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バラバラ男と解せない男
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「お嬢様ぁ!見てくださいよ!」
チラシを持ってメイドがローゼの元にやってきます。
「どうしたの?」
「こっこれを見てくださいよ!!」
バっと目の前に出されたチラシにローゼも思わず食いつきます。
【ポンタ王国 王都物産展 1500種類を超える ”王都ならでは” の品を割引価格にてご提供】
あぁ、作者もよく行きますよ!●浜中華街の物産展とか●海道物産展とか…ちょっとお値段するけど美味しいんですよねぇ…美味しいは正義でございますよ。
「どこで開催するのかしら♡」
とチラシをメイドとよ~く見てみると・・・
「ア”…ダメだわ。隣のエール領じゃないの…チョイス領じゃないわ」
「えぇぇ~でもこの白いチーズの抹茶パンなんて可愛くないですか?ズルい~エール領ズルい~」
無理だなぁと思いつつもチラシを開いてチラシだけも堪能しようとしていると…
「ニャゥゥゥ~!!欲しい!欲しいわ!」
ローゼが突然悶絶し始めます。
そこには‥‥隣国のイケメンユニットのオリジナルグッズ販売の文字。そして…
「ヒャゥゥ!先着5名様にサイン入りのライヴで着用したジャケットプレゼント!!まじぃぃ?」
慌ててカレンダーの日付を確認します。
特に用事のないローゼは毎日暇と言えば暇なんですけどね。
「明日の天気予報はどうなってるかしら?」
「はい!私の予想ですがたぶん、晴れのち晴れです!」
「的中率はどれくらいなのっ!」
「当たるも八卦当たらぬも八卦ですよ!お嬢さまっ!」
「流石ね!メイドの中のメイドだわ!」
全然だめっぽい天気予報なんですが、心はもうエール領。
未来予想図は描けないローゼ。何かが起こる予感。
「行くわ!先着5名様に食い込んでジャケットゲットだわ!!朝5時に出れば10時の開店に間に合うわ!」
フンフンと鼻から息を出し、やる気十分!
翌朝ドランチに乗ってエール領まで行くことを決めました。
☆~☆~☆~☆
ガラガラと走る馬車。
速達で出した先ぶれがチョイス領の伯爵家に届くのは明後日です。
「待たせちゃうと悪いからねぇ」
「待たせるも何も返事を待たない男は嫌われますよ」
呆れる執事のジェームスの言葉もうわの空。
バケツに水を入れ、大量の薔薇の花に囲まれながら王太子殿下はチョイス領に向かいます。
速達で出した先ぶれが届いた翌日に乗り込もうという返事を待たない暴挙に出たようです。
日持ちする花が判らなかった王太子殿下は王都中にある花屋からバラを取り寄せました。
「君にバラバラ~赤いバラ~♪」
「殿下、バラバラ??バンバラバンバンバンではありませんかね?」
「違うよぅ~♪ハっとしたら~グっとくるんだからさ」
「おかしいですね。大御所ささ●先生のシークレットな戦隊ではないのですか」
「違うなぁ~黄色はねカレーじゃなくてジャスミンなんだよ~」
「ジャスミン‥‥あぁジャッジメンっ!で御座いますね」
「そうだよぅ。でもねローゼ嬢は赤いんだぁ~だからマジマジイィロ~なのさ」
ローゼの瞳は赤と言えば赤なんですけど紫ががった赤ですけどね。
まぁ、紫のバラは某ヒーローが舞台女優に贈るので売ってなかったのかも知れません。
よく判らない会話をする2人を乗せて馬車は軽快に進みます。
むせ返るほどのバラの香りに包まれた馬車は夕刻にはエール領に到着します。
手紙が届いたのを見計らって出立するため、エール領で2泊する予定です。
☆~☆~☆~☆
バシュッ!ドサリ…ガシュっ!バササー!!
「班長!ドヴォルザー班長!」
「何だ」
「いつもながらのお点前ですねぇ……すっかり魔獣がカチンコチンです」
「これで野営の夕食は足りるだろう」
「うーん‥‥解凍に時間がかかるかも…です」
本当なら、仕留めた時にコンガリッチになるほどの雷を伴う炎のショック魔法なのですがここ2年。
スタンレィフォリナー(以下レイ君)の放つ魔法の刃はとにかく氷系です。
瞬間冷凍してしまうので保存状態は良いのですがすぐに調理が出来ないのが難点です。
「やはり森の奥になると魔獣が多いな」
「そうですね。でも不思議とチョイス領での魔獣報告はないんですよ」
「隣接するエール領でこんなに中級の魔獣がいるのに??」
「そうなんですよ。10年ほど前は討伐の依頼も多かったそうなんですが5,6年前からばったりと」
「何が違うんだろうな…その辺も調査をするよう王都に戻ったら殿下に頼んでみるか」
「そうですね。あっと‥‥これ拾いました」
「なんだそれは?」
「チョイス領が近いですからね。この辺にも種が飛ぶんでしょう。ニャバランボの実です」
果柄の先にクルミのような固い実がサクランボのようになったニャバランボの実を得意そうに見せる部下です。
スープに入れると絶妙だとゴリゴリ石で殻を砕いていきます。
「明日の予定はどうだ」
「早朝にエール領の領主の元に報告に行って、休憩のあと昼には王都に向けて出立です」
「半日ほど皆にも観光をさせるとするか」
「マジっすか?嫁さんに頼まれてるんですよ」
「何をだ?」
「なんでも隣国のアイドルグループのグッズ販売があるようでして」
レイ君、かの日のように部下の肩をガっと掴んでブンブン揺すります。
部下の三半規管は鍛えられているのでしょうか。
「どうしてだ!」
「な、何がですか!」
「何故愛する妻が他の男のグッズを欲しがると買い与えるのだ?」
「いや、アイドルですよ、アイドル!!」
「それでもだ!他の男だぞ?何故許せるんだっ!」
「は、班長‥‥班長っ!」
「喜ぶ顔が見たいからですよ!!僕はもう何のカミングアウトをさせられるんですかっ!」
ハァハァとする部下の隣で眉を顰めるレイ君。
「解せぬ!!」
心が狭いですよ…レイ君。
チラシを持ってメイドがローゼの元にやってきます。
「どうしたの?」
「こっこれを見てくださいよ!!」
バっと目の前に出されたチラシにローゼも思わず食いつきます。
【ポンタ王国 王都物産展 1500種類を超える ”王都ならでは” の品を割引価格にてご提供】
あぁ、作者もよく行きますよ!●浜中華街の物産展とか●海道物産展とか…ちょっとお値段するけど美味しいんですよねぇ…美味しいは正義でございますよ。
「どこで開催するのかしら♡」
とチラシをメイドとよ~く見てみると・・・
「ア”…ダメだわ。隣のエール領じゃないの…チョイス領じゃないわ」
「えぇぇ~でもこの白いチーズの抹茶パンなんて可愛くないですか?ズルい~エール領ズルい~」
無理だなぁと思いつつもチラシを開いてチラシだけも堪能しようとしていると…
「ニャゥゥゥ~!!欲しい!欲しいわ!」
ローゼが突然悶絶し始めます。
そこには‥‥隣国のイケメンユニットのオリジナルグッズ販売の文字。そして…
「ヒャゥゥ!先着5名様にサイン入りのライヴで着用したジャケットプレゼント!!まじぃぃ?」
慌ててカレンダーの日付を確認します。
特に用事のないローゼは毎日暇と言えば暇なんですけどね。
「明日の天気予報はどうなってるかしら?」
「はい!私の予想ですがたぶん、晴れのち晴れです!」
「的中率はどれくらいなのっ!」
「当たるも八卦当たらぬも八卦ですよ!お嬢さまっ!」
「流石ね!メイドの中のメイドだわ!」
全然だめっぽい天気予報なんですが、心はもうエール領。
未来予想図は描けないローゼ。何かが起こる予感。
「行くわ!先着5名様に食い込んでジャケットゲットだわ!!朝5時に出れば10時の開店に間に合うわ!」
フンフンと鼻から息を出し、やる気十分!
翌朝ドランチに乗ってエール領まで行くことを決めました。
☆~☆~☆~☆
ガラガラと走る馬車。
速達で出した先ぶれがチョイス領の伯爵家に届くのは明後日です。
「待たせちゃうと悪いからねぇ」
「待たせるも何も返事を待たない男は嫌われますよ」
呆れる執事のジェームスの言葉もうわの空。
バケツに水を入れ、大量の薔薇の花に囲まれながら王太子殿下はチョイス領に向かいます。
速達で出した先ぶれが届いた翌日に乗り込もうという返事を待たない暴挙に出たようです。
日持ちする花が判らなかった王太子殿下は王都中にある花屋からバラを取り寄せました。
「君にバラバラ~赤いバラ~♪」
「殿下、バラバラ??バンバラバンバンバンではありませんかね?」
「違うよぅ~♪ハっとしたら~グっとくるんだからさ」
「おかしいですね。大御所ささ●先生のシークレットな戦隊ではないのですか」
「違うなぁ~黄色はねカレーじゃなくてジャスミンなんだよ~」
「ジャスミン‥‥あぁジャッジメンっ!で御座いますね」
「そうだよぅ。でもねローゼ嬢は赤いんだぁ~だからマジマジイィロ~なのさ」
ローゼの瞳は赤と言えば赤なんですけど紫ががった赤ですけどね。
まぁ、紫のバラは某ヒーローが舞台女優に贈るので売ってなかったのかも知れません。
よく判らない会話をする2人を乗せて馬車は軽快に進みます。
むせ返るほどのバラの香りに包まれた馬車は夕刻にはエール領に到着します。
手紙が届いたのを見計らって出立するため、エール領で2泊する予定です。
☆~☆~☆~☆
バシュッ!ドサリ…ガシュっ!バササー!!
「班長!ドヴォルザー班長!」
「何だ」
「いつもながらのお点前ですねぇ……すっかり魔獣がカチンコチンです」
「これで野営の夕食は足りるだろう」
「うーん‥‥解凍に時間がかかるかも…です」
本当なら、仕留めた時にコンガリッチになるほどの雷を伴う炎のショック魔法なのですがここ2年。
スタンレィフォリナー(以下レイ君)の放つ魔法の刃はとにかく氷系です。
瞬間冷凍してしまうので保存状態は良いのですがすぐに調理が出来ないのが難点です。
「やはり森の奥になると魔獣が多いな」
「そうですね。でも不思議とチョイス領での魔獣報告はないんですよ」
「隣接するエール領でこんなに中級の魔獣がいるのに??」
「そうなんですよ。10年ほど前は討伐の依頼も多かったそうなんですが5,6年前からばったりと」
「何が違うんだろうな…その辺も調査をするよう王都に戻ったら殿下に頼んでみるか」
「そうですね。あっと‥‥これ拾いました」
「なんだそれは?」
「チョイス領が近いですからね。この辺にも種が飛ぶんでしょう。ニャバランボの実です」
果柄の先にクルミのような固い実がサクランボのようになったニャバランボの実を得意そうに見せる部下です。
スープに入れると絶妙だとゴリゴリ石で殻を砕いていきます。
「明日の予定はどうだ」
「早朝にエール領の領主の元に報告に行って、休憩のあと昼には王都に向けて出立です」
「半日ほど皆にも観光をさせるとするか」
「マジっすか?嫁さんに頼まれてるんですよ」
「何をだ?」
「なんでも隣国のアイドルグループのグッズ販売があるようでして」
レイ君、かの日のように部下の肩をガっと掴んでブンブン揺すります。
部下の三半規管は鍛えられているのでしょうか。
「どうしてだ!」
「な、何がですか!」
「何故愛する妻が他の男のグッズを欲しがると買い与えるのだ?」
「いや、アイドルですよ、アイドル!!」
「それでもだ!他の男だぞ?何故許せるんだっ!」
「は、班長‥‥班長っ!」
「喜ぶ顔が見たいからですよ!!僕はもう何のカミングアウトをさせられるんですかっ!」
ハァハァとする部下の隣で眉を顰めるレイ君。
「解せぬ!!」
心が狭いですよ…レイ君。
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