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第四部
05:シロの光
しおりを挟む「――クロ」
わたしは、決めた。これはきっと、当事者だからこそ、言葉に出来なかったことだ。
「『みけ』と、きちんと会話するべきだと思う」
「――――会話?」
「うん。次郎くんの話を聞いて確信した。『みけ』も、クロたちと同じなんだよ」
――そう。医療の助けなしに、猫又となったというなら。『みけ』の存在は、愛のはずだ。
「この前、化け犬たちを助けに来たんだよね。――クロが言った。助けにくるとは思わなかったって」
「……!」
クロの瞳が、大きく見開かれた。――きっと、無意識にその可能性を排除してたんだと思う。
同族を食べてしまう『みけ』の存在は、『悪』だと思う方がずっとシンプルだから。
「答え合わせしよう。――でも、今は」
――優先するべきことがある。
「シロくんのそばに」
悲しいことだけど。――それだけじゃない。過ごした時間も、今この瞬間も。
自分たちで選べることだ。
――
太陽が傾いてきた。
「――シロ……」
裕子さんが呼ぶけれど、もう反応がない。
浅く呼吸はしている。けれど、それも長くないのだと伝わる。
「……桜ちゃん」
ミケがわたしを見上げる。二本のしっぽが、わたしの頬を撫でた。
ありがとう、と言いたいけど。
言葉にならなかった。
「――――」
ただ、唇が震えるだけ。
わたしはシロくんと言葉を交わしたことはない。だけど。想像してしまう。この子は、どんな風にお喋りしたんだろう。どんな子だったんだろう。
そう思っていると。
シロくんの体が淡い光に包まれた
今にも消え入りそうだけど、どこか温かい。
「シロ……?」
クロが身を乗り出した、その時。
『――僕に未練はないよ』
この場にいる、誰のものでもない声が、空気を震わせた。
「シロ……」
裕子さんが手を震わせる。
『最後に家族の笑顔が見れた』
ミケの耳も動いた。――この声は、この場にいる全員に届いている。
『またみんなの家族になりたい』
それが、シロくんの『選択』だった。
『ありがとう。ここのみんなも、大好きだったよ』
――――そして。
ゆっくりと光が消えた。
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