わたしにしか懐かない龍神の子供(?)を拾いました~可愛いんで育てたいと思います

あきた

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第十三章

86・陰謀の終結

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 つるばみは軍に、このまま船を出せと要求した。

「このまま、この船は私の管理にさせていただく」

 おぼろは舌打ちした。

「あいつ、元々そのつもりで……」
「ねえ、これって大変なんじゃないの?」

 梅花が心配そうに言うと、朧は頷く。

「陛下に対する反逆です。一歩間違えれば、この国だって危ない。いくら西洋化に成功したからといって、まだこの国は不安定です。弱みを見せればすぐに攻め込まれるというのに」

 どうしよう、とキイロは考え込む。
 たった一人の、なにも知らない自分に一体なにが出来るのか。

(能力は……思い通りに使えない)

 台風のような嵐を起こすなら出来るかもしれないが、そうなれば目的は果たせないどころか誰かを巻き込むかもしれない。

「このまま軍の援護を待つしかないか」
「朧様、一人で行くのは辞めて下さいね」

 キイロがそう言うと、朧は驚いていた。

「なんとなく判ります。お一人で行こうとされていましたね」
「……」
「私も必ず一緒に行きます」

 邪魔になるのは判っている。
 それでも、キイロはそばを離れたくなかった。

「しかし、どうすれば」
「嵐じゃ」

 話を聞いていたりんが呟いた。

「嵐をおこしてやればよい」
「嵐、とは?」

 りんはすっと頭上を差した。

「船の上で嵐が駄目なら、あの上でおこせばそこまででもなかろう。大雨が降れば視界も遮る」
「―――――りん、さまが?」
「こいつも手伝わせる。お前は援護せい」

 そういうと、りんはさっと出て行った。

「りんちゃん?」

 だっと走り出し、橡に近づこうとしたところで、橡の部下に止められる。

「なんだこの子供は!」
「大人しくしとけ!痛い目にあいたいのか」

 するとりんは、ふっと息を吐く。
 息を吐くと、急に晴れ渡っていた空の上が、突如として曇り、渦を巻き始めた。

「なんだ?急に天気が……」

 どんどん雲が集まり始める。
 しかしそれは船の上の空だけで、そこだけがまるで船を隠す様におおきな雲を作り始める。
 りんは小さく指を鳴らした。
 と、同時に突然、稲光が走り出す。

「うわあ!なんだこの天気は!!」

 慌てる人々の上に、突然雨がざあっと降り注ぐ。
 ばしゃばしゃとまるで滝が現れたように大量の水が降り注ぐ。
 その隙を軍は見逃さず、一気に船へ乗り込んだ。

「朧様!朧様、ご無事ですか!」
舛花ますはな!こっちだ!」

 駆け寄る一隊に、ほっと朧は頷く。

「よく来てくれた!」
「朧様こそ、ご無事で!」
「宮様は、」
「救出部隊が向かっております」

 そこで互いに気づいたが、すさまじい豪雨の中だというのに、朧も舛花も、キイロも梅花も互いが認識できる。
 体の周りに薄い膜が貼ったようになっていて、その外が豪雨の中、といった有様だ。

「これは?」
「りんさまの力でしょう。これで手加減しているのか……」

 船の上は滝の中に入ってしまったかのように、豪雨が流れ続け、客らが必死に流されないように船にしがみついている。

「宮様を救出に向かうぞ」
「はっ」

 朧と舛花が走り出し、キイロと梅花も後を追った。

 視界を遮られた橡は必死に前を見ようとするが、あまりの豪雨にどうにもならない。

「ええい、いまいましい!」

 そういって腕を振った瞬間、雨で手がずるっと滑った。

「あっ、」

 捕まえていた人質がするっと腕から抜け、人質は逃げ出した。

「ま、まてえ!くそ、なんてことだ!」

 必死に人質を追いかけ、捕まえる。

「ははは、逃がすものか……」
「それはこっちのセリフだ」

 橡が掴んだ服は、人質のものではなく、朧の軍服だった。

薄氷うすらいの……!潤朱うるしゅが止めていなかったのか!」
「あいにく、二人とも気を失っている」
「あいつら、任せておけと言いながら!役立たずめが!!」

 腕を振り回そうとした橡の腕を掴み、捻り上げた。

「諦めろ。貴様の陰謀などうまくはいかない」

 朧の言葉に、橡はフンと鼻で笑った。

「そうだろうとも。幕府を復活させるなど、このご時世では無理な事だと、皆が言ったわ」
「そうだろうな。だったらお前も」
「幕府は諦める。だが、お前らだけは気にくわん!気に食わんのだ!」

 橡は怒鳴った。

「気に食わんのだああああ!」

 と、橡の姿が突然消えた。
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