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9.シルバーウィング
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「よっと……だぁ! 重い!!!」
「そんなにか、ゴリラ」
「テメェもやってみればわかるよ、スイケシュ……あ!? おい! 何サボってんだ!? 早く軽い瓦礫浮かせって!」
「バカが! 無理にやったら余計に崩れるんだ、お前がもっと早く運べ!!」
言い争うドンキホーテさんとスイケシュさんの声を聞きながらオレは二人の瓦礫運搬を見守っていた。
二人が今やってるのは……ロクマ遺跡の入り口探し……。
あれから遺跡のことなんか考える暇はなかったが、遺跡の有り様は随分ひどいものだ。
オレの能力のせいで遺跡は建物の形なんかなしてなかった。
混乱の中逃げたせいで、ほぼ更地だ。
さらに残った瓦礫のせいで、目的の入り口も見えないのでこうして二人が瓦礫を退けてくれている。
オレはと言うと……。
「バカが。魔力の使いすぎだと言っただろうが、少しでも体と頭を休めろ。今度は廃人になるぞ」
と、スイケシュさんに脅迫に近いねぎらいを受けてこうして休んでいる。
「うん? おい! トオル!」
そして、十分ほどの口論と瓦礫撤去の末、遂にそれは現れた。
「あったぞ! 入り口!」
ドンキホーテさんの言葉の通りようやく人の入れそうな階段を見つける。
多分、石造りの遺跡の建物はこの階段のためにあったのではないか、オレはなぜかそう思った。
「で、この中にあるのか?」
スイケシュさんが訝しげにオレに尋ねた。
「多分……あります」
オレもわからない。タイプライターとアリスから送られた情報はほぼ文字での情報しか無い。
飛行戦艦のスペック、大きさ、収容人数。そして、それがどこにあるのか。
「ついて来てください」
そう言ってオレは二人を先導するために歩き始めた。
─────────────
「階段、階段、階段……さすが古代文明だな、バリアフリーなんて言葉、考えることすらなかったんだろう」
「ウルセェぞ、スイケシュ」
「実際そうだろ、膝の関節がすり減った老害どもはどうやってこのクソ長い階段を降りるんだ? それとも古代の老害は関節が強かったのか? それか、古代の馬鹿どもは階段で生まれて階段で死んでいったんだろうな。は! カスが。学校とかの自己紹介はなんて言ったんだろうな? 僕はクソ長い階段村からやって来ました、得意技は膝を曲げたり伸ばしたりすることですとか言ってたのか? ボケどもが。大体こんな長い階段を作ることになんの意味があるんだ? もう落とし穴を作って地下に行きたい奴を叩き落としたほうが速いだろうが。どうせ、権威性とか死後に我々の偉大さを、とか意味のワカンねぇ枯れてハエもよりつかねぇ牛糞よりも価値の無ぇカスみたいな理由でこんな無駄に長い──」
スイケシュさんが壊れ始めて、早や5分。
オレたちは無限に続くんじゃないか、なんて妄想に取り付かれそうな階段を下っている。
上と両隣には狭い天井と壁、幸い閉所恐怖症ではないが。
この狭さはきつかった。スイケシュさんとドンキホーテさんがランタン(魔力で光るらしい)を持っていなければ、すぐにでも転げ落ちてしまうだろう。
そんな空間に居続けたせいかオレも少し気が滅入ってくる。
一体いつまでこんなところに──。
「……あ」
そう思った時だった。階段が、途切れた。
目の前に平らな石畳の床が現れる。
オレは急いで降りる。石畳の床のさらに先には両開きの鉄の扉。
「着いた」
オレがそう呟き、思い切りその扉を押した。
「重……!」
かなりの重量だ。苦戦していると後ろから扉を押す手が追加される。
「手伝うぜ、トオル」
「早く、このクソみたいな地下からも抜け出したいしな」
ドンキホーテさんとスイケシュさんの手だった。
二人と一緒に思い切り押すと扉は重々しく開く。
扉の向こう側はまるで漆が塗られた様な真っ黒な闇が広がっていた。
扉を開けたはいいものの、踏み出すことすら憚る様な黒の景色にオレが戸惑っていたその時だった。
「使用権限を確認、起動します。こんにちは……トオル……サクラマ様」
そんな声が響いて、闇を払う光が灯った。
「システムオールグリーン、ヘイローエンジン搭載型空中起動戦艦、シルバーウィング。発信準備完了です」
操舵輪の様な、十字のハンドル。近代的な天井照明。歯車をモチーフにしたであろうホログラムが浮かぶ様々な計測機器。
オレたちはいつのまにか、戦艦のブリッジの中にいたのだ。
「そんなにか、ゴリラ」
「テメェもやってみればわかるよ、スイケシュ……あ!? おい! 何サボってんだ!? 早く軽い瓦礫浮かせって!」
「バカが! 無理にやったら余計に崩れるんだ、お前がもっと早く運べ!!」
言い争うドンキホーテさんとスイケシュさんの声を聞きながらオレは二人の瓦礫運搬を見守っていた。
二人が今やってるのは……ロクマ遺跡の入り口探し……。
あれから遺跡のことなんか考える暇はなかったが、遺跡の有り様は随分ひどいものだ。
オレの能力のせいで遺跡は建物の形なんかなしてなかった。
混乱の中逃げたせいで、ほぼ更地だ。
さらに残った瓦礫のせいで、目的の入り口も見えないのでこうして二人が瓦礫を退けてくれている。
オレはと言うと……。
「バカが。魔力の使いすぎだと言っただろうが、少しでも体と頭を休めろ。今度は廃人になるぞ」
と、スイケシュさんに脅迫に近いねぎらいを受けてこうして休んでいる。
「うん? おい! トオル!」
そして、十分ほどの口論と瓦礫撤去の末、遂にそれは現れた。
「あったぞ! 入り口!」
ドンキホーテさんの言葉の通りようやく人の入れそうな階段を見つける。
多分、石造りの遺跡の建物はこの階段のためにあったのではないか、オレはなぜかそう思った。
「で、この中にあるのか?」
スイケシュさんが訝しげにオレに尋ねた。
「多分……あります」
オレもわからない。タイプライターとアリスから送られた情報はほぼ文字での情報しか無い。
飛行戦艦のスペック、大きさ、収容人数。そして、それがどこにあるのか。
「ついて来てください」
そう言ってオレは二人を先導するために歩き始めた。
─────────────
「階段、階段、階段……さすが古代文明だな、バリアフリーなんて言葉、考えることすらなかったんだろう」
「ウルセェぞ、スイケシュ」
「実際そうだろ、膝の関節がすり減った老害どもはどうやってこのクソ長い階段を降りるんだ? それとも古代の老害は関節が強かったのか? それか、古代の馬鹿どもは階段で生まれて階段で死んでいったんだろうな。は! カスが。学校とかの自己紹介はなんて言ったんだろうな? 僕はクソ長い階段村からやって来ました、得意技は膝を曲げたり伸ばしたりすることですとか言ってたのか? ボケどもが。大体こんな長い階段を作ることになんの意味があるんだ? もう落とし穴を作って地下に行きたい奴を叩き落としたほうが速いだろうが。どうせ、権威性とか死後に我々の偉大さを、とか意味のワカンねぇ枯れてハエもよりつかねぇ牛糞よりも価値の無ぇカスみたいな理由でこんな無駄に長い──」
スイケシュさんが壊れ始めて、早や5分。
オレたちは無限に続くんじゃないか、なんて妄想に取り付かれそうな階段を下っている。
上と両隣には狭い天井と壁、幸い閉所恐怖症ではないが。
この狭さはきつかった。スイケシュさんとドンキホーテさんがランタン(魔力で光るらしい)を持っていなければ、すぐにでも転げ落ちてしまうだろう。
そんな空間に居続けたせいかオレも少し気が滅入ってくる。
一体いつまでこんなところに──。
「……あ」
そう思った時だった。階段が、途切れた。
目の前に平らな石畳の床が現れる。
オレは急いで降りる。石畳の床のさらに先には両開きの鉄の扉。
「着いた」
オレがそう呟き、思い切りその扉を押した。
「重……!」
かなりの重量だ。苦戦していると後ろから扉を押す手が追加される。
「手伝うぜ、トオル」
「早く、このクソみたいな地下からも抜け出したいしな」
ドンキホーテさんとスイケシュさんの手だった。
二人と一緒に思い切り押すと扉は重々しく開く。
扉の向こう側はまるで漆が塗られた様な真っ黒な闇が広がっていた。
扉を開けたはいいものの、踏み出すことすら憚る様な黒の景色にオレが戸惑っていたその時だった。
「使用権限を確認、起動します。こんにちは……トオル……サクラマ様」
そんな声が響いて、闇を払う光が灯った。
「システムオールグリーン、ヘイローエンジン搭載型空中起動戦艦、シルバーウィング。発信準備完了です」
操舵輪の様な、十字のハンドル。近代的な天井照明。歯車をモチーフにしたであろうホログラムが浮かぶ様々な計測機器。
オレたちはいつのまにか、戦艦のブリッジの中にいたのだ。
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