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第五章
34・必ず式を
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朧が部屋へ戻ると、キイロとりんが遊んでいた。
(外見で考えれば、五歳程度か)
キイロは子供のあつかいに慣れている様子で、笑いながらキイロとはしゃいでいる。
「すみません、戻りました」
「いえ、おきになさらず。遊んでいましたから」
キイロがそう言うと、りんも一緒に「ねー」と笑う。
随分と機嫌がよく、朧はさりげなく廊下から外を覗き見た。
天候は、ちいさな雨が降る天気雨。
きらきらと霧のように雨が降り、しとしととこの屋敷の周りを包んでいる。
(りん様の機嫌のおかげか)
この小ささでこの能力、なんとしてでも奪おうとしてくるはずだ。
そしていつくらいになれば、元の姿に戻るのだろうか。
「だっこ」
りんが手を伸ばすと、キイロは「はいはい」と抱っこする。
暫くして飽きたら降りて、一人で遊んで、また「抱っこ」と甘える。
その繰り返しだ。
「楽しいですか?」
「ええ。子供と一緒にいるのは好きです」
キイロはそう答えた。
「近所の子供を預かって、お礼を貰ったりしてけっこう良いお小遣い稼ぎになったんですよ。ご近所の方は、私が困ってるのを知ってるから、わざと預けてくれたり」
「御近所には恵まれていたんですね」
「はい。だから嫁入り前の挨拶位ちゃんとしたかったんですが」
それすら、どころか嫁入りの日すら知らされずに、強引に押しやられたのでキイロはなにも出来なかった。
「こんなに立派な所に来れるなら、一言でも伝えて安心させてあげたかったです」
「じゃあ、そうしましょう」
「え?」
「別に結婚式はまだあげていませんし、わたしはしないつもりはありません。なにせ、当日にまさか火事になるとも思っていませんでしたし」
朧の言葉にキイロは驚く。
「式をするんですか?」
「勿論です。本来なら、あなた自身、式が楽しみになるように、色々送っていたのですが」
まさかのキイロの義母が使いまくって、挙句台無しにしてしまうとは。
(必ずカタをつけさせてやる)
金が惜しいわけはないが、キイロの為に用意してあれこれが全部あの女に触られたと思ったらそれだけで朧は怒りがこみあげてくる。
「―――――申し訳ありません。私の義母のせいで」
しゅんとするキイロに朧は慌てた。
「あなたがなにを謝るんですか。悪いのはあなたじゃない」
「でも私の家族のせいで」
「もうあなたの家族じゃない」
朧はそう冷たく言い放った。
「あなたは藍銅家の娘になったんです。さっきの人があなたの父親、そして母親もいます」
そうだ、父親がいるという事は母親もいるという事だ。
「御挨拶とかは」
「どうせ会う事になりますから。そしていずれ、あなたはわたしと家族になるんです」
微笑まれ、キイロは頷く。
現実味は全くなかったが、こんなにもよくしてくれているのは、きっと嘘ではないのだろう。
「ですが、その前に、りん様をある程度お育てして、そしてあなたの友人の家を再興しなければなりません。わたしとしてはいますぐ式を挙げたいのですがね」
「朧様はお仕事は」
「多分暫く、あなたと関われると思います」
仕事はいくらでもある。
だが、それよりも一番いまりんに関わる事が一族で一番優先される。
「あなたはどうか、自分を大切にして。式からずっと、こんな事に巻き込んでしまった私がいうのもおかしな話ですが」
「いえ、そんなの。朧様のせいじゃありませんから」
でしょう?とキイロが尋ねると、朧は「ええ」と微笑んだ。
梅花は暫く、薄氷家の屋敷で過ごすことになった。
「両親や家族には薄氷家から連絡が行くそうなの。すぐに変わりの家も商店も用意してくださるって!」
「良かったわね、梅花」
朧が気を使って、梅花とキイロは同じ部屋で過ごすことになった。
ベッドとソファー、テーブルに簡易的なキッチン迄。
まるで上等のホテルのようなゲストルームだ。
「おちゃがほしい」
「はいはい、いま用意しましょうね」
りんがキイロの袖を引っ張り、キイロは微笑んでお茶の支度にとりかかる。
(外見で考えれば、五歳程度か)
キイロは子供のあつかいに慣れている様子で、笑いながらキイロとはしゃいでいる。
「すみません、戻りました」
「いえ、おきになさらず。遊んでいましたから」
キイロがそう言うと、りんも一緒に「ねー」と笑う。
随分と機嫌がよく、朧はさりげなく廊下から外を覗き見た。
天候は、ちいさな雨が降る天気雨。
きらきらと霧のように雨が降り、しとしととこの屋敷の周りを包んでいる。
(りん様の機嫌のおかげか)
この小ささでこの能力、なんとしてでも奪おうとしてくるはずだ。
そしていつくらいになれば、元の姿に戻るのだろうか。
「だっこ」
りんが手を伸ばすと、キイロは「はいはい」と抱っこする。
暫くして飽きたら降りて、一人で遊んで、また「抱っこ」と甘える。
その繰り返しだ。
「楽しいですか?」
「ええ。子供と一緒にいるのは好きです」
キイロはそう答えた。
「近所の子供を預かって、お礼を貰ったりしてけっこう良いお小遣い稼ぎになったんですよ。ご近所の方は、私が困ってるのを知ってるから、わざと預けてくれたり」
「御近所には恵まれていたんですね」
「はい。だから嫁入り前の挨拶位ちゃんとしたかったんですが」
それすら、どころか嫁入りの日すら知らされずに、強引に押しやられたのでキイロはなにも出来なかった。
「こんなに立派な所に来れるなら、一言でも伝えて安心させてあげたかったです」
「じゃあ、そうしましょう」
「え?」
「別に結婚式はまだあげていませんし、わたしはしないつもりはありません。なにせ、当日にまさか火事になるとも思っていませんでしたし」
朧の言葉にキイロは驚く。
「式をするんですか?」
「勿論です。本来なら、あなた自身、式が楽しみになるように、色々送っていたのですが」
まさかのキイロの義母が使いまくって、挙句台無しにしてしまうとは。
(必ずカタをつけさせてやる)
金が惜しいわけはないが、キイロの為に用意してあれこれが全部あの女に触られたと思ったらそれだけで朧は怒りがこみあげてくる。
「―――――申し訳ありません。私の義母のせいで」
しゅんとするキイロに朧は慌てた。
「あなたがなにを謝るんですか。悪いのはあなたじゃない」
「でも私の家族のせいで」
「もうあなたの家族じゃない」
朧はそう冷たく言い放った。
「あなたは藍銅家の娘になったんです。さっきの人があなたの父親、そして母親もいます」
そうだ、父親がいるという事は母親もいるという事だ。
「御挨拶とかは」
「どうせ会う事になりますから。そしていずれ、あなたはわたしと家族になるんです」
微笑まれ、キイロは頷く。
現実味は全くなかったが、こんなにもよくしてくれているのは、きっと嘘ではないのだろう。
「ですが、その前に、りん様をある程度お育てして、そしてあなたの友人の家を再興しなければなりません。わたしとしてはいますぐ式を挙げたいのですがね」
「朧様はお仕事は」
「多分暫く、あなたと関われると思います」
仕事はいくらでもある。
だが、それよりも一番いまりんに関わる事が一族で一番優先される。
「あなたはどうか、自分を大切にして。式からずっと、こんな事に巻き込んでしまった私がいうのもおかしな話ですが」
「いえ、そんなの。朧様のせいじゃありませんから」
でしょう?とキイロが尋ねると、朧は「ええ」と微笑んだ。
梅花は暫く、薄氷家の屋敷で過ごすことになった。
「両親や家族には薄氷家から連絡が行くそうなの。すぐに変わりの家も商店も用意してくださるって!」
「良かったわね、梅花」
朧が気を使って、梅花とキイロは同じ部屋で過ごすことになった。
ベッドとソファー、テーブルに簡易的なキッチン迄。
まるで上等のホテルのようなゲストルームだ。
「おちゃがほしい」
「はいはい、いま用意しましょうね」
りんがキイロの袖を引っ張り、キイロは微笑んでお茶の支度にとりかかる。
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