私のお猫さま 25歳を迎えて猫又さまになりました

月見こだま

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第二部

06:猫又さまと九尾のひと粒

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 しばらく沈黙が落ちた。やがて、考え込んでいたお父さんがルナちゃんを見る。
 言葉を迷うような息が洩れたが、はっきりとした声で言う。

「質問、いくつかいいかい?」
「はい」
「なんでそいつは猫又を襲うんだろう。人間を襲い続けるのは……まあ、理解できる。けど、同類を襲いはじめたのは最近の出来事のように聞こえて」

 純粋な疑問だった。事実、猫又は『命を食らう』と言っていた。
 ルナちゃんはその質問に『その通りです』と頷いたあとで、続けた。

「同類だからこそ、猫又を襲うのです。妖力の質が似ておりますので、食事するほど。同類を食べるほどに、妖力の底が上がります。――その事に気付いてしまった」

 ルナちゃんの言葉が尻すぼみする。言葉にするべきか、悩むように。

「なあ。クロっていうのは神格化した猫又なんだよな」

 『猫又食い』の目的が妖力の底上げだと聞いて、若葉も口を開いた。
「はい」
「そいつを食う目的はまあ理解できる。力の底上げが目的なら」
「……そうですね」
「でもミケは猫又になりたてだろ。他の猫又も食ってるのに、なんでクロと同等レベルでミケが食われるとまずいんだ?」

(それはわたしも気になってた。でも、知りたくない気もした)

 お父さんと若葉がルナちゃんに聞いてくれるので、わたしとお母さんはただその返事を待つ。
 ルナちゃんは、青い瞳を揺らせて、しっぽを落とす。

「それ「それは、そこの猫又がクロと同じく『九尾のひと粒』を持ってるからだ」

 ルナちゃんが続けようとした言葉に、少年のような声が被さる。
 声変わりを前にしたような清涼と深みを持つ声。
 けれど、聞き覚えのない声だ。
 それはお父さんの足元から聞こえた。

(九尾のひと粒……? どういうこと……?)

 声が告げる、知らない言葉。

「ルイ!」

 ルナちゃんの青が大きく見開かれる。
 お父さんの足元からしなやかな影が跳ぶ。ピンと立った大きな耳。長いしっぽ。
 そして、ルディの毛。
 丸く精悍な瞳はヘーゼル。

 先ほど名前が出た猫だ。



「『猫又食い』の目的は、『九尾』の力を手に入れること。本来九尾にならないはずの猫又が、厄災となるために力を求めてるんだ」


 
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