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第五十七話 夢の支配者
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ごくりと、カミネは唾を飲み込んだ。
目の前の老人は確かに操られている。
そう、倒すべき夢の元凶である支配者に。
それがなぜか自分たちの目の前に現れたのだ、何の意図があるのか。何もわからない。
だが確かな事がある。
目の前の男は、支配者は、自分たちの目の前に間接的とは言え姿を表してもいいと思うほどの余裕と、自信があると言う事だ。
「何のようだ……!」
アールが怒りのこもった声が響く。
だが目の前の老人は何の感情も抱くこともなく、つぶやいた。
「誰が夢を覚ませと頼んだ」
「質問に……」
「誰も望んでいなかったはずだ」
アールの言葉を遮り老人が言う。
「この者達は、夢を見ることを望んでいた。破壊された故郷、ただ拠り所のなく訪れる虚無感。だから皆、夢を見たかった」
「だから、こんなくだらない世界に人々を閉じ込めたのであるか?」
ラクレが言う。
「くだらない?」
「ああ、くだらないのである」
「どこがだ? ここは理想郷だ。人々は夢を見て現実を装飾しきっている、絶望的な今を生きるために人々は──」
「ふふ、理想的、などと言えば聞こえがいいのであるな?」
ラクレは笑い、ただ老人を睨みつける。
「それはようは自分の思い通りになると言うことである。思い通りにしかならないと言うことである。」
「それの何が悪い」
「それは、結局、監獄と変わらないのである。人々を想像の中に貴様は閉じ込めた。監獄と何が違う」
「それでも人々は夢を見ることを望む、その少女が証拠だ」
老人が指を指す。眠り続ける少女は未だに目を覚ます気配は無い。
それは老人の言葉を明確に事実として裏付けている。
「それが望みだ人々のな?」
老人はそう締めくくる。そしてもう話す事はないと言わんばかりに背を向けた。
「それでも吾輩達は諦めんぞ、この監獄から抜け出して見せる」
「好きにするがいい」
そう言って、老人は消えた。いや夢に溶けたと言った方が正しいだろう。
ただ街の廃墟にラクレ達は残されたのだ。
「き、消えた」
カミネはそう言い。思わず息を吐き出す。
無意識に息をしていなかった凄まじい緊張だったのだ。
「何で、あの人ここに現れたの……?」
カミネの疑問にラクレは顎を撫でながら思案する。
そして思い至ったのか、笑いながら答える。
「まあ、考えてもしょうがないのである! さあとりあえずここは休んで次のアンカーを破壊しにいくのである!!」
ラクレは笑いながらそう言った。
「でも……この子はどうするんですか?」
「そうであるな……とりあえず、アジトに連れて帰ろういいであるな? アール殿?」
「ああ、大丈夫だ」
そうしてアールは金髪の少女を担ぎ上げた。
これでよかったのだろうか、そんな一抹の迷いがカミネに訪れる。
この少女は目覚めない、この夢を壊すと言う行為事態が果たして、人々に良い影響を与えるのだろうか。
しかし、同時にあの支配者にこの都を任せて良いともカミネは思えなかった。
あのガーディアンの都の破壊ぶりからも察せるようにこの都の支配者は本質的には都の住人の安全など考えていない。
そして何よりも──。
「二人とも……」
未だ見えることのない、エルマーとミラナその二人を探すためにも、カミネは諦めるわけには行かなかった。
目の前の老人は確かに操られている。
そう、倒すべき夢の元凶である支配者に。
それがなぜか自分たちの目の前に現れたのだ、何の意図があるのか。何もわからない。
だが確かな事がある。
目の前の男は、支配者は、自分たちの目の前に間接的とは言え姿を表してもいいと思うほどの余裕と、自信があると言う事だ。
「何のようだ……!」
アールが怒りのこもった声が響く。
だが目の前の老人は何の感情も抱くこともなく、つぶやいた。
「誰が夢を覚ませと頼んだ」
「質問に……」
「誰も望んでいなかったはずだ」
アールの言葉を遮り老人が言う。
「この者達は、夢を見ることを望んでいた。破壊された故郷、ただ拠り所のなく訪れる虚無感。だから皆、夢を見たかった」
「だから、こんなくだらない世界に人々を閉じ込めたのであるか?」
ラクレが言う。
「くだらない?」
「ああ、くだらないのである」
「どこがだ? ここは理想郷だ。人々は夢を見て現実を装飾しきっている、絶望的な今を生きるために人々は──」
「ふふ、理想的、などと言えば聞こえがいいのであるな?」
ラクレは笑い、ただ老人を睨みつける。
「それはようは自分の思い通りになると言うことである。思い通りにしかならないと言うことである。」
「それの何が悪い」
「それは、結局、監獄と変わらないのである。人々を想像の中に貴様は閉じ込めた。監獄と何が違う」
「それでも人々は夢を見ることを望む、その少女が証拠だ」
老人が指を指す。眠り続ける少女は未だに目を覚ます気配は無い。
それは老人の言葉を明確に事実として裏付けている。
「それが望みだ人々のな?」
老人はそう締めくくる。そしてもう話す事はないと言わんばかりに背を向けた。
「それでも吾輩達は諦めんぞ、この監獄から抜け出して見せる」
「好きにするがいい」
そう言って、老人は消えた。いや夢に溶けたと言った方が正しいだろう。
ただ街の廃墟にラクレ達は残されたのだ。
「き、消えた」
カミネはそう言い。思わず息を吐き出す。
無意識に息をしていなかった凄まじい緊張だったのだ。
「何で、あの人ここに現れたの……?」
カミネの疑問にラクレは顎を撫でながら思案する。
そして思い至ったのか、笑いながら答える。
「まあ、考えてもしょうがないのである! さあとりあえずここは休んで次のアンカーを破壊しにいくのである!!」
ラクレは笑いながらそう言った。
「でも……この子はどうするんですか?」
「そうであるな……とりあえず、アジトに連れて帰ろういいであるな? アール殿?」
「ああ、大丈夫だ」
そうしてアールは金髪の少女を担ぎ上げた。
これでよかったのだろうか、そんな一抹の迷いがカミネに訪れる。
この少女は目覚めない、この夢を壊すと言う行為事態が果たして、人々に良い影響を与えるのだろうか。
しかし、同時にあの支配者にこの都を任せて良いともカミネは思えなかった。
あのガーディアンの都の破壊ぶりからも察せるようにこの都の支配者は本質的には都の住人の安全など考えていない。
そして何よりも──。
「二人とも……」
未だ見えることのない、エルマーとミラナその二人を探すためにも、カミネは諦めるわけには行かなかった。
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