愛する公爵と番になりましたが、大切な人がいるようなので身を引きます

まんまる

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番外編 これが本当の巣作りか ※

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ナーシュが無事に私達の子を産んでくれた。


産まれた子は、前に夢に出てきた子供のような、私に瓜二つの男の子だった。まだ生まれたばかりで泣いてばかりいるのに、何故かふっと大人の様な凛々しい顔付きになる時がある。これが父上が言っていた、αの佇まいか、と一人で納得した。




無事に子が産まれたとなると、私の頭の中はもうあれの事でいっぱいになってしまった。

ナーシュの妊娠中はなるべく体に負担をかけないように、ゆるゆると、そろりそろりとしか攻められなかった。まるで砂山に穴を空けるがごとく、少しずつ、恐る恐る割り入っていた。
まあ、あれはあれでナーシュが焦らされてもどかしがる顔が見れて良かったんだが。

私もナーシュの体を思えば無理はさせられないのは分かっている。
だがしかし!私も久し振りに思い切り腰を振りたいんだ!

何故なら、とにかくナーシュの色気がただ事ではないからだ。
一人目を産んだΩの色気の凄まじさは、見た者でないと分からないと聞いていたが、正にその通りだった。
赤子を抱く姿、赤子を見て微笑む姿、もう、ただ水を飲んでいるだけでも、くしゃみをしただけでも、色気がだだ漏れているのだ。



「ナーシュ、そろそろどうだろうか」

私は、子が4ヶ月になり夜もだいぶ眠ってくれるようになったのを見計らって、ナーシュに思い切って尋ねてみた。

「はい、アラン様、もしかしたらもうすぐ発情期が来るかもしれないので、その時はよろしくお願いします」

なんとナーシュは頬を赤く染めながら快く頷いてくれた。

私は小躍りしそうになる程嬉しかった。
実はちょっと飛び跳ねてしまったが。



それから一週間程経ち、ナーシュが凄まじい色気を放ちながら私の所へやって来た。

「アラン様、今日は朝から少し熱っぽくて、お腹もじんじんするので、夜あたり発情期がくるかもしれません。でも、アラン様は今日は確かお仕事で登城するんですよね?」

ナーシュは心細そうに浅葱あさぎ色の瞳を潤ませた。

「大丈夫だよ、ナーシュ。そんなものさっさと済ませてくるから」
「でも⋯」
「ナーシュ、心配しなくても早目に帰ってくるから、ねっ」

私はナーシュを安心させる為に包み込むように抱き締めて、頭に長めの口付けをした。



あの文官め、くどくどとしつこ過ぎだ!
今日は領地経営の収支報告の確認があり、私が自ら責任を持ってやりたいと思ったのでわざわざ足を運んだのに、担当の文官が見れば分かるような事までねちねちと質問してきた。

そのせいで、帰宅が予定より随分遅くなってしまった。



「ナーシュっ!遅くなってすまない!」

私はようやく公爵邸に帰り着くと、子供の顔を一目見てからすぐに私の部屋と繋がっているナーシュの部屋へ向かった。 

ナーシュはどこだ?

そこにナーシュの姿は見当たらず、私の部屋も探したがいなかった。よくよく部屋を見ると、何故か私が使うクローゼットの扉が全開になっていて、強盗が入ったのかと思う程、中がめちゃくちゃに荒らされていた。

「ナーシュ!どこだ!?」

何か事件に巻き込まれたのかとも思ったが、部屋いっぱいにフェロモンが甘く香っていたので、ナーシュが近くにいるのは分かっていた。

私はより強く香りのする場所を探した。

ここか⋯。

ナーシュは寝室のベッド脇の床の上で、クローゼットから持って来た私の服を体に絡めながら、小さく丸くなっていた。

「ああ、ナーシュ、遅くなってすまなかった」

私はすぐさま、ナーシュの元へ駆け寄った。

「こ、これは⋯、これがΩの巣作りか」

初めて見る愛しい番の巣作りを目の当たりにして、私はしばらく動く事が出来なかった。

ナーシュはシャツの前をはだけさせ、ズボンと下穿きを脱ぎ捨てて、私のシャツを足の間に挟みながらゆるゆると腰を揺らし、後孔の入口と昂りを一緒に擦っていた。

「ナーシュ⋯、何て淫らで、艶かしいんだ。これは⋯余す所なく私の脳裏にしっかり刻み込んでおかないと」

私が思わず心の声を漏らすと、ナーシュは私の声にぴくりと反応して頭を持ち上げ、虚ろな瞳を私に向けた。

「アラ、ン様?アラン様ぁ」

ナーシュは横になったまま震える手を伸ばし、私を懸命に求めてきた。
ナーシュのそんな姿を見せられては、私の昂りも我慢が出来ず、ズボンを突き破る勢いで一気に勃ち上がった。

「ナーシュ、私はここだよ」

「あぁ、アラン様ぁ、早く抱き締めてぇ」

「ナーシュ!」

愛しい番の懇願を聞いて、私はすぐさまナーシュが作った巣の中に腰を下ろし胡座あぐらをかくと、横たわるナーシュを横抱きにして抱き上げた。

「ああぁぁ、アラン様の香りだぁ」

「ナーシュ、愛してる。ああ、私のナーシュ。今、楽にしてあげるよ」

私がナーシュのシャツを脱がす為に少し体を離すと、ナーシュはいやいやと顔を横に何度も振り、私にしがみついてきた。
その仕草の可愛い事と言ったら、思わず可愛い!と叫んでしまいそうになるのを、奥歯を噛み締めてこらえた。

私も久し振りのナーシュの発情期だ。たっぷり堪能したい。
とは言っても、私もだいぶ意識が飛び飛びになってきた。

私はどうにかナーシュを裸にすると、枕元のチェストの引き出しから小瓶を取り出し、中から小さな錠剤を取り出して水と一緒にナーシュに口移しで飲ませた。

男性Ωの出産は体に掛かる負担が大きい。それ故、次の妊娠には用心しないといけない。
うちも二人目は数年後になるだろう。
ふっ、その間は私がナーシュを思い切り可愛がる事が出来ると言う訳だ。

とか考えていたら、ナーシュが薬を飲ませた時の水を口のからたらりと垂らしながら私に抱きついてきて、何やら私の足の間でごそごそと手を動かしている。

きゅっ 
おふっ!私のたぎった昂りをナーシュが弱々しく握ってきた。

かりっ
あうっ!ナーシュが私の昂りの先っぽに桜貝の様な爪を立てている。

ずぼっ
おわっ!下穿きの中に手を入れられた。

あぁっ、もう、出⋯って気持ち良くなっている場合ではない!

「すまない、ナーシュ。ああ、可哀想に」

焦らされ過ぎて今にも泣きそうになっているナーシュをぎゅっと抱き締めて、唇に食らい付いた。
口の端から漏れ出ていた水をべろりと舐め上げ、そのまま首筋を甘噛みすると、ナーシュはたまらず首筋を後ろに反らして喘いでいる。

「はぁ、んっ、アラン様ぁ」

私は目の前の真っ白な首筋に舌を這わせながら、自分の着ている服を全て脱ぎ捨てた。

私が裸になるとナーシュは吐息を漏らしながら私を見つめ、胡座あぐらをかく私の首にしがみつきながらもどかしげにまたがってきた。

「くっ、ナーシュ」

ナーシュは蜜が溢れ出ている後孔の入り口を、ぬるりと私の昂りに押し付けてきた。
 
「ああ、ナーシュ、もうこのまま繋がるよ」

私はたまらずナーシュの腰を掴み、自分の腰を上下に揺らしながらゆっくりナーシュの腰を沈めた。

焦らされまくったナーシュの中は、うごめきながら私の昂りをやわやわと締め付け、私は久し振りの脳が溶ける程の快感に、締め付けられるがままナーシュの最奥に届くように止まらぬ腰を振り続けた。


「あああぁぁっ、アラン様ぁ、もう、だめぇ」

「くっ、私も、もう、もたない、うっ」


私はナーシュの甘く痺れる香りに包まれながら、ナーシュの中に大量の精を放った。




「ん⋯、アラン様?」

「ナーシュ、目が覚めたかい?」
「僕⋯、確か、発情期が来て⋯、でもあんまり覚えてない⋯です。ごめんなさい」
「ナーシュ、そんな事気にしなくていいよ。あの日は私の帰りが遅かったからいけなかったんだ。辛い思いをさせてすまなかった」

「あっ⋯、これ⋯、アラン様がしずめてくれたんですね」

ナーシュは体中に残る私が付けた痕を見て、恥ずかしそうにシーツで隠した。
その凄まじい色気が漏れ出ている様子を眺めていたら、不意にナーシュに声を掛けられた。


「ところでアラン様、何をしてるんですか?そのシャツ⋯、しわしわですね」

ぎっくぅ!

「あ、ああ、シャツのしわが酷いから、メイドに言おうと思ってね」
「でもどうしてしわしわなのに、綺麗に畳んでいるんですか?」

ぎくぎくぅ!

「アラン様?」じとぉ

「こ、これは⋯、そ、そう言えば、ナーシュは自分で巣作りしたのを覚えているかい?」
「えっ?僕、巣作りしたんですか?」
「ふっ、私のクローゼットから服が全部無くなっていてね、ナーシュがそれを集めて⋯」
「し、知らないですっ!恥ずかしいっ」

ナーシュは顔を真っ赤にして、頭からシーツをすっぽり被ってしまった。

私はその隙に、目にも止まらぬ速さで持っていたシャツをベッドの下に隠した。
ナーシュが自分の体を鎮めるのに使っていたシャツだ。何としても私のしゅう集に加えたい。

そんな煩悩まみれな事を考えていたら、ナーシュがシーツから、ぴょこっと顔を出した。

「アラン様もこんなに恥ずかしかったんですね」
「ん?何の事だい?ナーシュ」
「その⋯、アラン様が巣作りする時に使った僕の下穿きを僕が見つけちゃった時の事です」
「あ、ああ、そうだよ、あの時は私も恥ずかしかったんだよ。分かってくれたかい?でも巣作りする程互いに愛し合ってるって事だから、恥ずかしがらなくてもいいんだよ」
「あっ、はい、アラン様」

ナーシュは頬を赤らめて微笑んだ。

ふぅ、どうにか誤魔化せた。




数日後、私の蒐集に加わったあのシャツは、何でも私の正装に合わせた特注品だったらしく、失くなったとメイド達が騒ぎ出した。

危うく騎士団を呼ばれそうになり、慌てて間違って仕舞い込んでいたと嘘をついて、泣く泣くメイドに手渡すことした。


「あの、旦那様、シャツから手を離してもらっていいですか?」
「あ、ああ、分かっているんだが手が離れないんだよ。どうだろう、もうしわくちゃだし、同じ物を新調するというのは」
「旦那様、この程度のしわなら、私にお任せ下さい。新品のように仕上げますので」
「ああ、そうか⋯、だが⋯」
「旦那様」

メイドの圧に負けた。




それからナーシュの発情期の度に、私はクローゼットの衣装を失くなっても気付かれないような古着に総替えする事にした。


だがその度にメイドに気付かれ、元の衣装に総替えされるという、謎の攻防戦が繰り広げられる事になるのであった。




番外編 終わり

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