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8 ジェレマイア
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卒業から半年経って、ジェレマイアはやっとイングラムに帰ってくることが出来た。
これで縁切りしてくれるのではないか、と期待したのだが。
父親はまだ不肖の息子に利用価値があると思っているのか、外聞を気にして次期領主の肩書きは奪ったが勘当はせず、このまま家に縛り付けておくことに決めたようだ。
父親の考えそうなこれからの予定で1番確率が高いのは、領地経営の面倒な仕事だけジェレマイアに押し付けて、飼い殺しにする、なので。
絶対に何があっても、この家から出ていってやる、と改めて決意を固めた。
謹慎中は客室に部屋を移された。
そこで大人しく反省しろ、ということらしいが。
反省なんかするわけがない。
ジェレマイアが想う事は、ただひとつ。
会いたくて会いたくて、だが自由がなくて。
どうしたらリデルに会えるのか。
顔を見せてくれたデイヴに頼んでも、やんわりと拒否された。
取り敢えずこの家を出てからの算段とリデルを迎えに行くための準備などを考えていたら、胃が痛んで朝食を戻してしまったところ、半ギレのリーブスに部屋に追い立てられた。
リーブスには部屋まで付いてきたついでに、
「何を考えている、痩せ過ぎだ、もっと食べろ、薬に頼るな、体力が無ければ何も出来ない」と半ば脅しのような説教をされた。
この家でジェレマイアに、親身になって面倒を見てくれたのはデイヴとリーブスなので、少々雑に扱われても腹は立たない。
少し吐いただけで、眠くもないのにベッドで横になっていると、扉がノックされて。
リーブスには、リデルとあの男がどうなっているのか、調べて欲しい、とは頼んでいたが。
仕事が出来る家令リーブスは、リデル本人を連れてきてくれた。
◇◇◇
「このままでは、本気になったあいつらに影を使われるだろうからな。
毒は避けられても、実力行使に出られたら、多分こちらが負ける。
だから一旦、愚かな第2王子は表舞台から退く」
それはテリオスが仕掛けた、賭けだった。
「お前も1枚噛まないか?」と第2王子に誘われて。
卒業パーティーで流行りの小説になぞらえて、婚約者の侯爵令嬢に婚約破棄を宣言したテリオスに便乗して。
ジェレマイアも自分の婚約者のカートライト伯爵家のアリアナ嬢に、婚約破棄を告げた。
元々アリアナ嬢との婚約は、卒業後に破棄ではなく、解消に持っていく予定だった。
勿論、それはジェレマイアの有責で、解消の慰謝料も祖父が遺してくれた私有財産から支払うつもりだったのだ。
双方にとって特に旨味の無いカートライトとの縁組は、政略の意味もなく母親が整えたもので、父親はそれを了承しただけのようだった。
どうにかして婚約を白紙にしたくて、リーブスに頼んでその背景を探れば、アリアナ嬢の叔父が母親の初恋の男だった。
父親は知らないのだろうから、イングラムに忠実なリーブスには口止めをした。
母親の初恋は成就しなかったが、息子を使ってまで、彼女の叔父と縁を結びたかったのか。
いつも取り澄ました顔をした母親が隠す生々しい女の執念を恐ろしく感じたが、これは使えると思った。
この婚約がジェレマイアの有責で解消となれば。
母親が怒り狂うのは目に見えていて、うまく行けばそれだけで勘当されるかもしれない。
そうなれば。
あのゴードンが叫んだというセリフではないが、
「これで、リデルを娶れる!」と思った。
しかし、テリオスの賭けに加わったことで、その予定が狂ってしまった。
アリアナ嬢には、人前で派手に破棄した事は本当に申し訳ないと思うが、彼女は同情される被害者であるし、同級生に恋人がいるのは調べがついていたので、そんなに心は痛まない。
婚約者に好きな男が出来たのを知っても、その相手が誰なのかまで調べる気はなかった。
婚約破棄をされた立場上、泣き崩れた演技をしたアリアナ嬢を抱きかかえるようにして、彼女を会場から連れ出した男子生徒が居たので、あれがその恋人なのかも、と出ていくふたりの姿を見ていた。
それが6年間も婚約していたのに、初対面の時から少しも距離が縮まらなかった婚約者との別れだった。
これで縁切りしてくれるのではないか、と期待したのだが。
父親はまだ不肖の息子に利用価値があると思っているのか、外聞を気にして次期領主の肩書きは奪ったが勘当はせず、このまま家に縛り付けておくことに決めたようだ。
父親の考えそうなこれからの予定で1番確率が高いのは、領地経営の面倒な仕事だけジェレマイアに押し付けて、飼い殺しにする、なので。
絶対に何があっても、この家から出ていってやる、と改めて決意を固めた。
謹慎中は客室に部屋を移された。
そこで大人しく反省しろ、ということらしいが。
反省なんかするわけがない。
ジェレマイアが想う事は、ただひとつ。
会いたくて会いたくて、だが自由がなくて。
どうしたらリデルに会えるのか。
顔を見せてくれたデイヴに頼んでも、やんわりと拒否された。
取り敢えずこの家を出てからの算段とリデルを迎えに行くための準備などを考えていたら、胃が痛んで朝食を戻してしまったところ、半ギレのリーブスに部屋に追い立てられた。
リーブスには部屋まで付いてきたついでに、
「何を考えている、痩せ過ぎだ、もっと食べろ、薬に頼るな、体力が無ければ何も出来ない」と半ば脅しのような説教をされた。
この家でジェレマイアに、親身になって面倒を見てくれたのはデイヴとリーブスなので、少々雑に扱われても腹は立たない。
少し吐いただけで、眠くもないのにベッドで横になっていると、扉がノックされて。
リーブスには、リデルとあの男がどうなっているのか、調べて欲しい、とは頼んでいたが。
仕事が出来る家令リーブスは、リデル本人を連れてきてくれた。
◇◇◇
「このままでは、本気になったあいつらに影を使われるだろうからな。
毒は避けられても、実力行使に出られたら、多分こちらが負ける。
だから一旦、愚かな第2王子は表舞台から退く」
それはテリオスが仕掛けた、賭けだった。
「お前も1枚噛まないか?」と第2王子に誘われて。
卒業パーティーで流行りの小説になぞらえて、婚約者の侯爵令嬢に婚約破棄を宣言したテリオスに便乗して。
ジェレマイアも自分の婚約者のカートライト伯爵家のアリアナ嬢に、婚約破棄を告げた。
元々アリアナ嬢との婚約は、卒業後に破棄ではなく、解消に持っていく予定だった。
勿論、それはジェレマイアの有責で、解消の慰謝料も祖父が遺してくれた私有財産から支払うつもりだったのだ。
双方にとって特に旨味の無いカートライトとの縁組は、政略の意味もなく母親が整えたもので、父親はそれを了承しただけのようだった。
どうにかして婚約を白紙にしたくて、リーブスに頼んでその背景を探れば、アリアナ嬢の叔父が母親の初恋の男だった。
父親は知らないのだろうから、イングラムに忠実なリーブスには口止めをした。
母親の初恋は成就しなかったが、息子を使ってまで、彼女の叔父と縁を結びたかったのか。
いつも取り澄ました顔をした母親が隠す生々しい女の執念を恐ろしく感じたが、これは使えると思った。
この婚約がジェレマイアの有責で解消となれば。
母親が怒り狂うのは目に見えていて、うまく行けばそれだけで勘当されるかもしれない。
そうなれば。
あのゴードンが叫んだというセリフではないが、
「これで、リデルを娶れる!」と思った。
しかし、テリオスの賭けに加わったことで、その予定が狂ってしまった。
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婚約者に好きな男が出来たのを知っても、その相手が誰なのかまで調べる気はなかった。
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