わたしにしか懐かない龍神の子供(?)を拾いました~可愛いんで育てたいと思います

あきた

文字の大きさ
65 / 101
第十章

65・キイロの兄と呪い

しおりを挟む
「はあ、驚きました。おぼろ様は双子だったのかと」
「そんなはずありませんよ」

 言いながら不機嫌そうなのは、キイロの膝枕でりんがごろごろと寝転んでいるからだ。
 なにせ自分と変わらない外見で、愛妻の膝に寝転んでいるのは見ていて腹立たしい。
 だが、相手は薄氷の守護神でもある龍神で、もしかするとこれまでで最高位の神を授かったかもしれない、のだが。
 目の前の朧そっくりのりんは、子供の姿のころと変わらず、キイロにデレデレ甘えているばかりで、キイロもあまりにおおきくなったりんに困惑していた。

「あのう、りんちゃん」
「なんじゃ?」
「あんまり大きいと、疲れるんだけど」
「じゃが、暫くはこれでおらんとわれが疲れる」

 どうも姿をころころ変えてしまうわけにはいかないようで、りんはずっと大人の姿のままだ。

「とくにこの屋敷の中は水の気が多い。居心地は悪くないが、腹いっぱいにさせられているようでの。調子がやや狂う」
「それは、たしかにそうかもしれません」
「そうなんですか?」
「ええ。ここは薄氷の一族で立ち上げた時に、水脈や風水を考えて常に龍神の泉を守って、なおかつ屋敷に居るだけで能力が増える様にできる場所でもあるので」
「われには少々、はらにもたれる」

 元より能力の高いりんにしてみたら、全身から大量の気を貰っているみたいなもので、逆につかれるらしい。

「おかげでわたしは怪我の治りも早いのですけどね」
「朧様、そういえば随分と顔色も良さそうです」
「呪いが消えましたから」

 朧に入り込んだ呪いは元の場所へ戻った。
 そうなるとただの怪我でしかないので、あまり気にする事もない。

「軍人ですから、この程度はもう怪我とは言えませんね」
「朧様……」

 朧は元気にさせようと思ってそう言ったが、キイロにしたら逆に気になってしまった。

「気にしないでください。こうみえても私はけっこう強いんですよ」

 そうふざけると、キイロが笑ったので、朧もほっとした。


 ごろごろとキイロの膝で甘えていたりんが、突然がばっと起き上った。

「へんなのが来たぞ」
「へんなの?」
「ずいぶんと気持ちのわるいものをまとわりつかせているな」

 そういって朧を見た。

「うん、いまのお前が行かないほうがいいな。ちょうどいい、われがまいろう」
 何のことだ?とみな首を傾げていると、舛花ますはながやってきた。
「朧様、つるばみの使いのものが来ました」
「誰だ?」
「それが……」
「どうした」

 朧に舛花がぼそぼそっと囁く。

「本当か?」
「嘘は言いません」

 どうする、と悩む朧だが、キイロはなぜか勘が働いた。

「わたしに関係のあること、なんですね?」

 キイロはなんとなく、自分のせいではないかと思ったが、実際にその通りらしい。
 朧は頷いた。

「―――――あなたの兄が、来たそうです。我々の敵の使いとして」

 それだけでキイロは青ざめた。

(本当にあの人たちは)

 なにもかもキイロの幸せやおだやかな毎日を奪おうとするのだ。

「心配はいりません。この屋敷で妙なことをしたらしたで、陛下のお怒りを買うだけです」
「でも」
「ああ、ちょっと待て。さっきも言ったろう。気持ちの悪いやつ、ちょっといまのお前は関わらんほうがいい」

 にょきっとりんが首を突っ込む。

「なぜですか?」
「お前も見たらわかるかのう。全身から、真っ黒い呪いを巻き付けておる。当人はよっぽど鈍いんか、強いんか、気が付いているかどうかは知らんがの。折角呪いが解けたんなら、お前が行く必要はない」

 そして朧に言った。

「面白そうじゃしわれが出る」
「われがって……りん様が?」
「なに、いまのわれとおまえを見抜けるものなどそうそうおらんじゃろう。しかもそいつ、親しくはなかろう?」
「ええ」

 キイロの兄については、朧は名前と顔の認識はしているが、仕事の関りは全くない。

「わしが呪いを見て来てやる」

 そういってりんは立ち上がった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

夫が運命の番と出会いました

重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。 だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。 しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?

【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~

いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。 地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。 「――もう、草とだけ暮らせればいい」 絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。 やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる―― 「あなたの薬に、国を救ってほしい」 導かれるように再び王都へと向かうレイナ。 医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。 薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える―― これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。 ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

無能令嬢、『雑役係』として辺境送りされたけど、世界樹の加護を受けて規格外に成長する

タマ マコト
ファンタジー
名門エルフォルト家の長女クレアは、生まれつきの“虚弱体質”と誤解され、家族から無能扱いされ続けてきた。 社交界デビュー目前、突然「役立たず」と決めつけられ、王都で雑役係として働く名目で辺境へ追放される。 孤独と諦めを抱えたまま向かった辺境の村フィルナで、クレアは自分の体調がなぜか安定し、壊れた道具や荒れた土地が彼女の手に触れるだけで少しずつ息を吹き返す“奇妙な変化”に気づく。 そしてある夜、瘴気に満ちた森の奥から呼び寄せられるように、一人で足を踏み入れた彼女は、朽ちた“世界樹の分枝”と出会い、自分が世界樹の血を引く“末裔”であることを知る——。 追放されたはずの少女が、世界を動かす存在へ覚醒する始まりの物語。

【電子書籍化・1月末削除予定】余命一カ月の魔法使いは我儘に生きる

大森 樹
恋愛
【本編完結、番外編追加しています】 多くの方にお読みいただき感謝申し上げます。 感想たくさんいただき感謝致します。全て大切に読ませていただいております。 残念ですが、この度電子書籍化に伴い規約に基づき2026年1月末削除予定です。 よろしくお願いいたします。 ----------------------------------------------------------- 大魔法使いエルヴィは、最大の敵である魔女を倒した。 「お前は死の恐怖に怯えながら、この一カ月無様に生きるといい」 死に際に魔女から呪いをかけられたエルヴィは、自分の余命が一カ月しかないことを知る。 国王陛下から命を賭して魔女討伐をした褒美に『どんな我儘でも叶える』と言われたが……エルヴィのお願いはとんでもないことだった!? 「ユリウス・ラハティ様と恋人になりたいです!」 エルヴィは二十歳近く年上の騎士団長ユリウスにまさかの公開告白をしたが、彼は亡き妻を想い独身を貫いていた。しかし、王命により二人は強制的に一緒に暮らすことになって…… 常識が通じない真っ直ぐな魔法使いエルヴィ×常識的で大人な騎士団長のユリウスの期間限定(?)のラブストーリーです。 ※どんな形であれハッピーエンドになります。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

追放された宮廷薬師、科学の力で不毛の地を救い、聡明な第二王子に溺愛される

希羽
ファンタジー
王国の土地が「灰色枯病」に蝕まれる中、若干25歳で宮廷薬師長に就任したばかりの天才リンは、その原因が「神の祟り」ではなく「土壌疲弊」であるという科学的真実を突き止める。しかし、錬金術による安易な「奇跡」にすがりたい国王と、彼女を妬む者たちの陰謀によって、リンは国を侮辱した反逆者の濡れ衣を着せられ、最も不毛な土地「灰の地」へ追放されてしまう。 ​すべてを奪われた彼女に残されたのは、膨大な科学知識だけだった。絶望の地で、リンは化学、物理学、植物学を駆使して生存基盤を確立し、やがて同じく見捨てられた者たちと共に、豊かな共同体「聖域」をゼロから築き上げていく。 ​その様子を影から見守り、心を痛めていたのは、第二王子アルジェント。宮廷で唯一リンの価値を理解しながらも、彼女の追放を止められなかった無力な王子だった。

オネエ伯爵、幼女を拾う。~実はこの子、逃げてきた聖女らしい~

雪丸
ファンタジー
アタシ、アドルディ・レッドフォード伯爵。 突然だけど今の状況を説明するわ。幼女を拾ったの。 多分年齢は6~8歳くらいの子。屋敷の前にボロ雑巾が落ちてると思ったらびっくり!人だったの。 死んでる?と思ってその辺りに落ちている木で突いたら、息をしていたから屋敷に運んで手当てをしたのよ。 「道端で倒れていた私を助け、手当を施したその所業。賞賛に値します。(盛大なキャラ作り中)」 んま~~~尊大だし図々しいし可愛くないわ~~~!! でも聖女様だから変な扱いもできないわ~~~!! これからアタシ、どうなっちゃうのかしら…。 な、ラブコメ&ファンタジーです。恋の進展はスローペースです。 小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。(敬称略)

完)嫁いだつもりでしたがメイドに間違われています

オリハルコン陸
恋愛
嫁いだはずなのに、格好のせいか本気でメイドと勘違いされた貧乏令嬢。そのままうっかりメイドとして馴染んで、その生活を楽しみ始めてしまいます。 ◇◇◇◇◇◇◇ 「オマケのようでオマケじゃない〜」では、本編の小話や後日談というかたちでまだ語られてない部分を補完しています。 14回恋愛大賞奨励賞受賞しました! これも読んでくださったり投票してくださった皆様のおかげです。 ありがとうございました! ざっくりと見直し終わりました。完璧じゃないけど、とりあえずこれで。 この後本格的に手直し予定。(多分時間がかかります)

処理中です...