私のお猫さま 25歳を迎えて猫又さまになりました

月見こだま

文字の大きさ
44 / 58
第四部

01:行方不明の猫又

しおりを挟む

 裕子さんとの話を終えて、少しだけご飯を食べて、その日は寝た。ミケもよく眠っていた。わたしはミケの隣で、眠りについた。
 ――その、朝。

 外がざわついていた。玄関から声がする。

「――シロが居なくなった?」
「そうなの。見てない?」
「いや……」

 クロの声だ。わたしたちの様子を見に来たところを、裕子さんに会ったようだ。

(シロって子が……いなくなった?)

「んにゃあ……」
「――あ、ミケ」
「おなかすいたにゃあ……」
「……そうだよね」

 ミケはお風呂からあがって、そのまま朝までぐっすりだった。夜ご飯を食べてないのだ。
 時計を確認すると、朝の七時。

「――ごはん、食べよう」

 外から緊迫した声が響く。のんきに食事している場合じゃないのだろうけど。

(せめてミケにはごはんあげてから……)





 裕子さんが用意してくれたキャットフードとお皿。真新しいそれの封を切って、ミケにごはんをあげる。わたしは昨日洗濯した服に着替えた。
 髪も顔も最低限だけ整えて、ミケが気にするからわたしも少しだけ食べた。

 ――それから、

「――――おはようございます」

 まだ玄関で話し込んでいた二人に声をかける。開けても大丈夫な位置にいるのを確認して、扉を開ける。早朝の空は澄んでいるのに、玄関の空気だけが重かった。
 裕子さんとクロの表情も険しかったが、わたしの顔を見ると、すぐに取り繕った。

「おはよう、花屋敷さん。ゆっくり眠れた?」
「はい。あの、何かあったんですか」

 その、取り繕った裕子さんの手元は震えていた。やはりよくないことが起きている。
 考えないようにしていた。考えたくもないし、口にしたくもない。――今日は、ルナちゃんの結界水もないのだから。

「――昨日、猫又の子が二人いるって言ったの覚えてる? ……そのうちの一人の姿がないの」
「どんな子ですか?」
「シロって名前の子でね。真っ白――ではないんだけど……。シャム猫を想像してもらうとわかりやすいかも。首輪の代わりにクロのお守りと――飼主さんからもらったステンレスの迷子プレートをつけてるの」
「大きさは」
「ちょうど、ミケちゃんと同じくらい」
「探すの手伝います」
「待て、娘」


 その裕子さんとの会話をじっと見ていたクロが、制止した。







「――ルイから報せが届いた。手遅れだ」

 裕子さんはその報せに口を塞いで、崩れ落ちた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった

仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。 そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

他国ならうまくいったかもしれない話

章槻雅希
ファンタジー
入り婿が爵位を継いで、第二夫人を迎えて後継者作り。 他国であれば、それが許される国もありましょうが、我が国では法律違反ですわよ。 そう、カヌーン魔導王国には王国特殊法がございますから。   『小説家になろう』『アルファポリス』に重複投稿、自サイトにも掲載

なんか修羅場が始まってるんだけどwww

一樹
ファンタジー
とある学校の卒業パーティでの1幕。

おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ
ファンタジー
ダンジョンができて十年。年金の足しにダンジョンに通ってます。田中優子61歳

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う

yukataka
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。 これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。

その狂犬戦士はお義兄様ですが、何か?

行枝ローザ
ファンタジー
美しき侯爵令嬢の側には、強面・高背・剛腕と揃った『狂犬戦士』と恐れられる偉丈夫がいる。 貧乏男爵家の五人兄弟末子が養子に入った魔力を誇る伯爵家で彼を待ち受けていたのは、五歳下の義妹と二歳上の義兄、そして王都随一の魔術後方支援警護兵たち。 元・家族の誰からも愛されなかった少年は、新しい家族から愛されることと癒されることを知って強くなる。 これは不遇な微魔力持ち魔剣士が凄惨な乳幼児期から幸福な少年期を経て、成長していく物語。 ※見切り発車で書いていきます(通常運転。笑) ※エブリスタでも同時連載。2021/6/5よりカクヨムでも後追い連載しています。 ※2021/9/15けっこう前に追いついて、カクヨムでも現在は同時掲載です。

処理中です...