白い結婚だと思っていたら、(溺愛)夫にガブガブされて、番になっていたようです

まんまる

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それから毎日、アリウスは僕の側で護衛を務めてくれた。

王城にいる時は、さすがに身の危険を感じる事はなかったけど、アリウスは全力で僕の周りを警戒してくれた。
たまに城下に視察という名目で遊びに行くことがあって、そんな時は、アリウスの警戒が最上級に跳ね上がった。

「あ、あのっ、アリウス、これじゃあ、前が全然見えないよ」
「シルティ殿下、大丈夫です。私がきちんとお連れ致しますので、どうか身を委ねてください」
「そ、そんなこと言われても⋯」

城の外に出る時は、いつも僕はアリウスのマントに覆い隠された。
いくら歩きにくいと訴えても、アリウスは一歩も譲らなかった。

そのせいで、僕は城下の皆から、突然現れる『イリュージョニスト』と噂されていた。

「さすが王子様だ。もしかして、魔法が使えるのかもな」
「ああ、確かに、まだお小さいのに、人間離れした美しい容姿をしていらっしゃる」
「うんうん、あんな美しい金色の髪、見た事ないぞ。それにあの紫水晶をはめ込んだような瞳は、とても人間には見えない。やっぱり、魔法使いなんじゃないのか?」

うぅ、恥ずかしい⋯。
全部聞こえてるよ。

僕がちらりとアリウスを見上げると、アリウスはなぜか満更でもない顔をしていた。

「アリウス、早く行こう。今日は孤児院に行った後、ケーキを食べに連れて行ってくれるんでしょ?」
「ええ、シルティ殿下、ご心配には及びません。カフェは貸切にしてあります」
「えっ!?貸切!?ぼ、僕、皆の迷惑になることはしたくないよ」
「ですが、警護を考えると、貸切にするしかありません」
「⋯じゃあ、いい」
「えっ?」
「アリウス、ケーキは持って帰るから、後で包んでもらうように言っておいて」
「シルティ殿下、本当によろしいのですか?」
「うん、僕、わがままは言いたくない」
「シルティ殿下、不敬をお許しください。殿下は私の誇りです」

アリウスがマントの中で、僕の頭をそっと撫でてくれた。

アリウスの手は大きくて、ごつごつしていて、そして、とても温かかった。


僕は毎日のようにアリウスの真摯な姿に接して、自分ではもうどうしようもないくらい、恋心を膨らませていった。

でも、別れは突然やってきた。

アリウスと出会って3年が過ぎた頃、僕は検査でΩだと分かり、予期せず、アリウスと離れることになってしまった。


「シルティ殿下、私は殿下の護衛を外れることが決まりました。これまでの非礼をお詫びいたします。殿下、どうかお元気で」
「アリウス、本当に、お別れなの?」
「⋯⋯」
「ぐすっ、アリウスも⋯体に気をつけてね」

最後の日、アリウスは、僕の目を見ようとしなかった。

アリウスは、甘やかな香りを僕の心に深く刻んだまま、マントをひるがえし、黙って去っていった。

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