幼馴染がいじめるのは俺だ!

むすめっすめ

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いちご牛乳 スポドリ エナドリ の逆襲

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「おはよう!」

ドキドキしながら、教室のドアをあける

女子が俺に一気に注目...なんてこと平凡な俺にははない。

というかそもそも、うちは男子校である。
高校受験で千透星くんについてきたら男子校だったのだ、“ついてくんな!気持ち悪い“って言われたなぁ...

俺の目は自然に千透星くんの席に向いていた。

今まだ来てないんだ...
いつも遅刻ギリギリに来て、廊下走ってて先生に怒られてるんだよなぁ...ちぃちゃッ...千透星くん目立つから、たまに冤罪かけられてブチギレてる時と俺に罪を擦り付ける時があって...


ハッ...ダメだダメだ、何のために髪切ったんだ、こんなんだと姉ちゃん悲しませちゃうではないか!!

俺は大きく深呼吸をする。

...デトックス、リフレッシュ、デトックス
リフレッシュ!!!

叱咤だ、叱咤!!
俺は失恋したんだ!相手にはもう、彼女(彼氏)がいるではないか!!ならもう俺の出る幕は無いんだ!!消えろモブ!!いじめられっ子!

...自分で言っていて悲しくなってくることには目をつぶろう。


今日1日で俺は生まれ変わる!!






...
前言撤回。
今までいじめられっ子の俺は誰も話しかけてくれないことに気づいた。

バカにしないで聞いて欲しい。

俺はまず隣の人に話しかけたんだ、そしたら「あぁ、うん」で会話は終わった。
その後もめげずに続けようとした結果、俺は睨まれ、おもむろに机を離されて消えたくなった。

今は昼だが、もちろん誰も話しかけてくるわけは無い。ぼっち飯だ!

弁当をつつきながら気を紛らわせる為に考え事をする。
...弁当。
弁当といえば、今までまともに食べられたこと無かった気がする。前は千透星くんの取り巻きに弁当ひっくり返されたし、千透星くんのグループの専属パシリだから、俺は弁当なのに千透星くんたちの為だけに購買走って、パン買いに行ってたなぁ...
だから弁当まともに食べる時間なくて、勢いでかき込むか、隠れて早弁するか、....最悪の場合、トイレに流したりもしてたな。

...他の事考えようとしてたのに、弁当だけで千透星くんの事思い出すとか、俺って本当に"いじめっ子"でしかなかったんだな。

いじめられることでしか存在価値がない。

今も、空気みたいに扱われてる。

俺って...
なんなんだ。


その時、ドン!と音がして自分の机が揺れ、視界の隅に誰かの手が見えた。


「おい、小鳥遊」


パッと顔を上げると、
そこにはクラスメイトの3人...

千透星くんのグループの人達が俺の机を囲んでいた。
いちご牛乳と、スポドリと、エナドリ。


「何...?」


...パシリか?
いちご牛乳も、スポドリも、エナドリも、買い飽きた。エナドリは地味に高いから金を返して欲しい。あと、こうやって呼んでるのはこいつらの名前を覚えてないから、なのに好きなドリンクは覚えてる。
俺は無意識に眉間に皺を寄せ、睨むと俺の机を叩いたいちご牛乳はニヒルな笑みを浮かべる、
...何が面白いんだ。

「別にいつもみてーに"お願い"しに来たわけじゃねーよ?...ただ小鳥遊と話したいだけね?」

「はぁ...?」

何が言いたいのかが分からない。

「...うーん、お前の大好きな、"ちぃちゃん"についての話だよ?」


「だから...ちょっとついてきてくんね?」


...ちぃちゃんについての話...?
ついて来いって...なんでここじゃ話せないんだ。
千透星くんに聞かれたらマズイのか?
千透星くんは...席にはいないし、今教室にいない。

コイツらの言うことなんてしょうもないに決まっている、

けど、
俺は心の中で俺の今後に関わってくるかもしれないと言い訳をして、

"ちぃちゃんについての話"

とやらを聞きに行くことを決めた。




つまり、
俺はちぃちゃんに釣られたのである。











「...ここどこ?」



「まぁ、そんなこと気にすんなよ」

屋上の途中の階段...階段の踊り場で話をするのか...?
屋上は入れないから人は基本、屋上に繋ぐ階段には来ない。

なんでこんな人通りの少ない所...校舎裏とかいうベッタベタなところに連れてかれなかっただけでもいいのだろうか...

「で、話っていうのは...」


「小鳥遊、千透星の事...見返したくね?」


は?...なんでお前がそれ言うんだよ。

そう言ってしまいたいくらい、コイツらはふざけたことを言っていた。
つまりはこうだ、
千透星くんは、コイツらにも、“自分は好きな奴が出来たから、もう小鳥遊をいじめるのを辞めよう“と言ったらしい。

それがコイツらは納得できない、だから俺を利用しようとしている、
と思う。

「小鳥遊もウザかっただろ?千透星の事、」


「俺らも、いままで千透星に命令されてたんだよ...」


だから、な?
といちご牛乳は貼り付けたような笑みを浮かべる、
何がしたいのか、真相は分からない。
けど、ただ俺を利用しようとしてるのだけは分かる。
表情は俺を安心させようと微笑んでいるが、ずっと利用され続けてきた人生なんだからわかるに決まっている、悲しい事にね。

コイツらもコイツらで俺をいじめてきたくせになにを今更...
むしろ、千透星くんは直接手をくださないタイプだったから、コイツらの方が積極的に俺をいじめていた。


「...具体的には、見返すって何をしたいわけ」


「...見返すって、そのままだよ、千透星にやられた事をそのまま返すだけ」


「そんなことできるのか?」

千透星くんはカースト最上位だ。
誰かがいじめようとしたら、バッシングの嵐。他のやつに叩かれるに決まってる
そう言うと、スポドリは笑って

「そんなことねぇよ?...小鳥遊知らないと思うけど、千透星って皆から嫌われてるんだよ。俺らが持ち上げてたから凄く見えるだけね。」


千透星なんて本当は空っぽなんだよ、と馬鹿にして鼻で笑う目の前の奴ら、

何故か...
千透星くんを馬鹿にするこいつらにムカついた。
惚れた弱みってやつか?
...いや、ただコイツらが調子乗ってるのにムカついてるだけだ。


だって俺はもう、千透星くんとは関係がない。


だとしても...目の前の奴らはウザイな。



「嫌だ、俺は復讐とか興味無い。」


「それに、お前らも俺の事いじめてただろ、なのに今更なんなんだよ、気色悪ぃ。」


はっきりとそう言った。

気色悪ぃ、は言い過ぎたか...?
いやでも本心だもんな、言った方がいい。
てか、今後の俺大丈夫かな

そんなことを呑気に考えていると、
低く「は?」と言って、いちご牛乳は俺を思いきり睨んだ。

...この目、やばいかも?


「何、小鳥遊のくせに調子乗ってんの?」


「...え、調子乗ってるっていうか...」


「うるせぇんだよ、奴隷のくせに、なに刃向かってるんだって聞いてんの」


...はぁ?奴隷?
聞き捨てならない。
千透星くんに言われるならまだしも、コイツらにそうゆう認識されるのはめちゃくちゃムカつく。


「“いじめられることでしか存在価値ない“のにな」

「いじめられないと、“空気みたいな奴“が何言ってんの?」


「はぁ...?」


思わず声が出た。

図星だった。

千透星くんが居なくなっても俺のいじめは続けようってのか、

全然上等ではない。

俺が声を出すと、
目の前のいちご牛乳は更にキレ始める。
肩を押されて、階段の踊り場の隅まで3人に追いやられた。


「なんなんだよお前、」



「また、いじめてやろうか?」



ソイツらがそう言った時、

俺は、
目の前のいちご牛乳を殴り飛ばした。

他2人のスポドリとエナドリは、何が起きているのか分からなかったのか、短く声を上げただけだった。

殴り飛ばしたやつ、いちご牛乳は、一発目の衝撃で倒れたのか、起き上がろうとしたので馬乗りになってさらに殴った。


「お前らのッ...いじめに何のッ!価値があるんだ!!」


ここって人通りが少ないんだよな、それが幸いだった。
こんだけ叫んで人を殴っていても誰も来ない。

後ろにいたスポドリ、エナドリの2人はやっと何が起きてるのかを理解したのか、俺の肩を掴んでとめようとする。
俺はソイツらの手を無理やりなぎ払って、目の前の、俺に殴られて、ただ怯えてるだけで何も出来ない、いちご牛乳の胸ぐらを掴んで無理やり立たせた。

階段の踊り場から階段の方に足を進めた。

目の前の奴は何をされるのか分かったのか、暴れている。
エナドリは俺に抱きついて動きを封じたが、


「暴れると落とすぞ、」


そう言うと、いちご牛乳は落ち着いて、後ろにいたスポドリとエナドリの2人も俺から手を離した。

その様子がひどく面白かった。

同時に、

ひどく虚しかった。


「なぁ、俺っていじめられるために生まれてきたのか?」


「はっぁ...?」

胸ぐらを掴んでるいちご牛乳は、後ろの階段の方をチラチラ見て、ひどく怯えている。
グラグラ揺らすと、やっと口を開いた。


「ごっ...ごめん...今まで...」


涙を流しながら、そんなことを言った。
そんなの、求めてないんだ。
ただ、単なる疑問だった。

俺は小学生からいじめられて、何も出来なくて、ちぃちゃんを好きだと思い込むことで無意識に自分を守っていたのかもしれない、

そう思うと、自分が情けなかった。

もし、神様が、
他人が、俺をいじめるために作ったのだったら。


「いじめられるなら...」



「いじめられるなら、ちぃちゃんがいい。」




「俺をいじめるのは、ちぃちゃんだけだ。」



そう言って、
手を離して、
いちご牛乳の腹を蹴って、
落としてやろうとした時だった。


頭上から女子の声のような、長く、悲鳴が階段に響いた。


上を見ても、誰も見えなかった、
その時、近くから階段をかけ登る足音が聞こえて、我に返った。

胸ぐらを掴んでいたいちご牛乳を後ろに放り投げて、階段をかけ降りようとした時だった。



「なっ...何してるんだ...」



「あ...先生...」


...そこに居たのは俺が鼻をかんだセーターを着ていた先生だった。

...洗ったんだなぁ、オキニだったんだな。 


そんなことを思った。
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