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勘違いの話
心の中の腐った部分が疼く
「ゔぅ、ぜん゙ぜぇ」
「あーもう!どうしたんだって小鳥遊!!泣いてたってなんもわかんないぞ!!」
保健室、
学校は困ったら保健室に送る。
俺みたいな生徒が来る場所なんだろう、
...俺みたいな、失恋で爆泣きする生徒。
どうも
先程、突然の初恋自覚と失恋に俺が廊下を爆走し、それを止めた先生に縋り泣き、無意識に先生のセーターで思いっきり鼻をかんだことで先生のセーターをお陀仏にした俺です。
困り果てた先生は、保健室に俺をぶち込みました。
さっきまでは保健室の先生はガキ相手にするみたいに優しかったのですが、今となってはストレスが爆発しています。
爆泣きしている男子高校生相手にしたくてこの仕事選んだわけじゃないだろうに...先生に心の中で同情します。
かくいう俺は、恥ずかしい勘違いを自覚、からの身の毛もよだつ初恋、失恋、したなんて言える訳もなく、ただ泣くことしか出来ませんでした。
「...小鳥遊さん、何がしたいんですか?」
「なっ...な゙んでぞんなごどいうん゙ですか...」
「さっきから無理やり泣いて濁点付けて話してるの知ってるからね、泣き止んだならもう帰ってくれる?」
「ゔ...」
バレてた...てかもう帰っていいのかよ!
落ち着いたらまた話聞かれるかと思って最初以外全部泣き真似してたのに...
「あ...じゃあもう帰ります...」
「はーい...次また来たら話聞くからね?」
「ハイ...すいません...」
時刻はもう夕方、放課後だった。
保健室で泣き疲れて寝るとかしていたからだろうか、
起きた後、落ち着いたようだから話を聞くと言われて、また泣き真似したからあの先生キレたのか...こっちだって事情くらいあんだからな気遣えよ...ごめん、逆ギレだけど...
俺はもう、気持ちがぐちゃぐちゃでどうすればいいのか分からないのだ。
BSS(僕が先に好きだったのに)な人の気持ちが今ならわかる気がするんだ、今の俺の気持ちは、まさにそれだ。
家に帰るなり、玄関で姉と遭遇する。
「げっ!?...えヒロ...?なんでそんな目赤いのよ!?」
姉に肩を捕まれグラグラ揺らされる。
「いやぁ...はははっ」
下手に笑って誤魔化そうとする俺を見て、姉は携帯で誰かに電話した後、俺を今でも健在のひみつの部屋の納戸に連れ込んだ。
「で!?何があったのよ!!彼氏との約束ブッチしたんだから、ちゃんと聞かせなさいよ!」
俺はどうしても言いたくなくて、姉から避けるように棚に視線を移し、考え事をする。
...あぁ、もう姉ちゃんのBL本無いんだ、姉ちゃんも変わったなぁ、三つ編みで分厚いレンズのメガネかけた中二の頃の姉ちゃんはどこに行ったのやら...大学生になってから髪も染めて金髪になったし、ギャルみたいな...今準備万端そうだし、俺のせいで彼氏との約束ブッチしたんだ...
BL本と言えば...アレ、小学生の俺からしたら内容めちゃくちゃ気持ち悪かったよなぁ...
それで...俺が千透星を好きだって勘違いしたのも...BL本見て...
え...あれ??
「姉ちゃんのせいじゃね?」
俺は棚から姉に視線を移し、姉を指さす。
「ハイ?」
...俺は姉自身の肩を掴みグラグラ揺らした。
何も分かっていない様子の姉に1から10まで俺の失恋話を聞かせてやった。
「だからッ!!ね゙ぇぢゃんのぜいな゙んだよ!」
思い出して思わず濁点泣きを姉の前で披露してしまう。姉は若干引いていた。
「いや!言い訳さしてよ、ヒロ!あの頃...私も思春期ひどかったっていうか!!そんなことになると思ってなかったというか!!」
「その結果!俺と千透星くんはBLにならなかったけどね!!」
「けど!全部私のせいではないでしょ!ヒロ、勘違いしてたとしても自分のこといじめる奴、可愛いと思って好きになるとか性癖ヤバすぎ!!」
「...ハァ!?」
その後、小一時間姉とは口論をした。
決着はつかなかった、いつものように、つけてもまた口論になるだけのことは分かっているからだ。
納戸という、空気の悪い所で激戦を繰り広げすぎた。
お互いにむせて疲れ果てた後、ベランダでいい空気を吸いに行った。
「...というかヒロ、まだ千透星くんにいじめられてたの?」
「...うん、」
「なんで、言ってくれないのよ、」
姉は俯いていた、声は少し憂いを含んでいて...
この人、昔っから思っていたけど俺が心配だからって彼氏との約束ブッチしたり...
...ガチのブラコンだな、
そんな、失礼なこと考えていた。
「別に、今日までは千透星くんにいじめられてもポジティブ変換?してたから全然大丈夫だったよ、それに小学生の時みたいな感じじゃないよ。都合のいいパシリって感じ、」
自分で言っていて悲しくなってくる、
俺、なんで今まで千透星が俺のこと好きだって思い込めていたのか不思議なレベルだ。
小学生の頃はもう酷かった。
頭から冷水をかけられたり、上履きをゴミ箱に捨てられたり、普通に悪口も言われていたな。
いじめられ始めたのが小4の頃からだったが、小4でもう既に俺は千透星が俺のことを好きだと思い込んでいたので、いじめられてアザだらけで親や教師に心配されて“神宮寺くんにいじめられてはないか?“と聞かれても俺は千透星を庇い続けた。
ただのバカだ。
ちぃちゃんと呼ぶ度に殴られたが、俺は幼馴染が俺をいじめる度に愛を感じる、異常性癖だったもので、高校生の今日まで、ずっとそう呼んでいた。
もう、笑うしかできない。
乾いた笑いを出している俺に、姉は怪訝な表情を向ける。
「ねぇ、ヒロ、見返したいと思わないの?」
「えぇ~?...最悪なことに、俺いじめられてきた事になんも思ってないんだよな。それに今見返したいより、こっち見て欲しいの方があるって言うか...」
自分で言っていて、本当に気持ち悪かった。
それは聞かされている姉も同様で、怪訝に顔のしわがいっそう濃くなる。
「私は...悔しいよ、私が元凶かもしんないけどさ、なんかまだヒロが舐められてるの...」
「まぁ...ありがと、これから多分千透星とも関わんなくなると思うし、それで心の整理つくかも、そしたら見返そっかな」
笑いながら姉に言うが、姉は自分の事のように悲しんでいるようだった。
...どうすれば、いいんだろうか、
「...あっ、そうだ」
「...何?」
「姉ちゃん、髪切ってよ。」
失恋した事だし!と自嘲気味にはりきっていうと姉は数秒目を見開いたあと、笑って、まかせろ!カッコよくしたる!とはりきっていました。
「短くね...?」
「そう?ヒロ、モジャモジャだったからこんぐらいが丁度いいでしょ?」
それはそうなんだけど...
坊主ではないが所々刈り上げられて、短髪であることには変わりない。
毛量が多い方だったので、ありがたいけど...なんだか、慣れない感覚にうなじらへんがスースーする。
無意識に首を手で押さえると、姉が押さえた手の甲をくすぐる、
思わずうなじから手を離すと、そのままうなじをくすぐられた。
「ぁんっ...!」
ハッとして、手で口を抑えて後ろにいる姉を睨む。
...今の俺の声キモすぎ...顔あっつ...
「...私さ、BL本もう捨てたけど、再発しそう。」
「は...?何言ってんの?」
「心の中の腐った部分が疼いてる。」
「やっぱ...中二の頃から姉ちゃん変わってねーわ」
痛いところとか、と笑って言うとさらに腹をくすぐられた。
明日の学校...
なんか、楽しみになってきたかも。
どんな反応すっかな...
ちぃちゃん...
とか、考えてる時点で俺が髪を切った意味はないだろう。
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