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ここは何処、わたくしは誰でしたっけ?としばし状況を把握する時間が欲しいのです。
どうやらフカフカだけど柔らかすぎず、固すぎない心地よい眠りを誘う寝具に寝かされている事は判ります。何故こうなった?時系列で思い出そうとするのですが、頭の中に鏡で見た事のある自分が沢山いて整理がつきません。
確か、アルベルト様が仰ったのです。
「全部はまだ前室の分を半分しか運びきれていないんだけど」
前室と言う事はその奥にまだ部屋があるという事ですが、とりあえずその部屋にあったものが半分だけ持ち込まれたアルベルト様の秘蔵コレクションという事でしたわね。
ですが、扉を開けると‥‥そうです!わたくしが沢山いたのです。
合わせ鏡どころではありません。なんだか万華鏡の部品の一部になった気がしてそこから覚えておりません。
「はぁ‥‥」
溜息を吐くと、シャッシャっと衣擦れの音が近寄ってきます。
何かと思い、体を起こそうとしたのですが、覆いかぶさるように白い物体が!!
「良かった!気分だどうだ?」
「ス‥‥スケキヨ??」
あ、違いました。アルベルト様です。
ただでさえ白いお肌のアルベルト様。どうやらわたくしは卒倒したらしく心配で血の気を失っていたと仰いますが、血の気を失った真っ白いお顔を見せられるこちらの方が血の気を失います。
「あ、あのアルベルト様、起きたいのですけれど」
「手を貸そう。さぁ僕の胸に飛び込んでおいで」
「‥…はい?‥‥」
どうやらわたくしとアルベルト様の感覚の相違はかなりあるような気がします。
何故か起き上がると、甲斐甲斐しくタオルやら飲み物と世話をしてくださいますがメイドや侍女はいないのでしょうか。仮にも国を代表するような騎士様とお聞きしたのですけども。
問題点は潰すに限ります。
「アルベルト様、先程のお部屋はいったい…」
「あ、あの部屋は肖像画の部屋にしようと思ってるんだ」
「肖像画‥‥全てわたくしだった気がしますが」
「そうだよ?当たり前じゃないか」
ふむ‥‥確かに1人の肖像画など実家にもありました。ですが2,3枚です。
明らかにあの部屋はあり過ぎですし、確か半分とお聞きした記憶が御座います。
「何故、わたくしだけなのですか?」
「好きだから」
「えーっと…アルベルト様の肖像画は飾らないのですか?」
「いらないな。本物がいるからいいだろう?」
――それを言うのなら、わたくしも本物なのですが?――
妙な収集癖があるのでしょうか。あまりに趣味の部屋に部屋を使われても困ります。
部屋数は有限なのですから。
「わたくし、絵師に肖像画を描いてもらった覚えはないのですけど」
「うん。僕がいつも頼んでいるからね」
「いつも…と申しますと、どういう事でしょうか?」
「いやぁ、色んな場面でのエトランゼを見たいと思わないか?」
――思いませんね。鏡で充分です――
「あの肖像画は処分します」
「えっ‥‥どうして‥‥どうしてそんな事が出来るんだ?」
――その言葉、そっくりお返しいたします――
「不要ですもの」
「そんなっ‥‥不要だなどと‥そんなはずはない。だってエトランゼの絵姿なんだよ?」
「本物がここにおりますが、絵姿の方がよろしいのですか?」
――何故にじっと見ておられるのですか?――
「ヒャァッ!!本当だ!」
――驚く事にこちらが驚きます――
「そりゃ本物が良いけど……あんまり話せなくて」
「肖像画や絵姿は間違いなく無言だと思いますよ?」
「それは大丈夫。いつもパターンがあって心で話をしているんだ」
――心で会話‥‥お心を病まれておられるのかしら――
「パターン…でございますか」
「そう。例えば水色のワンピースの絵姿は僕に「こっちに来て下さいませ」って話しかけてくれるし、黄色いワンピースの絵姿は「もう帰ってしまわれるのですか?」って僕を引き留めるんだ。ピンクのワンピースの絵姿は「裾が濡れてしまいました」って噴水で遊んでて困った顔をするんだ」
ウットリした顔で、次々と絵姿の服装やポーズによって発する言葉も違うらしいのですが、間違いなく言えるのは【そんな事を言ったことは一度もない】と言う事です。
「‥…なんだよ。それでね、エトランゼが僕の頬を触りな…」
――病みが深いようです。それもかなり危険な領域のようです――
「アルベルト様」
お話を中断するようで申し訳ないのですが、パっと見であの部屋にあった肖像画や絵姿は100枚をゆうに超えておりました。全てを聞き取りしていましたら数か月かかってしまいます。
「では、今後は絵姿とお過ごしくださいませ」
「エ‥‥どういう事なんだ?」
「絵姿とのお話は大変楽しくされておられるので、わたくしは不要でございましょう?」
「ばっばかな!そんな事あるわけないだろう!」
「ではお選びください。本物か絵か」
――えーっと・・どうして考えておられるの?――
沈黙が長いです。
「わかった絵姿と肖像画は‥‥処分‥‥しよう」
と、言う事は他に何かあるという事です。趣味で色々と集めるのは大変に結構なのですが問題のあるものは処分に限ります。
「アルベルト様、正直にお答えくださいませ」
「なんだ?」
「どんなものを集められているのですか?ここにあるもの、ご実家にあるもの…ですが」
「全部エトランゼのものだけど…問題があるのか?」
――問題しか!御座いませんね――
「アルベルト様 (にこっ)」
「ニュワッ!!激可愛い‥‥もう死ぬかもしれない…」
「死ぬのは死亡保険を増額後で結構ですので、お手伝いして頂けます?」
「手伝い?なんの手伝いを?」
「お掃除です。一人では多分片付かないと思いますので」
「構わないよ。手伝おう」
「お約束ですよ?お義母様からも不要なものは処分していいと伺ってますし、これからはアルベルト様とこのお屋敷で生活をす…ンギャッ!」
また抱きしめられてしまいました。が‥‥
「ンフゥ…スゥースゥー‥‥フンスフンス‥」
「あの…アルベルト様…」
「ムフゥ…どうした…」
「匂わないでくださいませ」
「何故分かった?やはり‥‥エトランゼ…神だったのか!」
いえ、普通に判りますから。
どうやらフカフカだけど柔らかすぎず、固すぎない心地よい眠りを誘う寝具に寝かされている事は判ります。何故こうなった?時系列で思い出そうとするのですが、頭の中に鏡で見た事のある自分が沢山いて整理がつきません。
確か、アルベルト様が仰ったのです。
「全部はまだ前室の分を半分しか運びきれていないんだけど」
前室と言う事はその奥にまだ部屋があるという事ですが、とりあえずその部屋にあったものが半分だけ持ち込まれたアルベルト様の秘蔵コレクションという事でしたわね。
ですが、扉を開けると‥‥そうです!わたくしが沢山いたのです。
合わせ鏡どころではありません。なんだか万華鏡の部品の一部になった気がしてそこから覚えておりません。
「はぁ‥‥」
溜息を吐くと、シャッシャっと衣擦れの音が近寄ってきます。
何かと思い、体を起こそうとしたのですが、覆いかぶさるように白い物体が!!
「良かった!気分だどうだ?」
「ス‥‥スケキヨ??」
あ、違いました。アルベルト様です。
ただでさえ白いお肌のアルベルト様。どうやらわたくしは卒倒したらしく心配で血の気を失っていたと仰いますが、血の気を失った真っ白いお顔を見せられるこちらの方が血の気を失います。
「あ、あのアルベルト様、起きたいのですけれど」
「手を貸そう。さぁ僕の胸に飛び込んでおいで」
「‥…はい?‥‥」
どうやらわたくしとアルベルト様の感覚の相違はかなりあるような気がします。
何故か起き上がると、甲斐甲斐しくタオルやら飲み物と世話をしてくださいますがメイドや侍女はいないのでしょうか。仮にも国を代表するような騎士様とお聞きしたのですけども。
問題点は潰すに限ります。
「アルベルト様、先程のお部屋はいったい…」
「あ、あの部屋は肖像画の部屋にしようと思ってるんだ」
「肖像画‥‥全てわたくしだった気がしますが」
「そうだよ?当たり前じゃないか」
ふむ‥‥確かに1人の肖像画など実家にもありました。ですが2,3枚です。
明らかにあの部屋はあり過ぎですし、確か半分とお聞きした記憶が御座います。
「何故、わたくしだけなのですか?」
「好きだから」
「えーっと…アルベルト様の肖像画は飾らないのですか?」
「いらないな。本物がいるからいいだろう?」
――それを言うのなら、わたくしも本物なのですが?――
妙な収集癖があるのでしょうか。あまりに趣味の部屋に部屋を使われても困ります。
部屋数は有限なのですから。
「わたくし、絵師に肖像画を描いてもらった覚えはないのですけど」
「うん。僕がいつも頼んでいるからね」
「いつも…と申しますと、どういう事でしょうか?」
「いやぁ、色んな場面でのエトランゼを見たいと思わないか?」
――思いませんね。鏡で充分です――
「あの肖像画は処分します」
「えっ‥‥どうして‥‥どうしてそんな事が出来るんだ?」
――その言葉、そっくりお返しいたします――
「不要ですもの」
「そんなっ‥‥不要だなどと‥そんなはずはない。だってエトランゼの絵姿なんだよ?」
「本物がここにおりますが、絵姿の方がよろしいのですか?」
――何故にじっと見ておられるのですか?――
「ヒャァッ!!本当だ!」
――驚く事にこちらが驚きます――
「そりゃ本物が良いけど……あんまり話せなくて」
「肖像画や絵姿は間違いなく無言だと思いますよ?」
「それは大丈夫。いつもパターンがあって心で話をしているんだ」
――心で会話‥‥お心を病まれておられるのかしら――
「パターン…でございますか」
「そう。例えば水色のワンピースの絵姿は僕に「こっちに来て下さいませ」って話しかけてくれるし、黄色いワンピースの絵姿は「もう帰ってしまわれるのですか?」って僕を引き留めるんだ。ピンクのワンピースの絵姿は「裾が濡れてしまいました」って噴水で遊んでて困った顔をするんだ」
ウットリした顔で、次々と絵姿の服装やポーズによって発する言葉も違うらしいのですが、間違いなく言えるのは【そんな事を言ったことは一度もない】と言う事です。
「‥…なんだよ。それでね、エトランゼが僕の頬を触りな…」
――病みが深いようです。それもかなり危険な領域のようです――
「アルベルト様」
お話を中断するようで申し訳ないのですが、パっと見であの部屋にあった肖像画や絵姿は100枚をゆうに超えておりました。全てを聞き取りしていましたら数か月かかってしまいます。
「では、今後は絵姿とお過ごしくださいませ」
「エ‥‥どういう事なんだ?」
「絵姿とのお話は大変楽しくされておられるので、わたくしは不要でございましょう?」
「ばっばかな!そんな事あるわけないだろう!」
「ではお選びください。本物か絵か」
――えーっと・・どうして考えておられるの?――
沈黙が長いです。
「わかった絵姿と肖像画は‥‥処分‥‥しよう」
と、言う事は他に何かあるという事です。趣味で色々と集めるのは大変に結構なのですが問題のあるものは処分に限ります。
「アルベルト様、正直にお答えくださいませ」
「なんだ?」
「どんなものを集められているのですか?ここにあるもの、ご実家にあるもの…ですが」
「全部エトランゼのものだけど…問題があるのか?」
――問題しか!御座いませんね――
「アルベルト様 (にこっ)」
「ニュワッ!!激可愛い‥‥もう死ぬかもしれない…」
「死ぬのは死亡保険を増額後で結構ですので、お手伝いして頂けます?」
「手伝い?なんの手伝いを?」
「お掃除です。一人では多分片付かないと思いますので」
「構わないよ。手伝おう」
「お約束ですよ?お義母様からも不要なものは処分していいと伺ってますし、これからはアルベルト様とこのお屋敷で生活をす…ンギャッ!」
また抱きしめられてしまいました。が‥‥
「ンフゥ…スゥースゥー‥‥フンスフンス‥」
「あの…アルベルト様…」
「ムフゥ…どうした…」
「匂わないでくださいませ」
「何故分かった?やはり‥‥エトランゼ…神だったのか!」
いえ、普通に判りますから。
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