この度、変態騎士の妻になりました

cyaru

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領地と子犬

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和やかな日々。時折エリクサー王太子殿下の婚約者であられるシャロン様にお茶に誘って頂いたり、アルベルト様のお母様やお義姉様にも昼食会にお誘い頂く日も増えて参りました。

そんなある日、通いの使用人さんが困っております。

「どうなさいましたの?」
「いえね、ウチの裏の路地で野良犬が子供を産んだんですよ。子供が拾ってきてしまいましてね」

なんて優しいお子様なんでしょうか。ですが犬を飼うとなるとそれなりの小屋やスペースが必要です。長屋とも言えるお住まいだそうで、ペットの飼育は禁止なんだとか。
「家族です!」と言ってもお断りされる場はありますしね。

「旦那様は野良犬などはダメですよねぇ」

――どうでしょう?一応公爵家のご子息ですが舐める事に関しては野良犬並みですわ――

「どうお返事をされるか判りませんが聞いてみましょうか?」
「良いんですか?」
「飼うというお約束は今できませんが、聞くだけは聞いてみますわ」
「ありがとうございます。2匹いるんですよ」

なるほど。性別はまだ判らないけれど2匹の子犬を拾ってしまったのですね。
わたくしにしてみれば、昼間は暇ですし番犬になるのならアルベルト様が遠征中も実家に行かなくて済むので助かるのではないでしょうか。何より散歩は体力作りにもなりますし。


そんな事があった夜でございます。

アルベルト様は公爵家は継がれません。継がれる長兄様とアルベルト様の間にはもうお1人お兄様(次兄)がおられますので、この先を考えねばなりません。

わたくしも兄が伯爵家を継ぎますのでフォンゼ伯爵家に戻る事も出来ません。
かといって、王太子殿下の護衛騎士でもあり、国で一番と言われているアルベルト様。
数年の内には騎士団長となり、その後は総指揮官になるとお聞きしております。
なので、建て前でも爵位は必要なのですが、それが伯爵位よりも下ではダメなのです。

「エトランゼはどれが良い?」

まるでレストランで何定食が良いかという軽さでお聞きになるアルベルト様。
国王陛下から打診されているのは伯爵家と侯爵家で御座います。
どちらもご当主様が高齢で家督を継がれるかたも居られず消滅してしまう危機なのだそうです。

頂くのは結構なのですが、爵位がつきますともれなく領地がセットになっております。
残念ながらシークレットの玩具や絵本をチョイス出来るハッピーセットでは御座いませんが伯爵家は海に面した領地。侯爵家は山に囲まれた領地でございます。

「わたくしはどちらでも良いのですが、騎士のお仕事もありますし領地が距離と時間的に近い方がよろしいかと思います。移動は大変ですし」

「しかし‥‥海だとクラゲに刺されるだろうし、山だとアブに刺されるな」

――刺されることが前提なのですね――

「どちらも捨てがたい。夏も冬も楽しめそうだしな」
「どちらもキャンプなど楽しめそうですね」
「そうだな(ちゅっ)…エトランゼが開放的になるのはどっちかな」
「開放的・・・でございますか…」
「あぁ、お互い全裸で求め合うのは地球人なら一度は見る妄想だ」

――そのような妄想をした事がないわたくしはラム星人だっちゃ?でしょうか――

「今月末までに決めないと受勲式に間に合わないんだそうだ」
「決まったらこのお屋敷はどうなりますの?」
「どうもしないな。王都用になるだけだ。領地は領地だ(フンスフンス)」
「ならば使用人さんも雇わねばならないのですね」
「そうなってしまうな(スゥー…ハァー)」

「領地のお屋敷はあるのでしょう?」
「あるんだが(ちゅっ♡)パンチが足らない」

――お屋敷にパンチ…気が休まりそうにありませんが――

「どちらも壁が普通なんだ」
「それは…どういう?」
「せめて壁に本格仕様の拘束具が欲しい」

――領地にいる間、アルベルト様を拘束致しますけどね――

あ、それなら快適なのでは?お腹が冷えないように腹巻を編みますので一晩中アルベルト様が壁に蝉のようにミンミンといてくださるなら、わたくし安眠が出来るではないですか。

余計な事は考えずに、色々な面から考えると山に囲まれた侯爵領を持つ侯爵家が良さそうなのですが、個人的には海のある伯爵家がいいなぁと思ってしまうのです。

「伯爵領ですと釣りなどもできますのね」
「そうだなぁ。サーフィンは出来ないようだが楽しそうだな」
「長い休暇が取れたらカジキマグロを釣ってみたいですわ」
「松方さんじゃないからクルーザーは(クンクン…)持っていないぞ」

――そこは 合体もあるスーさんと浜ちゃんではありませんの?――

「あと2週間ほどあるから、もうちょっと考えてみるか」
「そうですわね。そういえばアル様、遠征はありませんの?」
「しばらくはないな(ちゅっ♡)」

――遠征がないと本当の意味でお股休暇が取れません――


アルベルト様のお膝の上に座り、事あるごとに匂いを嗅がれたりキスをされてしまいます。
慣れてしまうと、これもアルベルト様を効率的に動かす事が可能で御座います。

「アル様、もう少し匂いを嗅ぐのはお控えくださらないと‥」
「何故だ」

――何故って…普通そんなに匂い嗅ぎませんし――

「それはそうと、お願いが御座いますの」
「今晩、おへそを舐めさせてくれるなら聞くよ」

――条件付きですか…しかも部位は臍と指定?――

「通いの使用人さんのお子さんが犬を拾ったそうなのですが飼えないんだそうです」
「飼えないのに拾うのはダメだろう」
「そうなのですが、拾ったのはお子さんですし…」
「飼いたいんだろう?飼っていいぞ」
「よろしいんですの?野良なので雑種だと思いますが」
「血がどうたらと言うのは貴族くらいだ。関係ない」
「まぁ!ありがとうございます!!」
「だが、条件がある」

――嫌な予感がします。恋の予感でない事は確かです――

「ちゃんと首輪をしてリードを付けるんだ」
「あ、それは当然です」
「ん。じゃ、これを」

――え…どうして過日頂いた首輪とリードを出すのです?犬はまだですよ?――

「さぁ、僕に首輪を付けてリードを引いてくれ」


何処かに子犬と入れ違いで捨ててもよろしいかしら。
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