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幸せのオムライス

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第一章 森の生活と孤児院改革:孤児院のニューフェイス

第24話 ツンデレ院長マーサさんとの遭遇&攻略開始!

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 コロの頭を撫でて落ち着かせると、マーサさんに向かって、にこっと笑ってみせる。
 愛想笑いは、元社会人の得意技。理不尽な上司も、これで何人か切り抜けてきたのだ!
 マーサさんは、私の渾身の作り笑いにも動じず、ふんと鼻を鳴らして視線を衛兵さんに戻す。

「ずいぶん身なりのいい子じゃないかい。髪もこの国じゃ珍しい黒色だね。それに、小ぎれいな犬っころ付きかい。これだけ珍しけりゃ、身元はすぐにわかるんじゃないかい?」

「調べたが、迷子の届けは出ていなかったんだ。でも、きっとこれから届け出がでて、マーサが言うように、すぐに身元がわかるだろうよ。それまで預かってくれ。その犬も一緒に」

「……うちは犬まで預かる義理はないんだがね」

「この子はコロです! とってもお利口さんなんです!」

「犬だろうが猫だろうが、食い扶持が増えることに変わりはないよ」

 口、悪っ! しかも、私の渾身の営業スマイルが全く効いていない! このおばあちゃん、手強い!
 でも、衛兵さんの「後は頼んだぞ」という言葉に、彼女は深く、深ーいため息をついた。そのため息には、世界の終わりみたいな絶望感が詰まっていた。

「……わかったよ。うちも余裕はないが、少しの間ならね。ほら、入りな」

 そう言うと、彼女はくるりと踵を返し、建物の中へ入っていこうとする。
 そして、すぐに何か思い出したように振り返る。

「あんた、名前は?」

「コトリです。ヤマネ・コトリ」

「変な名前だね。まあいい、今日からここがあんたの家さ。あんたの身元がわかるまでのね。ただし、タダ飯が食えると思うんじゃないよ。自分のことは自分でやりな」

 それだけ言い放って、再び背中を見せる。その背中は、小さくて、少しだけ丸まっていた。

(……ツンデレだ!)

 私の脳内データベースが、即座に結論を弾き出す!

 口は悪いし、態度は厳しい。でも、見捨てることはしない。これぞまさしく、王道ツンデレおばあちゃんキャラ!
 きっと根は優しい人に違いない。よし、攻略対象としてロックオンだ!

「はいっ! よろしくお願いします!」

 できる限り元気いっぱいの声で返事をする。
 その声に、マーサ院長の肩がほんの少しだけピクリと動いたのを、私は見逃さない。
 ふふふ、チョロいぜ!

 ◇

 マーサさんに続いて、ギィィ……と鳴る扉をくぐり、孤児院の中へと足を踏み入れた。
 外観から予想していた通り、中は薄暗い。窓が少ないのか、それとも汚れすぎてて光を通さないのか。たぶん両方だな。

 空気も、なんていうか、どんよりしてる。湿気と、ホコリと、あと……諦めみたいな匂いが混ざり合った、複雑な香り。うん、前世で泊まった激安のユースホステルを思い出すな!

 院内に入ると、それまで聞こえていた双子らしき男の子たちのじゃれ合う声がぴたりと止み、じろり、という音が聞こえてきそうなほど、そこにいた全員の視線が一斉にこちらに突き刺さってきた。
 うわ、すごいアウェイ感。少人数のクラスに転校してきた時って、だいたいこんな感じだよね!

 まず目に飛び込んできたのは、一番年長らしき少年。私より頭一つ分は高い。
 壁に背中を預けて腕を組み、まるで「お前らの戦闘力はいくつだ?」とでも言いたげな、値踏みするような鋭い視線を、まっすぐこちらに突き刺してきている。

 くすんだ金髪を無造作に伸ばしていて、ちょっと目つきが悪い。服装は他の子たちと同じように継ぎ接ぎだらけだけど、なぜか彼だけ着こなして見えるのは、あれか、イケメン補正ってやつか。うん、素材は間違いなく良い。磨けば光る原石タイプだ。

 その次に、そっくりな顔をした双子の男の子たち。さっきまで騒いでいたのをやめて、興味津々といった顔でこちらを見ている。元気いっぱいなのは良いことだね。
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