(?)を拾いました~可愛いんで育てたいと思います

あきた

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第四章

26・自分のルーツ

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 驚くキイロに、おぼろは続けた。

「今更ですから、ぶしつけながら申しますと、あなたのお父様のレベルで現状の職につけているのは、末端とはいえ『我々の一族であった』からの待遇に他なりません」
「でも、父にはそんな能力はありませんでしたし」

 すると朧はふっと笑った。

「当然でしょう。なぜなら、あなたの父は、我々と何の関係もない。あなたのお母様こそが、我々の一族の関係でした」
「―――――え?」
「あなたは自分の名前を失っている。だから、そんなにも力が弱い。とはいえ、そこまで名前を縛られてなお、能力が出せるのは、素晴らしい事だと思うのですが」
「名前?を失っている?」
「そうです。あなたの名前は、今の名前と全く関係がありません。蘇芳家はあなたのお父様の名字、しかし本来の母方の名前は違うはず」
「そうなんですか?」

 そういえば、キイロは母の名前を知らない。

(え?待って?)

 いくらなんでも、母親の名前を知らないなんてありえない。
 でも思い出すのは、にっくき義理の母の名前ばかりで、実の母の、名前も、顔も、なにもかも思い出せなかった。

「あなたの名前を変える事で、我々の目からあなたを隠し、そしてあなたの記憶も奪った。あなたを探すのは、けっこう苦労しましたよ」
「私の名前が変わっただけで、そんなにも?」
「ではお尋ねします。あなたの『今の』お名前は?」
蘇芳すおう、キイロ、です」
「では、蘇芳とはどなたの名字ですか?」
「どなたの、って……それは、父の」
「いえ、違うんです。蘇芳家とは何のゆかりもないんです」
「―――――え?」

 ますますキイロは混乱した。

「蘇芳家は、実は南の一族の末裔でもあるのです。ただ、あなたのお父様は名前の割に、あまりに蘇芳家としてはおかしいので調べさせて貰いました。あなたの義理の母は、以前、蘇芳家の人間に無理やり『養子』としてもぐりこんでいた。自分の息子を含め、です。蘇芳家のある遠縁の老婆に取り入って、無理に自分を養子にさせ取り入り。やがてあなたのお父様に目をつけ、再婚。そして蘇芳の名前へ変わった」
「ということは、蘇芳は義母の名前なんですか?」
「ええ。あなたのお父様は、そちらのほうが名前の力が強い事を知って、あなたのお母様の立場と、蘇芳家の妻、という肩書も同時に使っていまの場所まで出世しました。実力はそこまでではありませんがね」
「そんなこと、知らなかった」
「それはそうでしょう。あなたはまだ子供だったんですから」

 知らない間に自分の名前がいくつも変わり、しかもよく覚えてすらいないという事実にキイロは驚く。

「だったら……わたしは、自分のルーツとなる名前ではなかった、という事ですか?」
「ええ」

 朧は頷く。

「わたしがあなたと初めて会った時、あなたは別の名前で呼ばれていましたよ」
「別の名前?」
「あなたの本当の名前です。いまの、そんな馬鹿げた呼び名ではなく」
「バカげた……」

 キイロは自分の髪をゆっくり撫でた。
 黄色い髪をしていたから、お前の名前はキイロなのだと言われて、それを本気にしていた。

「わたしの、本当の名前は違うんですね」
「ええ。でもその名前を、いま告げる訳にはいきません」
「なぜですか?」
「―――――そのうち、自分で思い出すでしょう。そしてそのほうが、あなたに負担もかからないし、能力も全てもとに戻るはず」
「能力……」
「あなたには素晴らしい能力がある。でも、それも諸刃の剣となってしまう。あなたがこれまで、ろくな目にあわなかったのはそのせいです」
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