白い結婚だと思っていたら、(溺愛)夫にガブガブされて、番になっていたようです

まんまる

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「シルティも、いよいよ学園生になるのだな。よくここまで大きくなってくれた」
「父様、僕、学園では、国の役に立つ勉強を、たくさんしたいです」
「うむ、無理はしないように」

「シルティ、学園では、自分の身は自分で守るんだぞ。きっとシルティを狙う輩が、うじゃうじゃ寄ってくるぞ」
「そうだぞ!私はシルティが心配で仕方ない!」
「うじゃうじゃ?兄様たち、そんなに心配しなくても、僕を狙う人なんていないよ。僕、これでも王子だよ」
「「その無防備さが、心配なんだっ!!」」


僕は15歳になった。
今日は、僕の学園入学のお祝いを兼ねて、家族と晩餐を摂っている。

「シルティ、最近、体調はどうなの?」
「母様、この頃は抑制剤にも慣れて、落ち着いています」
「そう、よかった」

10歳でΩだと分かった僕は、突発的な発情期にならないように、定期的に抑制剤を飲んでいる。
初めはなかなか慣れなくて、吐き気や頭痛に悩まされたけど、体も成長して、この頃はそんな不調も感じなくなった。

「シルティ、少し話がある」

父様が急に真剣な顔になった。

「父様、はい、何でしょうか」
「シルティは、アリウスを覚えているかい?」

ドキンと、心臓が大きく跳ねた。

「はい、よく覚えています。だって、アリウスは⋯、あっ、なっ、何でもないです」

僕は、最後に会った時のアリウスを思い出して、泣きそうになった。

アリウスは僕を覚えているだろうか。

「シルティ、アリウスが王宮騎士団の団長を務める事になった。これから顔を合わせることが増えると思うから、一応伝えておこうと思ってね」
「えっ?アリウスが、団長に?そうですか⋯、それは、本人も喜んでいたでしょうね」

騎士団に入る者は誰しも、その頂点を目指して、日々研鑽に励んでいる。
アリウスもきっと、僕が知らない努力を重ね、団長という地位を手に入れたのだろう。

叶うならば、その努力の日々に、僕が少しでも関わりたかった。
アリウスが強くなっていく姿を、近くで見守っていたかった。

「⋯ティ、シルティ、どうしたのだ?」
「あっ、父様、ごめんなさい。少しぼんやりしていました」
「そうか、もし体調が悪いなら、部屋に戻って休むといい」
「いいえ、大丈夫です。久しぶりの家族団らんです。まだお話がしたいです」
「うむ、では」

父様が侍従に目配せすると、ワゴンに載った豪華なケーキが運ばれてきた。

「わあっ!おいしそう!」
「シルティは、昔から甘い物に目がなかったからな。今日は特別に作らせたのだ」
「ありがとうございます!父様!」

僕は苺のケーキを頬張りながら、まだ子供の頃、城下のカフェで、苺のケーキと桃のケーキのどちらを買うか、散々悩んでアリウスを困らせたことを思い出した。

あの時は結局、アリウスが両方買ってくれたっけ⋯。

アリウスはケーキを2つも買わされたのに、なぜか嬉しそうに笑っていた。
あの時のアリウスの優しい笑顔が、僕の心にずっと刻み込まれている。

僕はあの笑顔を思い出すと、どうしようもなく、胸が切なくなるんだ。

僕はつんと熱くなった目頭を押さえ、美味しいねと言って、ケーキを口いっぱいに頬張った。

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