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幸せのオムライス

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第一章 森の生活と孤児院改革:孤児院のニューフェイス

第23話 案内されたのはボロボロの孤児院!? 想像してたのと違うんですけど!

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 優しい衛兵さんに案内されて、ハルモニアの街を歩く。
 メインストリートの賑やかさは、まるでテーマパークのメインエントランスみたいだったけど、優しい衛兵さんに連れられて脇道に一本入った途端、急にBGMのボリュームが下がった感じ。

 キラキラした石造りのお店 (イメージ)が姿を消し、代わりに「俺、もう100年はここに立ってますけど?」みたいな顔をした木造の家が立ち並び始める。道行く人々の服装も、なんていうか、彩度低め? 全体的に茶色い。うん、ここがいわゆる旧市街ってやつね。RPGで言うところの、物語が始まる町(個人の偏ったイメージ)。

 そして、そんな茶色い町並みの、一番奥まった袋小路に、その家はぽつんと建っていた。
 ここが……孤児院。……ちっさ! 私が想像してた、なんかこう、だだっ広い敷地に建ってるレンガ造りの大きな建物、みたいなイメージと100倍違う!

 私の脳内にあった「異世界ファンタジー系孤児院」のイメージは、貧しいながらも、たくさんの子供たちが暮らせる大きな施設だ。でも、目の前にあるのは、どう見ても普通の、いや、普通よりちょっと大きいくらいの民家。

 ……うわぁ、ご近所さん、絶対ここを避けて通ってるでしょ。
 周りの家ですら「年季入ってますねぇ」って感じなのに、その家は手入れという概念をどこかに置き忘れてきたような、独特の寂れたオーラを放っている。もはや「古民家」というよりは「廃屋寸前」。

 壁のペンキは風化してまだらに剥げ落ち、かろうじて残った部分から、元の色がたぶん水色だったんだろうな、と推測できる程度。窓ガラスは、長年の汚れが地層みたいにこびりついていて、中から太陽が見えているのか心配になるレベル。
 家の前には、申し訳程度の小さな庭があったけど、そこに生えているのは青々とした芝生じゃなくて、まばらな雑草だけ。隅っこには、錆びたバケツが転がっている。

「昔はこの街にも大きな孤児院があったんだが、今は少人数制が主流でな。これから行くところも、マーサって名前のばあさんが院長で、数人の子供たちの面倒を見てる、まあ家族みたいなもんだ。だから、あまり気負うんじゃないぞ」

 歩きながら、衛兵さんが私に説明してくれる。
 少人数制……なるほど、ファミリーホームみたいなものかな?
 大規模な施設よりも、その方が私には合っているかもしれない。

 衛兵さんが、その家の、あちこちがささくれた木の扉を、ドンドンドン!と無遠慮に叩く。うん、デリカシーって言葉、この人の辞書にはないらしい。

「マーサ! いるか! 新入りだぞ!」

 しばらくして、ギィィ……と、ホラー映画の効果音みたいな音を立てて、扉がゆっくりと開く。
 中から現れたのは、一人の初老の女性。
 白髪の混じった灰色の髪を、後ろで無造作に一本に束ねている。
 その顔には、まるで年輪のように深い皺が刻まれている。特に、眉間の皺は深すぎて、もはやマリアナ海溝レベル?

 服装は、くたびれた灰色のエプロンドレス。
 彼女は、扉を開けるなり、その鋭い目で衛兵さんと、その隣にいる私をジロリと睨みつけた。その眼光の鋭さ、完全に手練れのそれ。こわっ!

「なんだい騒々しい。また面倒ごとかい?」

 砂利をこすり合わせたみたいに、しゃがれた声。
 うわー、一見しただけで分かる。この人、絶対に気難しいタイプだ。下手に話しかけたら、「フン」とか言って塩を撒かれそうなオーラが出ている。
 衛兵さんは、そんな彼女の態度に慣れているのか、やれやれと肩をすくめる。

「そう言うなよ、マーサ。この子だ。迷子のところを保護した。記憶もないらしい。身元がわかるまで預かってくれないか」

 マーサと呼ばれた女性は、私に視線を移し、まるでスーパーの特売品を吟味するかのように、私の頭のてっぺんから足の先までをじろじろと舐め回す。
 コロが、私の足元で小さく「グルル……」と唸る。コロよ、気持ちは分かる。私も今、値札を貼られそうな気分だよ。
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