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第十章
64・二人の朧?
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「争わずに済む方法はないのか、と言いたいが」
「無理だろうな。もうここまで行くとあちらも保身は考えていないだろう」
「陛下のお心を無下にして……!」
朧は唇を噛むが、どうしようもない。
「あの方もお前と思が婚姻すると思い込んでいたからな。そうならずに追い詰められたんだろう」
「だからといって、橡ともあろうものが」
「もうそこまで考えてられないのだろう。どっちにしろ彼は失脚する。むしろそれまでお前たちは身の安全を確保するべきだな」
「この屋敷でか?」
「屋敷内は心配していない。だが、ずっと籠っているわけにもいかないだろう?」
確かにそうだと朧は頷く。
「いずれ細君と表に出る事もあるだろう。それまでには片付けないと」
「そうだな。彼女をいつまでも閉じ込めておくわけにはいかない」
ずっと彼女を探して、その境遇を知って必ず幸福にすると決めた。
「早めにカタをつけたい。お前は」
「勿論お前に協力するよ、朧。実力の差は判っているつもりだ。叔父上はまだ幻想を抱えているようだがな。昔の潤朱とは違う事をどうしても認められないのだろう」
溜息をつく葵に、こっちも大変なのだなと同情した。
「それよりお前、呪いの傷は?」
「殆ど治ったよ。だが、こんなに早いということは」
「ああ。叔父上に呪いが戻ったのなら叔父上もただではすんでいない。こちらは気づかないふりをしているが」
「叔父上は同じ屋敷だったか?」
「いや、別棟に居る。誰が尋ねたかくらいは調べさせてあるが」
「じゃあ、それが詳しくわかったら舛花に知らせてくれ」
「わかった」
朧と葵は互いに頷いた。
葵が帰り、朧はほっと溜息をつく。
(あいつも大変なんだな)
家の繋がりは面倒なことが多いが、潤朱も一筋縄ではいかないのだろう。
その点、龍の一族は結束が固い。
そこはまだ救いだったが。
「朧様、よろしいでしょうか」
「どうした?」
「実は昨夜から奥様が」
「ムーランが?どうした?」
「あの、一度見ていただければ」
朧は慌て、キイロの部屋へ向かった。
「開けます!」
部屋に入ると、キイロがすやすやと眠っているところで、朧はあっけにとられた。
「気持ちよさそうに眠っているじゃないですか」
「それが、昨夜から続けてずっとお休みなんです」
「ずっと……?」
確かに睡眠時間としては長いかもしれないが。
すると、キイロの布団の中でなにかがもぞっと動いた。
朧が布団をめくると、そこには銀髪の男が傍で眠っていて、朧は驚いて誰だ、と叫びそうになったが、ふと気づく。
「―――――りん、様」
「うん?」
そういってもぞもぞと起き上った男は、朧によく似ていた。
銀色の長い髪、白い肌、そしてかなりがっしりとした体つき。
「朧様……は双子では」
「ない。それにしても」
「うん?なんだ、ほとんどもとに戻ってきているようじゃないか」
りんはそう言って、自分に触れた。
「うん、なんかでかいの」
「かなり大きくなられています」
そういって部屋の奥にあった姿見を見た。
「お前にそっくりじゃないか」
「元々は同じ一族、ではありますが」
「多分、知らぬ間にお前の気に触れたせいじゃの。そのうちもとにもどるじゃろう」
朧がなにか言いたげにじっとりんをみつめているので、りんは笑った。
「なにを考えておる。一緒に寝ておっただけじゃ。こいつの傍は気の流れが心地よい。それに気づいた。われの気を纏った子らは、ぬしたちじゃったんじゃの。思い出したわ」
「彼女は」
「いま夢の中におる。やれ、おこそうかの」
そういってりんはキイロを揺さぶった。
「これ、起きい。眠った気はせんじゃろうがの」
キイロはゆっくり目をあけた。
目の前に朧が二人いて、あまりのことに一気に目が冴えた。
「お、朧様が二人?!!!」
「違うぞ」
「違います」
二人は同時にそう答えた。
「無理だろうな。もうここまで行くとあちらも保身は考えていないだろう」
「陛下のお心を無下にして……!」
朧は唇を噛むが、どうしようもない。
「あの方もお前と思が婚姻すると思い込んでいたからな。そうならずに追い詰められたんだろう」
「だからといって、橡ともあろうものが」
「もうそこまで考えてられないのだろう。どっちにしろ彼は失脚する。むしろそれまでお前たちは身の安全を確保するべきだな」
「この屋敷でか?」
「屋敷内は心配していない。だが、ずっと籠っているわけにもいかないだろう?」
確かにそうだと朧は頷く。
「いずれ細君と表に出る事もあるだろう。それまでには片付けないと」
「そうだな。彼女をいつまでも閉じ込めておくわけにはいかない」
ずっと彼女を探して、その境遇を知って必ず幸福にすると決めた。
「早めにカタをつけたい。お前は」
「勿論お前に協力するよ、朧。実力の差は判っているつもりだ。叔父上はまだ幻想を抱えているようだがな。昔の潤朱とは違う事をどうしても認められないのだろう」
溜息をつく葵に、こっちも大変なのだなと同情した。
「それよりお前、呪いの傷は?」
「殆ど治ったよ。だが、こんなに早いということは」
「ああ。叔父上に呪いが戻ったのなら叔父上もただではすんでいない。こちらは気づかないふりをしているが」
「叔父上は同じ屋敷だったか?」
「いや、別棟に居る。誰が尋ねたかくらいは調べさせてあるが」
「じゃあ、それが詳しくわかったら舛花に知らせてくれ」
「わかった」
朧と葵は互いに頷いた。
葵が帰り、朧はほっと溜息をつく。
(あいつも大変なんだな)
家の繋がりは面倒なことが多いが、潤朱も一筋縄ではいかないのだろう。
その点、龍の一族は結束が固い。
そこはまだ救いだったが。
「朧様、よろしいでしょうか」
「どうした?」
「実は昨夜から奥様が」
「ムーランが?どうした?」
「あの、一度見ていただければ」
朧は慌て、キイロの部屋へ向かった。
「開けます!」
部屋に入ると、キイロがすやすやと眠っているところで、朧はあっけにとられた。
「気持ちよさそうに眠っているじゃないですか」
「それが、昨夜から続けてずっとお休みなんです」
「ずっと……?」
確かに睡眠時間としては長いかもしれないが。
すると、キイロの布団の中でなにかがもぞっと動いた。
朧が布団をめくると、そこには銀髪の男が傍で眠っていて、朧は驚いて誰だ、と叫びそうになったが、ふと気づく。
「―――――りん、様」
「うん?」
そういってもぞもぞと起き上った男は、朧によく似ていた。
銀色の長い髪、白い肌、そしてかなりがっしりとした体つき。
「朧様……は双子では」
「ない。それにしても」
「うん?なんだ、ほとんどもとに戻ってきているようじゃないか」
りんはそう言って、自分に触れた。
「うん、なんかでかいの」
「かなり大きくなられています」
そういって部屋の奥にあった姿見を見た。
「お前にそっくりじゃないか」
「元々は同じ一族、ではありますが」
「多分、知らぬ間にお前の気に触れたせいじゃの。そのうちもとにもどるじゃろう」
朧がなにか言いたげにじっとりんをみつめているので、りんは笑った。
「なにを考えておる。一緒に寝ておっただけじゃ。こいつの傍は気の流れが心地よい。それに気づいた。われの気を纏った子らは、ぬしたちじゃったんじゃの。思い出したわ」
「彼女は」
「いま夢の中におる。やれ、おこそうかの」
そういってりんはキイロを揺さぶった。
「これ、起きい。眠った気はせんじゃろうがの」
キイロはゆっくり目をあけた。
目の前に朧が二人いて、あまりのことに一気に目が冴えた。
「お、朧様が二人?!!!」
「違うぞ」
「違います」
二人は同時にそう答えた。
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