44 / 101
第七章
44・素敵なデザート
しおりを挟む
(うわ、やっぱ朧様ってすごいんだ)
そんな事を考えながら朧はキイロの手を取り、椅子にすすめた。
「ありがとうございます」
「いいえ、こちらこそ。友人のお店に呼んでしまって。気に入っていただけると良いのですが」
朧が言うと、青白が言った。
「気に入ったよな?」
「勿論です。とても素敵なお店で。こんなに素敵な場所に来たことがなくて」
「ホラ、どうだ朧、俺のおかげだろ?」
「まだ判りませんよ。あくまで店の事だけなので」
「なんだと?見とけよ、最高のデザート持ってきてやるからな!」
そういうと青白は厨房へはりきって戻って行った。
「お友達なんですか?」
「ええ。腐れ縁というか、幼馴染ですね。気のいい奴で、信頼しています。あなたでいうと梅花さんの立場かな」
「じゃあ、大親友です」
キイロが言うと梅花も「そうね」と頷く。
(信頼できる方がいるのね、良かった)
キイロが思っていると梅花が尋ねた。
「このお店、朧様のお友達のだったんですね」
「ええ。彼とは幼馴染で、元々自分の店を持ちたいとずっと言っていましたからね。夢が叶って喜んでいますよ」
「とっても素敵なお店です」
「あなたに喜んでいただけるのなら、あいつにお礼を言わなくちゃ」
そして朧は続けた。
「あなたのその着物、昨日見てもよかったけれど、今日は一段と映えますね。とても可愛い」
人前で褒められて、キイロは赤くなる。
朧は機嫌よくずっとニコニコしていて、その様子を周りの女性がじっと観察しているのも見える。
(やっぱり、何度見ても信じられないな)
まさか自分みたいな、貧相な小娘にこんな素敵な人が結婚してくれるなんて。
(実際はまだだけど。多分)
「今日は行けませんけど、今度はお休みを頂いたらあなたの好きなものを買いにいきましょうね。こう見えても甲斐性はそこそこありますよ」
「そんな。こんなに素敵な着物を頂いたのに」
「それは藍銅伯爵からのプレゼントでしょう?わたしはまだあなたに全然なにも与えてない」
「いえ、毎日十分な生活を頂いてます」
キイロは思う。
ごはんも、おふとんも、働くこともせず、りんと一緒に絵本を読んで、プレゼントをあけて、着替えてはしゃいで。
「とっても幸せです」
「足りませんよ」
朧は言う。
「あなたがわたしにあたえてくれた幸福に比べたら到底足りません」
その事を全く覚えていないキイロからしたら、誰かの利益を取っているような気すらする。
(本当に私なんだろうか)
ただ、朧が持っていた写真は間違いなく自分だし、ここまでいろいろできる朧が間違えることもないだろうし。
曖昧なままなのでちょっとは不安があるのだけど。
「さあ、お嬢さん、お坊ちゃんがた、お待ちかねの特別デザートですよ!自慢の品だ!」
そういって青白が次々にテーブルの上にデザートを置いた。
突然、りんの目が輝く。
「うまそうじゃ!」
「そうだぞ、ぜんぶうまいぞ!」
三段重ねのデザート皿には見たことのない綺麗なものが沢山重なっていて、次々に可愛らしいケーキやデザートが並べられた。
「これが当店の、目玉商品だ!」
それはまるで海の浅瀬を思わせるような、薄い水色のソーダ水だ。
グラスの中の氷がゆっくりまわり、氷の上には丸いアイスが乗っかっている。
「なんじゃこれは!」
りんが驚き言うので、「ソーダです」と梅花が答えた。
「のむ!のむ!」
はりきって手を伸ばすので、梅花とキイロはりんの前にソーダを移動させた。
「慌てないで、どうぞ」
「いただく!」
そういってりんはストローをくわえた。
一生懸命ソーダを吸う姿が可愛くて、つい微笑んでいると、朧も微笑んでいた。
「どうぞあなたも」
「ええ、いただきます」
キイロは勧められた銀の器をうけとり、中を見た。
まるで薔薇のようにきれいに飾られたアイスと、きらきら輝く星のような氷と、砕かれたゼリー、フルーツが綺麗に切られて並んでいる。
そんな事を考えながら朧はキイロの手を取り、椅子にすすめた。
「ありがとうございます」
「いいえ、こちらこそ。友人のお店に呼んでしまって。気に入っていただけると良いのですが」
朧が言うと、青白が言った。
「気に入ったよな?」
「勿論です。とても素敵なお店で。こんなに素敵な場所に来たことがなくて」
「ホラ、どうだ朧、俺のおかげだろ?」
「まだ判りませんよ。あくまで店の事だけなので」
「なんだと?見とけよ、最高のデザート持ってきてやるからな!」
そういうと青白は厨房へはりきって戻って行った。
「お友達なんですか?」
「ええ。腐れ縁というか、幼馴染ですね。気のいい奴で、信頼しています。あなたでいうと梅花さんの立場かな」
「じゃあ、大親友です」
キイロが言うと梅花も「そうね」と頷く。
(信頼できる方がいるのね、良かった)
キイロが思っていると梅花が尋ねた。
「このお店、朧様のお友達のだったんですね」
「ええ。彼とは幼馴染で、元々自分の店を持ちたいとずっと言っていましたからね。夢が叶って喜んでいますよ」
「とっても素敵なお店です」
「あなたに喜んでいただけるのなら、あいつにお礼を言わなくちゃ」
そして朧は続けた。
「あなたのその着物、昨日見てもよかったけれど、今日は一段と映えますね。とても可愛い」
人前で褒められて、キイロは赤くなる。
朧は機嫌よくずっとニコニコしていて、その様子を周りの女性がじっと観察しているのも見える。
(やっぱり、何度見ても信じられないな)
まさか自分みたいな、貧相な小娘にこんな素敵な人が結婚してくれるなんて。
(実際はまだだけど。多分)
「今日は行けませんけど、今度はお休みを頂いたらあなたの好きなものを買いにいきましょうね。こう見えても甲斐性はそこそこありますよ」
「そんな。こんなに素敵な着物を頂いたのに」
「それは藍銅伯爵からのプレゼントでしょう?わたしはまだあなたに全然なにも与えてない」
「いえ、毎日十分な生活を頂いてます」
キイロは思う。
ごはんも、おふとんも、働くこともせず、りんと一緒に絵本を読んで、プレゼントをあけて、着替えてはしゃいで。
「とっても幸せです」
「足りませんよ」
朧は言う。
「あなたがわたしにあたえてくれた幸福に比べたら到底足りません」
その事を全く覚えていないキイロからしたら、誰かの利益を取っているような気すらする。
(本当に私なんだろうか)
ただ、朧が持っていた写真は間違いなく自分だし、ここまでいろいろできる朧が間違えることもないだろうし。
曖昧なままなのでちょっとは不安があるのだけど。
「さあ、お嬢さん、お坊ちゃんがた、お待ちかねの特別デザートですよ!自慢の品だ!」
そういって青白が次々にテーブルの上にデザートを置いた。
突然、りんの目が輝く。
「うまそうじゃ!」
「そうだぞ、ぜんぶうまいぞ!」
三段重ねのデザート皿には見たことのない綺麗なものが沢山重なっていて、次々に可愛らしいケーキやデザートが並べられた。
「これが当店の、目玉商品だ!」
それはまるで海の浅瀬を思わせるような、薄い水色のソーダ水だ。
グラスの中の氷がゆっくりまわり、氷の上には丸いアイスが乗っかっている。
「なんじゃこれは!」
りんが驚き言うので、「ソーダです」と梅花が答えた。
「のむ!のむ!」
はりきって手を伸ばすので、梅花とキイロはりんの前にソーダを移動させた。
「慌てないで、どうぞ」
「いただく!」
そういってりんはストローをくわえた。
一生懸命ソーダを吸う姿が可愛くて、つい微笑んでいると、朧も微笑んでいた。
「どうぞあなたも」
「ええ、いただきます」
キイロは勧められた銀の器をうけとり、中を見た。
まるで薔薇のようにきれいに飾られたアイスと、きらきら輝く星のような氷と、砕かれたゼリー、フルーツが綺麗に切られて並んでいる。
93
あなたにおすすめの小説
無能令嬢、『雑役係』として辺境送りされたけど、世界樹の加護を受けて規格外に成長する
タマ マコト
ファンタジー
名門エルフォルト家の長女クレアは、生まれつきの“虚弱体質”と誤解され、家族から無能扱いされ続けてきた。
社交界デビュー目前、突然「役立たず」と決めつけられ、王都で雑役係として働く名目で辺境へ追放される。
孤独と諦めを抱えたまま向かった辺境の村フィルナで、クレアは自分の体調がなぜか安定し、壊れた道具や荒れた土地が彼女の手に触れるだけで少しずつ息を吹き返す“奇妙な変化”に気づく。
そしてある夜、瘴気に満ちた森の奥から呼び寄せられるように、一人で足を踏み入れた彼女は、朽ちた“世界樹の分枝”と出会い、自分が世界樹の血を引く“末裔”であることを知る——。
追放されたはずの少女が、世界を動かす存在へ覚醒する始まりの物語。
【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~
いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。
地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。
「――もう、草とだけ暮らせればいい」
絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。
やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる――
「あなたの薬に、国を救ってほしい」
導かれるように再び王都へと向かうレイナ。
医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。
薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える――
これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
『悪役令嬢は、二度目の人生で無言を貫く。~処刑回避のために黙っていただけなのに、なぜか冷徹宰相様から「君こそ運命の人だ」と溺愛さています~』
放浪人
恋愛
「もう、余計なことは喋りません(処刑されたくないので!)」
王太子の婚約者エリスは、無実の罪を着せられた際、必死に弁解しようと叫び散らした結果「見苦しい」と断罪され、処刑されてしまった。 死に戻った彼女は悟る。「口は災いの元。二度目の人生は、何があっても口を閉ざして生き延びよう」と。
しかし、断罪の場で恐怖のあまり沈黙を貫いた結果、その姿は「弁解せず耐え忍ぶ高潔な令嬢」として称賛されてしまう。 さらに、人間嫌いの冷徹宰相クラウスに「私の静寂を理解する唯一の女性」と盛大な勘違いをされ、求婚されてしまい……!?
「君の沈黙は、愛の肯定だね?」(違います、怖くて固まっているだけです!) 「この国の危機を、一目で見抜くとは」(ただ臭かったから鼻を押さえただけです!)
怯えて黙っているだけの元悪役令嬢と、彼女の沈黙を「深遠な知性」と解釈して溺愛する最強宰相。 転生ヒロインの妨害も、隣国の陰謀も、全て「無言」で解決(?)していく、すれ違いロマンティック・コメディ! 最後はちゃんと言葉で愛を伝えて、最高のハッピーエンドを迎えます。
追放された宮廷薬師、科学の力で不毛の地を救い、聡明な第二王子に溺愛される
希羽
ファンタジー
王国の土地が「灰色枯病」に蝕まれる中、若干25歳で宮廷薬師長に就任したばかりの天才リンは、その原因が「神の祟り」ではなく「土壌疲弊」であるという科学的真実を突き止める。しかし、錬金術による安易な「奇跡」にすがりたい国王と、彼女を妬む者たちの陰謀によって、リンは国を侮辱した反逆者の濡れ衣を着せられ、最も不毛な土地「灰の地」へ追放されてしまう。
すべてを奪われた彼女に残されたのは、膨大な科学知識だけだった。絶望の地で、リンは化学、物理学、植物学を駆使して生存基盤を確立し、やがて同じく見捨てられた者たちと共に、豊かな共同体「聖域」をゼロから築き上げていく。
その様子を影から見守り、心を痛めていたのは、第二王子アルジェント。宮廷で唯一リンの価値を理解しながらも、彼女の追放を止められなかった無力な王子だった。
乙女ゲームに転生したら不遇ヒロインでしたが、真エンドは自分で選びます
タマ マコト
ファンタジー
社畜のように他人の期待に応える人生を送り、事故で命を落とした朝霧玲奈は、かつて遊んでいた乙女ゲームの世界に“不遇ヒロイン”として転生する。
努力しても報われず、最終的に追放される役割を知った彼女は、誰かに選ばれる物語を拒否し、自分の意志で生きることを決意する。
さて、物語はどう変化するのか……。
失恋までが初恋です。
あんど もあ
ファンタジー
私の初恋はお兄様。お兄様は、私が五歳の時にご両親を亡くして我が家にやって来て私のお兄様になってくださった方。私は三歳年上の王子様のようなお兄様に一目ぼれでした。それから十年。お兄様にはルシンダ様と言う婚約者が、私にも婚約者らしき者がいますが、初恋は続行中ですの。
そんなマルティーナのお話。
オネエ伯爵、幼女を拾う。~実はこの子、逃げてきた聖女らしい~
雪丸
ファンタジー
アタシ、アドルディ・レッドフォード伯爵。
突然だけど今の状況を説明するわ。幼女を拾ったの。
多分年齢は6~8歳くらいの子。屋敷の前にボロ雑巾が落ちてると思ったらびっくり!人だったの。
死んでる?と思ってその辺りに落ちている木で突いたら、息をしていたから屋敷に運んで手当てをしたのよ。
「道端で倒れていた私を助け、手当を施したその所業。賞賛に値します。(盛大なキャラ作り中)」
んま~~~尊大だし図々しいし可愛くないわ~~~!!
でも聖女様だから変な扱いもできないわ~~~!!
これからアタシ、どうなっちゃうのかしら…。
な、ラブコメ&ファンタジーです。恋の進展はスローペースです。
小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。(敬称略)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる