19 / 29
俺の彼氏には特別に大切なヒトがいる〜A面〜
A面6
しおりを挟む
真ん丸な月が美しく夜空を照らしている。もう数時間すれば一番高いところまで登りつめるだろう、そんな時刻。
俺の家から真琴さんの家までの道程。
「……もう一泊していって欲しかった」
「金曜も土曜も泊まったじゃん。明日は月曜だし」
特に土曜の夜から日曜日のこの時間まで彼を独り占めしたのに往生際悪く文句を言う俺に、真琴さんは諭すように言う。
だけど今夜のとびきり甘い空気のせいか、真琴さんの家が近付いても絡められた指先をほどかれることはなかった。
のろのろと歩いたけれど、いつものとおり真琴さんの家の門扉の前に辿り着いてしまった。
「じゃあね、おやすみ」
いつもは家の前でキスなんて許してくれないのに、真琴さんは静かに目を瞑ってくれた。
喜々として唇を重ねようとしたときだった。
「家の真ん前でイチャつかないでくれますぅ?」
俺たちの後ろから現れた声の主は顔なんか見なくても誰だがわかりすぎていた。
「タスク、随分すっきりした顔してるじゃん」
振り返った俺を見て、コンビニの袋をぶら下げたコータ先輩が笑った。
袋の中には二人分と思われるアイスやお菓子が入っていて、目を凝らすと真琴さんの好きなアイスやお菓子ばかりだった。
なんだよ。これから二人で休日最後の時間を満喫するつもりなのかよ。
「俺はまだまだ気持ちはすっきりはしてないです。ぜんっぜんコータ先輩に、妬いてます。割り切ることなんてできません。」
きっぱり言って、正面からコータ先輩を見ると、コータ先輩はへぇ、と片眉を上げた。
「まぁせいぜい頑張れよ……っておい!」
余裕を見せたコータ先輩の目の前で、俺は真琴さんの唇を奪った。
「んんっ……」
さっきまでベッドの中で味わい尽くした唇は、すんなり俺の唇に馴染んでとけた。
「……俺達、これからずっとずっと長い時間積み重ねましょうね」
それはコータ先輩にではなく、俺の腕の中で驚きと羞恥で真っ赤になって可愛い口をパクパクさせる真琴さんに向かって言うと、おやすみなさい、ともう一度甘い唇にキスを落とした。
呆れた顔をしたコータ先輩の顔が向こう側に見えた。
******
お読みいただきありがとうございました!
4話のラストのコータのセリフ、UPする直前まで変えようか悩みました。
このセリフ色んな受け取り方があるとは思うんですが、コータが真琴を好きだったこともあるようにも取れますよね。
ですが、このお話はコータが真琴を好きだったことはない、という設定で書いています。
この時点でコータは夏樹と付き合っているものの、自分のことを好きだとは知らず……何とか夏樹に自分を好きになってもらおうと、奮闘していました。夏樹は一緒にいてもどこか寂しそうで、幸せそうに見えないのでコータなりに焦ってもいました。夏樹からの気持ちが欲しいコータは真琴からタスクは愛されてるのに何やってんの?って思いでこのセリフを言いました。このあとの展開考えると人にアドバイスしてる場合じゃないんですけど、コータ😂
タスクの一人称なのでコータの真意をはっきりと書くことができなかったため、こちらで少しだけ……
俺の家から真琴さんの家までの道程。
「……もう一泊していって欲しかった」
「金曜も土曜も泊まったじゃん。明日は月曜だし」
特に土曜の夜から日曜日のこの時間まで彼を独り占めしたのに往生際悪く文句を言う俺に、真琴さんは諭すように言う。
だけど今夜のとびきり甘い空気のせいか、真琴さんの家が近付いても絡められた指先をほどかれることはなかった。
のろのろと歩いたけれど、いつものとおり真琴さんの家の門扉の前に辿り着いてしまった。
「じゃあね、おやすみ」
いつもは家の前でキスなんて許してくれないのに、真琴さんは静かに目を瞑ってくれた。
喜々として唇を重ねようとしたときだった。
「家の真ん前でイチャつかないでくれますぅ?」
俺たちの後ろから現れた声の主は顔なんか見なくても誰だがわかりすぎていた。
「タスク、随分すっきりした顔してるじゃん」
振り返った俺を見て、コンビニの袋をぶら下げたコータ先輩が笑った。
袋の中には二人分と思われるアイスやお菓子が入っていて、目を凝らすと真琴さんの好きなアイスやお菓子ばかりだった。
なんだよ。これから二人で休日最後の時間を満喫するつもりなのかよ。
「俺はまだまだ気持ちはすっきりはしてないです。ぜんっぜんコータ先輩に、妬いてます。割り切ることなんてできません。」
きっぱり言って、正面からコータ先輩を見ると、コータ先輩はへぇ、と片眉を上げた。
「まぁせいぜい頑張れよ……っておい!」
余裕を見せたコータ先輩の目の前で、俺は真琴さんの唇を奪った。
「んんっ……」
さっきまでベッドの中で味わい尽くした唇は、すんなり俺の唇に馴染んでとけた。
「……俺達、これからずっとずっと長い時間積み重ねましょうね」
それはコータ先輩にではなく、俺の腕の中で驚きと羞恥で真っ赤になって可愛い口をパクパクさせる真琴さんに向かって言うと、おやすみなさい、ともう一度甘い唇にキスを落とした。
呆れた顔をしたコータ先輩の顔が向こう側に見えた。
******
お読みいただきありがとうございました!
4話のラストのコータのセリフ、UPする直前まで変えようか悩みました。
このセリフ色んな受け取り方があるとは思うんですが、コータが真琴を好きだったこともあるようにも取れますよね。
ですが、このお話はコータが真琴を好きだったことはない、という設定で書いています。
この時点でコータは夏樹と付き合っているものの、自分のことを好きだとは知らず……何とか夏樹に自分を好きになってもらおうと、奮闘していました。夏樹は一緒にいてもどこか寂しそうで、幸せそうに見えないのでコータなりに焦ってもいました。夏樹からの気持ちが欲しいコータは真琴からタスクは愛されてるのに何やってんの?って思いでこのセリフを言いました。このあとの展開考えると人にアドバイスしてる場合じゃないんですけど、コータ😂
タスクの一人称なのでコータの真意をはっきりと書くことができなかったため、こちらで少しだけ……
244
あなたにおすすめの小説
幼馴染は俺がくっついてるから誰とも付き合えないらしい
中屋沙鳥
BL
井之原朱鷺は幼馴染の北村航平のことを好きだという伊東汐里から「いつも井之原がくっついてたら北村だって誰とも付き合えないじゃん。親友なら考えてあげなよ」と言われて考え込んでしまう。俺は航平の邪魔をしているのか?実は片思いをしているけど航平のためを考えた方が良いのかもしれない。それをきっかけに2人の関係が変化していく…/高校生が順調(?)に愛を深めます
そばにいてほしい。
15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。
そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。
──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。
幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け
安心してください、ハピエンです。
初恋を諦めるために惚れ薬を飲んだら寵妃になった僕のお話
トウ子
BL
惚れ薬を持たされて、故国のために皇帝の後宮に嫁いだ。後宮で皇帝ではない人に、初めての恋をしてしまった。初恋を諦めるために惚れ薬を飲んだら、きちんと皇帝を愛することができた。心からの愛を捧げたら皇帝にも愛されて、僕は寵妃になった。それだけの幸せなお話。
2022年の惚れ薬自飲BL企画参加作品。ムーンライトノベルズでも投稿しています。
子を成せ
斯波良久@出来損ないΩの猫獣人発売中
BL
ミーシェは兄から告げられた言葉に思わず耳を疑った。
「リストにある全員と子を成すか、二年以内にリーファスの子を産むか選べ」
リストに並ぶ番号は全部で十八もあり、その下には追加される可能性がある名前が続いている。これは孕み腹として生きろという命令を下されたに等しかった。もう一つの話だって、譲歩しているわけではない。
【BL】無償の愛と愛を知らない僕。
ありま氷炎
BL
何かしないと、人は僕を愛してくれない。
それが嫌で、僕は家を飛び出した。
僕を拾ってくれた人は、何も言わず家に置いてくれた。
両親が迎えにきて、仕方なく家に帰った。
それから十数年後、僕は彼と再会した。
ナイトプールが出会いの場だと知らずに友達に連れてこられた地味な大学生がド派手な美しい男にナンパされて口説かれる話
ゆなな
BL
高級ホテルのナイトプールが出会いの場だと知らずに大学の友達に連れて来れられた平凡な大学生海斗。
海斗はその場で自分が浮いていることに気が付き帰ろうとしたが、見たことがないくらい美しい男に声を掛けられる。
夏の夜のプールで甘くかき口説かれた海斗は、これが美しい男の一夜の気まぐれだとわかっていても夢中にならずにはいられなかった。
ホテルに宿泊していた男に流れるように部屋に連れ込まれた海斗。
翌朝逃げるようにホテルの部屋を出た海斗はようやく男の驚くべき正体に気が付き、目を瞠った……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる