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俺の彼氏には特別に大切なヒトがいる〜A面〜
A面5
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「俺はコータのこと、好きなんて言ってないよ」
部活の後コータ先輩と帰ったくせに、夜になってふらりと俺のところにやって来た真琴さんは、俺の目を見てそう言った。
もう話が通ってんのか、と思いながら俺も真琴さんの目を見た。
「でもコータ先輩を好きじゃない、とも真琴さん言ってくれなかったですよね」
俺が返すと、俺と並んでベッドに座っていた真琴さんは立ち上がって俺の頭をぎゅっと抱き締めた。
女の子とは違うけれど、俺にとってはたまらなく興奮する胸元に抱き締められて、鼻先が彼の胸に沈む。
真琴さんの胸の奥から香る匂いにクラクラする。
「……不安にさせてたら、ごめん。でもこういう意味で好きなのはタスクだけだよ。コータも好きな人と無事付き合ってるみたいだし、タスクが妬くようなことなんか、何にもないよ」
真琴さんの指先が、俺を宥めるように髪に潜って優しく掻き回す。
「……コータ先輩が他の誰と付き合ってようが、俺には関係ないです。それより真琴さんのコータさんへの『好き』がどういう意味なのかっていう方が俺にとっては重要なんです」
感情が抑えられなくて、ひどく尖った声が出てしまった。
「恋人に抱く『好き』っていう気持ちはタスクだけだよ。コータに対しては……そうだな……友情……っていうか、家族っていうか……うわっ」
答えを聞いて、思わずそのままベッドに真琴さんを引き倒した。
真琴さんをベッドに組み敷いて、これから獲物を食べる肉食獣みたいに上から真琴さんを見つめる。
「……ほらね。やっぱコータ先輩とおんなじこと言う」
「ふは。あいつも同じこと言ったんだ……っん」
俺の顔はきっとひどく歪んでいると思うのに、真琴さんは笑うから、かぶりと唇に噛みつくようにキスをした。
俺のだ、ということを確かめるみたいに、柔らかくて甘くて中毒になりそうな口の中をどこもかしこも舐めて吸った。ほんとうに、このまま全部俺だけのものになったらいいのに。
俺は彼の恋人。コータ先輩は彼にとって友達とか家族なんて言葉じゃ説明できない、そんな存在。
ひと言だけで説明できないような間柄に堪らなく妬けるんだよ、わかってよ。
「く……っぅ」
真琴さんは俺の頭をくしゃくしゃって撫でて、それから犬にでもするように耳のあたりを擽るから、俺は彼に飼い慣らされた犬のような甘えた声を漏らしてしまった。
「タスク、可愛いー……」
自分の方がずっと綺麗で可愛いくせに、うっとりとした声でそんなことを言ってくる。
顔を上げると、思ったよりずっと蕩けた瞳とぶつかって、俺は息を呑んだ。
「コータといると楽なんだ。思ったこと何でも言えるし、気も合うし。考えてることもお互い大体わかるし。だからしんどいときは、ずっと救われてきた。コータが居ないと俺、何て言うか……すごく生きづらいんだよ……」
俺にキスされて濡れた唇で紡がれた台詞がひどく残酷で頭がおかしくなりそうだった。
「……それって俺よりもコータ先輩が好きってこと?」
やめて。やめて。そんなこと言われたら、俺、この部屋に真琴さんのこと一生閉じ込めちゃうかもしんないよ。
「違うよ」
俺の心の叫びが聞こえたのか、また優しく頭を撫でて、綺麗な指は俺の顎のあたりを心底愛おしそうにくすぐった。
「タスクといるとね、苦しいんだ。全然楽じゃないよ」
本当に少し苦しそうに真琴さんが言うから、俺は真琴さんの首に肉食獣みたいに歯を立てた。
「……っいて……っだから、違うって。もうちょっとだけ聞いて。お願い」
真琴さんの声に動きを止めると、イイコ、と頭を撫でられた。
犬じゃないんだけどって反論したかったけど、俺を優しく撫でる指先に何も言えなくなる。
噛み付いた首筋に舌を這わせながら、大人しくすると、真琴さんの体はびくり、と震えた。
「……っぁ……タスクといると、好きだから苦しいんだよ。ドキドキするし、恥ずかしい姿見せて嫌われたりしないかなとかも思うし……っ」
「真琴さんの恥ずかしい姿可愛くて、むしろ好き……」
「……っだから……っそんなこと言われても苦しくなっちゃうんだよっ……でも苦しいけど、一緒にいたい。苦しいけど、一緒にいてくれなきゃ俺……」
死んじゃうかも
って心底苦しそうに、でも俺のことが好きだってその瞳にいっぱい溜めて。
彼の全部で俺が好きだって真琴さんは伝えてくれてる。
そして、それでもコータ先輩と一緒にいないことは選んではくれない真琴さん。
「あぁ……くそっ……」
俺はきっとこれからもずっとずっと嫉妬しなきゃなんないのかと思うと苦しい。すごく苦しい。
それでも、俺だってそんな真琴さんと離れることなんて出来ない。
離せない。
「……ほんとずりぃ……コータ先輩カッコいいし、俺どうしても妬けちゃうよ」
喉の奥から絞り出すように言った俺に真琴さんはぎゅっと抱き着いた。
「ごめん……でも俺はタスクが一番カッコいいと思ってるんだけどな……」
そう言って、本当に愛おしいという気持ちが伝わってくるように、唇が重ねられた。
この感触を知ってるのは、俺だけだよね?
優しいキスのあとそう言うと、そんなの当たり前じゃん。タスクだけだけしか知らないよ、と耳の中に囁かれた。
「俺しか知らない真琴さん、いっぱい見せて……」
大好きな、日に焼けた肌に手を滑らす。
「……うん……っタスクしか知らないとこ……いっぱい見ていいよ……」
泣き笑いみたいな顔で真琴さんは言うから、俺はいつか本当に真琴さんを俺だけしか見れないところに閉じ込めてしまうかもしれない、なんてひどく危険なことを思いながら彼の中に身を沈めた。
部活の後コータ先輩と帰ったくせに、夜になってふらりと俺のところにやって来た真琴さんは、俺の目を見てそう言った。
もう話が通ってんのか、と思いながら俺も真琴さんの目を見た。
「でもコータ先輩を好きじゃない、とも真琴さん言ってくれなかったですよね」
俺が返すと、俺と並んでベッドに座っていた真琴さんは立ち上がって俺の頭をぎゅっと抱き締めた。
女の子とは違うけれど、俺にとってはたまらなく興奮する胸元に抱き締められて、鼻先が彼の胸に沈む。
真琴さんの胸の奥から香る匂いにクラクラする。
「……不安にさせてたら、ごめん。でもこういう意味で好きなのはタスクだけだよ。コータも好きな人と無事付き合ってるみたいだし、タスクが妬くようなことなんか、何にもないよ」
真琴さんの指先が、俺を宥めるように髪に潜って優しく掻き回す。
「……コータ先輩が他の誰と付き合ってようが、俺には関係ないです。それより真琴さんのコータさんへの『好き』がどういう意味なのかっていう方が俺にとっては重要なんです」
感情が抑えられなくて、ひどく尖った声が出てしまった。
「恋人に抱く『好き』っていう気持ちはタスクだけだよ。コータに対しては……そうだな……友情……っていうか、家族っていうか……うわっ」
答えを聞いて、思わずそのままベッドに真琴さんを引き倒した。
真琴さんをベッドに組み敷いて、これから獲物を食べる肉食獣みたいに上から真琴さんを見つめる。
「……ほらね。やっぱコータ先輩とおんなじこと言う」
「ふは。あいつも同じこと言ったんだ……っん」
俺の顔はきっとひどく歪んでいると思うのに、真琴さんは笑うから、かぶりと唇に噛みつくようにキスをした。
俺のだ、ということを確かめるみたいに、柔らかくて甘くて中毒になりそうな口の中をどこもかしこも舐めて吸った。ほんとうに、このまま全部俺だけのものになったらいいのに。
俺は彼の恋人。コータ先輩は彼にとって友達とか家族なんて言葉じゃ説明できない、そんな存在。
ひと言だけで説明できないような間柄に堪らなく妬けるんだよ、わかってよ。
「く……っぅ」
真琴さんは俺の頭をくしゃくしゃって撫でて、それから犬にでもするように耳のあたりを擽るから、俺は彼に飼い慣らされた犬のような甘えた声を漏らしてしまった。
「タスク、可愛いー……」
自分の方がずっと綺麗で可愛いくせに、うっとりとした声でそんなことを言ってくる。
顔を上げると、思ったよりずっと蕩けた瞳とぶつかって、俺は息を呑んだ。
「コータといると楽なんだ。思ったこと何でも言えるし、気も合うし。考えてることもお互い大体わかるし。だからしんどいときは、ずっと救われてきた。コータが居ないと俺、何て言うか……すごく生きづらいんだよ……」
俺にキスされて濡れた唇で紡がれた台詞がひどく残酷で頭がおかしくなりそうだった。
「……それって俺よりもコータ先輩が好きってこと?」
やめて。やめて。そんなこと言われたら、俺、この部屋に真琴さんのこと一生閉じ込めちゃうかもしんないよ。
「違うよ」
俺の心の叫びが聞こえたのか、また優しく頭を撫でて、綺麗な指は俺の顎のあたりを心底愛おしそうにくすぐった。
「タスクといるとね、苦しいんだ。全然楽じゃないよ」
本当に少し苦しそうに真琴さんが言うから、俺は真琴さんの首に肉食獣みたいに歯を立てた。
「……っいて……っだから、違うって。もうちょっとだけ聞いて。お願い」
真琴さんの声に動きを止めると、イイコ、と頭を撫でられた。
犬じゃないんだけどって反論したかったけど、俺を優しく撫でる指先に何も言えなくなる。
噛み付いた首筋に舌を這わせながら、大人しくすると、真琴さんの体はびくり、と震えた。
「……っぁ……タスクといると、好きだから苦しいんだよ。ドキドキするし、恥ずかしい姿見せて嫌われたりしないかなとかも思うし……っ」
「真琴さんの恥ずかしい姿可愛くて、むしろ好き……」
「……っだから……っそんなこと言われても苦しくなっちゃうんだよっ……でも苦しいけど、一緒にいたい。苦しいけど、一緒にいてくれなきゃ俺……」
死んじゃうかも
って心底苦しそうに、でも俺のことが好きだってその瞳にいっぱい溜めて。
彼の全部で俺が好きだって真琴さんは伝えてくれてる。
そして、それでもコータ先輩と一緒にいないことは選んではくれない真琴さん。
「あぁ……くそっ……」
俺はきっとこれからもずっとずっと嫉妬しなきゃなんないのかと思うと苦しい。すごく苦しい。
それでも、俺だってそんな真琴さんと離れることなんて出来ない。
離せない。
「……ほんとずりぃ……コータ先輩カッコいいし、俺どうしても妬けちゃうよ」
喉の奥から絞り出すように言った俺に真琴さんはぎゅっと抱き着いた。
「ごめん……でも俺はタスクが一番カッコいいと思ってるんだけどな……」
そう言って、本当に愛おしいという気持ちが伝わってくるように、唇が重ねられた。
この感触を知ってるのは、俺だけだよね?
優しいキスのあとそう言うと、そんなの当たり前じゃん。タスクだけだけしか知らないよ、と耳の中に囁かれた。
「俺しか知らない真琴さん、いっぱい見せて……」
大好きな、日に焼けた肌に手を滑らす。
「……うん……っタスクしか知らないとこ……いっぱい見ていいよ……」
泣き笑いみたいな顔で真琴さんは言うから、俺はいつか本当に真琴さんを俺だけしか見れないところに閉じ込めてしまうかもしれない、なんてひどく危険なことを思いながら彼の中に身を沈めた。
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