11 / 54
1章
11話
しおりを挟む
「あー……」
家に帰って頭を抱えて部屋の隅に座る。 思わず高弥の口から声が漏れる。出来るだけ小さくなってしまいたかった。出来ればそのまま消えてしまえるくらいに。
患者は高弥のミスのせいで、出血が多くなり一時危険な状態にあったが、沢村の止血が早かったお陰で一命を取り留めた。
まだ、手が震えている。危うく命を奪ってしまうところであった。
自分が血管を傷つけてしまったときの感覚がまだ手に残っているみたいだった。術後も病棟はバタバタと忙しく、兎に角自分のやれることを精一杯やって帰ってきたが全然大したことなんか出来なかった。
一生懸命誰より熱心に勉強すれば、きっと役に立てる存在になれると思ってやってきたけれど、自分の無力さを嫌になるほど痛感した。
溢れ出る血液の赤が脳裏に焼き付いて離れない。視界が真っ赤になると、 所謂パニック状態に陥るのか、正常な思考で判断することも出来なかった。
昼食も夕食も摂らないまま働きづめだったけれど、何かを口にするなんて気分には到底なれなかった。
踞って膝に顔を突っ伏していると視界は真っ暗なのに、それさえも真っ赤に感じられるくらい衝撃的な光景が瞼の裏に焼き付いて消えないほどの赤だった。
「なんだ、起きてんじゃん」
そのとき不意に聞こえた声に驚いて顔を上げると、パチリと電気のスイッチも押されたようで、真っ黒なような、真っ赤なような、そんな世界に突然光が射した。
「おーおー。想像どおりマリアナ海溝くらいべっこりへこんでんな。おもしれー」
眩しさに思わず目を細めた高弥を笑う声は沢村のものだった。
「ちょ……鍵締めてませんでした?」
「お前さー、如何にも貴重品入れてますって引き出しに貴重品入れんの止めた方がいいぜ。まぁ、大したもん入ってなかったけど」
「大したもん入ってなかったとか言ってその中から盗んでんじゃないですか。 人ん家で何やってんすか? 泥棒ですよ? 鍵以外にも何か盗ってないでしょうね?」
家のスペアキーだとか通帳だとかを入れている引き出しを漁られたと漸く気付いた。
「余りに貧乏すぎて可哀想なんで、コレしか盗ってねぇって」
そう言って顔の前に鈍く銀色に光る小さな鍵を揺らして見せた。
「人ん家の鍵盗るとか、充分泥棒です」
思わず顔を上げると思いの外優しい彩を浮かべた沢村の目とぶつかって高弥はたじろいだ。沢村はゆっくり一歩、二歩と距離を縮めると部屋の隅に踞る高弥の横に座った。
「糖尿で血管が思いの外弱ってたんだから仕方ないだろ」
唐突に言われた言葉だったが、沢村が何を言いたいのか高弥はすぐにわかった。
「……でも、出血した後の対処はもっときちんとしなければならなかったですし、……糖尿病で血管が弱ってたから出血させてしまったのは仕方ないってのは単に言い訳でしかないです」
「そこまでわかってんならもういいだろ。いつまで辛気くせぇ顔してんだよ。こんなこと、これから幾らもある。無事助かったっつー案件まで一々落ち込んでたらやってらんねぇよ」
ぶっきらぼうな声が部屋に響く。
「今更なんですけど、怖くなりました……」
震える指先と同じように、声もみっともないほどに震えてしまう。
「あ? 血ぃ見て怖くなったってことか?」
並んで座っている沢村は詳細を促すように視線だけちらりと高弥に向けた。
「いえ……と、いうより溢れだす血を見たとき、自分の思考が停止して冷静な判断が出来なくなってしまうことが怖いんです」
まだ指先が震えてしまうのが止められないほどに。
「 誰だって最初の頃にはよくあることだ。出血が多かったらヤベぇって叩き込まれてるのもあるからオペ中に大量出血見ると死ぬんじゃねぇかって焦って。でもな、あんなのは場数踏んで慣れるしかねぇんだよ」
視線を向けられているのはわかったが、沢村の方は向けない。 沢村の強さが眩しい。
「……今回は助手だったからいいようなものの、執刀医のときにあんなことが起こったら……っ命に責任持つのが怖い……」
恐怖で指先だけでなく全身も震えだした。
「じゃあ、医者になんの辞めんの? 諦めんの? 自分の命助けてくれた医者みたいになるってここまで死に物狂いで頑張ってきたんじゃねぇの?」
沢村の言葉にはっとしたように高弥は顔を上げた。
そうだった。生きることさえも諦めていた中学生の高弥の命を救ってくれるだけでなく、人生はその先まであることを教えてくれた先生みたいになりたくて医師を目指したのだった。そのことを沢村に話したことなどなかったのに、何故知っているのかという疑問に高弥が辿り着いたのはそれから随分と経ってからで、このときはまだそのことには気付けないでいた。
「……辞めたくない……頑張りたい…… けど……俺なんかが出来るようになるのか……」
「あのなぁ、それにお前今日がほぼほぼ初めてのオペみたいなもんだろ。最初から巧くいってたまるかっつーの。だから慣れるまで先輩と入んだろうが」
「でも沢村先生は最初から巧かったって」
「日本ではな」
「え?」
何気なくさらりと言われた言葉を聞き返すと
「俺、実習も研修も東南アジアとかアフリカでやってんの。あっちだと日本と違って医学部生のうちににガンガン外来やらせるし、後半にもなりゃ出産なんかはもちろん、オペもやるからな。場数こなしてんだから日本に帰ってきたときはそりゃ巧くなってんだろ」
知らなかった話が出てきて、高弥は思わず目を見開いて沢村を見た。
「失敗も後悔も死ぬほどした。俺だってオペ中の大量出血初めて経験したときは頭真っ白だったぜ。俺じゃなくて経験豊富な医者がやったら助かったんじゃねぇかってこともあった。でもそこで辞めてたら、今の俺はいねぇし、辞めなかったから救えたもんの方が多くなった」
だから。
「お前も辞めんなよ。これからだろうが」
意外なほど真摯に語られた沢村の言葉は、今現在医局で活躍する彼の状況を思うと、真に迫ったもののように思えた。
「はい……まだ、頑張ってみます」
そう言った高弥の頭を子供にするようにぐしゃぐしゃと撫でた。
何だか大きなてのひらに撫でられると先ほどまでの怖かった気持ちよりも、前を向いて頑張りたい。 そんな気持ちになった。
躯の震えもいつの間にか止まり、思わずほっとして笑みが溢れた。
「よし、元気になったか?じゃヤるか」
突然話が飛んで高弥は一瞬絶句して、まんまるに目を見開いてしまう。
「はぁ? 何ですか突然。嫌ですよ。ヤりませんよ。そんな気分じゃないです」
「 ぷはっ……いつもの高弥じゃん」
沢村は 吹き出してゲラゲラ笑った。
「いつもの、って何ですか……」
「お前いつも後輩のくせに偉そうじゃん。縮こまってんのお前らしくねぇよ」
頭を撫でていた指先が頬の曲線を柔らかくなぞる。
「ちょ……やめてくださ……っ」
文句を言うために尖らせたくちびるに、沢村のくちびるが重なった。
止めてくださいって言ったけれど、あまりに自然にくちびるが重なったので、そのまま受け入れてしまった。
濡れた舌がゆったりと絡められて、発情期は終わったはずなのに、躯の奥がずくりと熱くなった。
手馴れた男には、本気の抵抗ではないことなんてバレていて、まるで小さな動物をからかうように簡単にベッドに転がされてしまった。
家に帰って頭を抱えて部屋の隅に座る。 思わず高弥の口から声が漏れる。出来るだけ小さくなってしまいたかった。出来ればそのまま消えてしまえるくらいに。
患者は高弥のミスのせいで、出血が多くなり一時危険な状態にあったが、沢村の止血が早かったお陰で一命を取り留めた。
まだ、手が震えている。危うく命を奪ってしまうところであった。
自分が血管を傷つけてしまったときの感覚がまだ手に残っているみたいだった。術後も病棟はバタバタと忙しく、兎に角自分のやれることを精一杯やって帰ってきたが全然大したことなんか出来なかった。
一生懸命誰より熱心に勉強すれば、きっと役に立てる存在になれると思ってやってきたけれど、自分の無力さを嫌になるほど痛感した。
溢れ出る血液の赤が脳裏に焼き付いて離れない。視界が真っ赤になると、 所謂パニック状態に陥るのか、正常な思考で判断することも出来なかった。
昼食も夕食も摂らないまま働きづめだったけれど、何かを口にするなんて気分には到底なれなかった。
踞って膝に顔を突っ伏していると視界は真っ暗なのに、それさえも真っ赤に感じられるくらい衝撃的な光景が瞼の裏に焼き付いて消えないほどの赤だった。
「なんだ、起きてんじゃん」
そのとき不意に聞こえた声に驚いて顔を上げると、パチリと電気のスイッチも押されたようで、真っ黒なような、真っ赤なような、そんな世界に突然光が射した。
「おーおー。想像どおりマリアナ海溝くらいべっこりへこんでんな。おもしれー」
眩しさに思わず目を細めた高弥を笑う声は沢村のものだった。
「ちょ……鍵締めてませんでした?」
「お前さー、如何にも貴重品入れてますって引き出しに貴重品入れんの止めた方がいいぜ。まぁ、大したもん入ってなかったけど」
「大したもん入ってなかったとか言ってその中から盗んでんじゃないですか。 人ん家で何やってんすか? 泥棒ですよ? 鍵以外にも何か盗ってないでしょうね?」
家のスペアキーだとか通帳だとかを入れている引き出しを漁られたと漸く気付いた。
「余りに貧乏すぎて可哀想なんで、コレしか盗ってねぇって」
そう言って顔の前に鈍く銀色に光る小さな鍵を揺らして見せた。
「人ん家の鍵盗るとか、充分泥棒です」
思わず顔を上げると思いの外優しい彩を浮かべた沢村の目とぶつかって高弥はたじろいだ。沢村はゆっくり一歩、二歩と距離を縮めると部屋の隅に踞る高弥の横に座った。
「糖尿で血管が思いの外弱ってたんだから仕方ないだろ」
唐突に言われた言葉だったが、沢村が何を言いたいのか高弥はすぐにわかった。
「……でも、出血した後の対処はもっときちんとしなければならなかったですし、……糖尿病で血管が弱ってたから出血させてしまったのは仕方ないってのは単に言い訳でしかないです」
「そこまでわかってんならもういいだろ。いつまで辛気くせぇ顔してんだよ。こんなこと、これから幾らもある。無事助かったっつー案件まで一々落ち込んでたらやってらんねぇよ」
ぶっきらぼうな声が部屋に響く。
「今更なんですけど、怖くなりました……」
震える指先と同じように、声もみっともないほどに震えてしまう。
「あ? 血ぃ見て怖くなったってことか?」
並んで座っている沢村は詳細を促すように視線だけちらりと高弥に向けた。
「いえ……と、いうより溢れだす血を見たとき、自分の思考が停止して冷静な判断が出来なくなってしまうことが怖いんです」
まだ指先が震えてしまうのが止められないほどに。
「 誰だって最初の頃にはよくあることだ。出血が多かったらヤベぇって叩き込まれてるのもあるからオペ中に大量出血見ると死ぬんじゃねぇかって焦って。でもな、あんなのは場数踏んで慣れるしかねぇんだよ」
視線を向けられているのはわかったが、沢村の方は向けない。 沢村の強さが眩しい。
「……今回は助手だったからいいようなものの、執刀医のときにあんなことが起こったら……っ命に責任持つのが怖い……」
恐怖で指先だけでなく全身も震えだした。
「じゃあ、医者になんの辞めんの? 諦めんの? 自分の命助けてくれた医者みたいになるってここまで死に物狂いで頑張ってきたんじゃねぇの?」
沢村の言葉にはっとしたように高弥は顔を上げた。
そうだった。生きることさえも諦めていた中学生の高弥の命を救ってくれるだけでなく、人生はその先まであることを教えてくれた先生みたいになりたくて医師を目指したのだった。そのことを沢村に話したことなどなかったのに、何故知っているのかという疑問に高弥が辿り着いたのはそれから随分と経ってからで、このときはまだそのことには気付けないでいた。
「……辞めたくない……頑張りたい…… けど……俺なんかが出来るようになるのか……」
「あのなぁ、それにお前今日がほぼほぼ初めてのオペみたいなもんだろ。最初から巧くいってたまるかっつーの。だから慣れるまで先輩と入んだろうが」
「でも沢村先生は最初から巧かったって」
「日本ではな」
「え?」
何気なくさらりと言われた言葉を聞き返すと
「俺、実習も研修も東南アジアとかアフリカでやってんの。あっちだと日本と違って医学部生のうちににガンガン外来やらせるし、後半にもなりゃ出産なんかはもちろん、オペもやるからな。場数こなしてんだから日本に帰ってきたときはそりゃ巧くなってんだろ」
知らなかった話が出てきて、高弥は思わず目を見開いて沢村を見た。
「失敗も後悔も死ぬほどした。俺だってオペ中の大量出血初めて経験したときは頭真っ白だったぜ。俺じゃなくて経験豊富な医者がやったら助かったんじゃねぇかってこともあった。でもそこで辞めてたら、今の俺はいねぇし、辞めなかったから救えたもんの方が多くなった」
だから。
「お前も辞めんなよ。これからだろうが」
意外なほど真摯に語られた沢村の言葉は、今現在医局で活躍する彼の状況を思うと、真に迫ったもののように思えた。
「はい……まだ、頑張ってみます」
そう言った高弥の頭を子供にするようにぐしゃぐしゃと撫でた。
何だか大きなてのひらに撫でられると先ほどまでの怖かった気持ちよりも、前を向いて頑張りたい。 そんな気持ちになった。
躯の震えもいつの間にか止まり、思わずほっとして笑みが溢れた。
「よし、元気になったか?じゃヤるか」
突然話が飛んで高弥は一瞬絶句して、まんまるに目を見開いてしまう。
「はぁ? 何ですか突然。嫌ですよ。ヤりませんよ。そんな気分じゃないです」
「 ぷはっ……いつもの高弥じゃん」
沢村は 吹き出してゲラゲラ笑った。
「いつもの、って何ですか……」
「お前いつも後輩のくせに偉そうじゃん。縮こまってんのお前らしくねぇよ」
頭を撫でていた指先が頬の曲線を柔らかくなぞる。
「ちょ……やめてくださ……っ」
文句を言うために尖らせたくちびるに、沢村のくちびるが重なった。
止めてくださいって言ったけれど、あまりに自然にくちびるが重なったので、そのまま受け入れてしまった。
濡れた舌がゆったりと絡められて、発情期は終わったはずなのに、躯の奥がずくりと熱くなった。
手馴れた男には、本気の抵抗ではないことなんてバレていて、まるで小さな動物をからかうように簡単にベッドに転がされてしまった。
136
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
当たり前の幸せ
ヒイロ
BL
結婚4年目で別れを決意する。長い間愛があると思っていた結婚だったが嫌われてるとは気付かずいたから。すれ違いからのハッピーエンド。オメガバース。よくある話。
初投稿なので色々矛盾などご容赦を。
ゆっくり更新します。
すみません名前変えました。
クローゼットは宝箱
織緒こん
BL
てんつぶさん主催、オメガの巣作りアンソロジー参加作品です。
初めてのオメガバースです。
前後編8000文字強のSS。
◇ ◇ ◇
番であるオメガの穣太郎のヒートに合わせて休暇をもぎ取ったアルファの将臣。ほんの少し帰宅が遅れた彼を出迎えたのは、溢れかえるフェロモンの香気とクローゼットに籠城する番だった。狭いクローゼットに隠れるように巣作りする穣太郎を見つけて、出会ってから想いを通じ合わせるまでの数年間を思い出す。
美しく有能で、努力によってアルファと同等の能力を得た穣太郎。正気のときは決して甘えない彼が、ヒート期間中は将臣だけにぐずぐずに溺れる……。
年下わんこアルファ×年上美人オメガ。
巣ごもりオメガは後宮にひそむ【続編完結】
晦リリ@9/10『死に戻りの神子~』発売
BL
後宮で幼馴染でもあるラナ姫の護衛をしているミシュアルは、つがいがいないのに、すでに契約がすんでいる体であるという判定を受けたオメガ。
発情期はあるものの、つがいが誰なのか、いつつがいの契約がなされたのかは本人もわからない。
そんななか、気になる匂いの落とし物を後宮で拾うようになる。
第9回BL小説大賞にて奨励賞受賞→書籍化しました。ありがとうございます。
巣作りΩと優しいα
伊達きよ
BL
αとΩの結婚が国によって推奨されている時代。Ωの進は自分の夢を叶えるために、流行りの「愛なしお見合い結婚」をする事にした。相手は、穏やかで優しい杵崎というαの男。好きになるつもりなんてなかったのに、気が付けば杵崎に惹かれていた進。しかし「愛なし結婚」ゆえにその気持ちを伝えられない。
そんなある日、Ωの本能行為である「巣作り」を杵崎に見られてしまい……
回帰したシリルの見る夢は
riiko
BL
公爵令息シリルは幼い頃より王太子の婚約者として、彼と番になる未来を夢見てきた。
しかし王太子は婚約者の自分には冷たい。どうやら彼には恋人がいるのだと知った日、物語は動き出した。
嫉妬に狂い断罪されたシリルは、何故だかきっかけの日に回帰した。そして回帰前には見えなかったことが少しずつ見えてきて、本当に望む夢が何かを徐々に思い出す。
執着をやめた途端、執着される側になったオメガが、次こそ間違えないようにと、可愛くも真面目に奮闘する物語!
執着アルファ×回帰オメガ
本編では明かされなかった、回帰前の出来事は外伝に掲載しております。
性描写が入るシーンは
※マークをタイトルにつけます。
物語お楽しみいただけたら幸いです。
***
2022.12.26「第10回BL小説大賞」で奨励賞をいただきました!
応援してくれた皆様のお陰です。
ご投票いただけた方、お読みくださった方、本当にありがとうございました!!
☆☆☆
2024.3.13 書籍発売&レンタル開始いたしました!!!!
応援してくださった読者さまのお陰でございます。本当にありがとうございます。書籍化にあたり連載時よりも読みやすく書き直しました。お楽しみいただけたら幸いです。
待っててくれと言われて10年待った恋人に嫁と子供がいた話
ナナメ
BL
アルファ、ベータ、オメガ、という第2性が出現してから数百年。
かつては虐げられてきたオメガも抑制剤のおかげで社会進出が当たり前になってきた。
高校3年だったオメガである瓜生郁(うりゅう いく)は、幼馴染みで恋人でもあるアルファの平井裕也(ひらい ゆうや)と婚約していた。両家共にアルファ家系の中の唯一のオメガである郁と裕也の婚約は互いに会社を経営している両家にとって新たな事業の為に歓迎されるものだった。
郁にとって例え政略的な面があってもそれは幸せな物で、別の会社で修行を積んで戻った裕也との明るい未来を思い描いていた。
それから10年。約束は守られず、裕也はオメガである別の相手と生まれたばかりの子供と共に郁の前に現れた。
信じていた。裏切られた。嫉妬。悲しさ。ぐちゃぐちゃな感情のまま郁は川の真ん中に立ち尽くすーー。
※表紙はAIです
※遅筆です
孕めないオメガでもいいですか?
月夜野レオン
BL
病院で子供を孕めない体といきなり診断された俺は、どうして良いのか判らず大好きな幼馴染の前から消える選択をした。不完全なオメガはお前に相応しくないから……
オメガバース作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる