この度、変態騎士の妻になりました

cyaru

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攻守交替が激しい夫婦

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体臭。それは体の匂い。人は誰も無臭では御座いませんので部位や体温によっては差があります。
しかし、先程から髪を撫でながらもスンスンと首の後ろや髪の至る部分、時折肩なども匂われている気がしてなりません。

「アルベルト様、何をされているのです」
「堪能」
「は?‥‥」
「至近距離での香りなんて…夢のようだ」

――間違いなく、現実ですけれどね――

「アルベルト様、荷物の事は明日以降で構いません」
「荷物?もう父上が頼んだ業者が搬入したはずだ。オールお任せコースだっただろう」
「いえ、あの絵姿やら隠蔽されている感、満載の他の荷物です」
「違うぞ。エトランゼは勘違いも可愛くて悶えそうだがあれは荷物ではない」
「では何だと仰るのです?」
「一言で言うならば、癒しだ」

――わたくしには、穢しストレスですけどね――

「その件は明日、ゆっくりとお話いたしましょう」
「本当?僕と話をしてくれるのか?!…」

どうしたのでしょうか。突然、感極まったような表情をされた後、涙ぐんでおられます。夫婦が会話をしなくなった時は離縁の危機でございますよ?
ほろりと零れて頬を伝う涙を思わず、はしたないと思いつつ袖に吸わせると

「フォォォ!そんな事‥‥現人神となれば僕を煽るのか!試すのかっ!」
「いえ、煽ったりはしてい…ンギャッ!」

く、苦しい‥‥この突然首でないのが救いですが、上腕二頭筋で締めあげるようなスリーパーホールドを何度も決められると少々屈辱でございます。
ですが、アルベルト様は騎士。少々体力があったところでわたくしが敵うはずが御座いません。
タップを致しますが、タップをする部位はお背中。
何かを間違いなく勘違いされておられます。雄叫びのような声をあげられて益々絞めあがります。

「ア”…ア”ル”ベル”ド…ザマ・・・」
「何だい‥‥あっ…すまない…嬉しさと喜びの余り加減が出来なかった!」

おそらくは、また肺の空気が全部抜かれてしまったのでしょう。
いい加減垂直直滑降な胸元に角度を感じません。呼吸を整えましょう。

「アルベルト様、ここではなんですのでお部屋に参りましょう」
「わかった。運べばいいのか」

えっ?あの絵姿を運ぶというのですか?あ、違うのですね。運ぶのはわたくし‥‥わたくし?
両手を広げて、さぁ!と満面の笑みで促されても、戻る部屋はすぐそこです。歩けます。

「いえ、担がれなくても構いません」
「何を言ってるんだ。担ぐのではなく先刻倒れた時のように横抱きだ」

真顔で言われるとそれが正解のように感じます。しかしそれは間違い。
歩けるうちは歩かないと、筋力の衰えは家族を介護崩壊させるのです。

「それは今は結構ですので、まずはお部屋に。使用人にも聞かれてしまいます」
「何を言っている。使用人などこの時間にいるはずがないだろう」

――いるはずがない?いえ、いるはずですよね?――

不穏な発言に思わず、アルベルト様のお顔を直視致しますと、

「ヒョウワッ!‥‥そんな目で…僕を見ないでくれ…」

顔を手で隠されて、その場に跪いてしまわれます。
正直申しますと数々のこの現象に【_| ̄|○】と床伏せたいのはわたくしの方です。
しかし使用人さんがいないのであればここで言っても問題はないでしょう。

「アルベルト様、今夜はよろしくお願いいたします」
「どういう事?これからどこか行くのか?」
「いいえ?初夜でございます。限界ラヴァーのSH〇W-YAでは御座いませんのでお間違いなきよう」
「初夜‥‥初夜‥‥初夜っ?!」

――どこに驚くところがありました?昼間、教会で結婚式でしたよね?――

実技は未経験ですので初体験で御座いますが、貴族の娘とあれば座学だけはきっちりと、それはもう入念にご年配の未亡人となられた講師陣から教え込まれます。叩きこまれると言った方が適切でしょうか。
数回すれば慣れて痛みも取れると聞き、出来れば早めにそうなりたいと思うのは我儘ではない筈です。
それにその数回のうちに子を授かる事が出来れば大好きな本をゆっくり読む時間も出来るでしょう。
その間に、手などを使って殿方を悦ばせる知識も座学ですが学んでおります。

わたくしも出来れば子供は自分の子だけを育てたいのです。
出来るだけ、外に女性を作る事はやめて頂きたいですし、その方との子を押し付けられるのも回避したいと思うのです。お父様はお母様1人だけでしたが、友人には異母の弟妹が両手の数以上と言うものもおりますしね。

しゃがみ込んで、お尻を振り振りとしながら顔を覆っているアルベルト様を促して寝室に誘います。
恥ずかしいのですよ?何度も寝室に誘うなどこちらが顔から火が出そうです。
騎士の方は経験が豊富だとお聞きしましたが、もしやこれが【前戯】というもので女性をその気にさせる殿方のテクニックなのかも知れません。
講義の先生も仰っておりました。【誘い方や愛し方は人それぞれ】だと!

だとすれば、子供がイヤイヤをするようで可愛いものではありませんか。
国一番の騎士であるアルベルト様はこうやって女性を誘うのですね。
そう考えれば、先程の絵姿などとてつもない危険域に生息する変態と思わせておいてのギャップ萌え。
さすがは策士、隣国も舌を巻く軍師様でございます。

ならばこちらも‥‥と素っ気ないふりで先に寝室に向けて歩いていきます。

「あぁっ!エトランゼ!おいて行かないでくれっ!」

ほら?小さな子が玩具を買ってくれと転がって駄々をこねるのと同じです。
突き放してしまえば、向こうから寄ってくるのです。
幼いいとこ達でわたくしも学習済みでございますよ?

しかし、全てが悪手でございました。

だって、寝室に入った途端、背後から抱えあげられて寝台に倒されてしまったわたくしは驚愕したのです。

【いつの間にお召し物をお脱ぎになったのです?!】

全裸のアルベルト様の瞳には形勢逆転で怯えるわたくしが映っておりましたもの。
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