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第1章 変化の始まり
お風呂上がりの話し合い #2
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リミルはピギルーイに襲われたとは思っていない。
クライ個人への憎悪もなければ、本気で殺しにきた訳でもなかったからだ。
ただの八つ当たりに近かった。
辛いことが重なって泣き喚いている者を落ち着かせるために気絶させたに過ぎなかった。
ピギルーイはちゃんとその後反省していたので特に思うところはなかった。
(ピギルーイが落ち着いてよかった。ギルレイが調べてくれるってのもあってやっと冷静になって…そんでオーバーフローが起きたって言われて)
オーバーフローが発生する時は決まって森に居る時だったため、知らない事だらけだった。
(そう言えばピギルーイに武具貸したままだった。種族レベル36って言ってたけど冒険者じゃないからそんなに上げてないのかな。それともレベルの上げ始めはみんな遅いとか。その辺のズレも後でギルレイに聞いてみよう。自分のステータスはどこまで見せようか…)
ステータスの虚偽は不可能だが隠蔽はある程度のレベルアップによって可能になる。
リミルが、ふと上を見ると綺麗な星空が見えた。
風呂場の天井はガラスの様に透明な材質だが曇ってはいなかった。
「綺麗だな」
暫く見ていたかったがそろそろ逆上せそうだったので、楽しみは次に取っておこうと急いで上がる。
「《温風》」
魔法で全身を乾かし、用意して貰ったバスローブを着てダイニングへと向かった。
**
リミルがキッチンから出ると直ぐにギルレイから声がかかる。
『もうすぐ出来上がるからクライを起こしてくれ』
「寝てるのか?呼んだら起きるだろ?クライ!」
『それが起きないんだ』
「あれ?いつもは物音で起きるのにな」
『危険がない場所で寝るのが初めてなのかもな』
「そう言えばそうだな」
『そうか…そのまま寝かせとくか?』
「いや、ご飯抜きは辛いだろ」
リミルはクライに近寄って軽く揺すりながら話しかける。
「クライ、晩御飯食べないのか?」
<ん?いや食べる…くぁ~>
「珍しいな。呼んでも起きなかったぞ?」
<ここは飛び起きる必要もないしモコモコだし暖かくてな。安心して気持ちよく寝れたぞ>
「そっか。二人が後でお風呂に入ってる間にベッドの設置しといてやるから」
<ありがとう。あれは魔法を使っても大変そうだと思ってたんだ。特にカバーとか>
『二人とも!ご飯出来たぞ』
二人は喜んでダイニングに跳んだ。
<おお!今日の晩御飯は何だ?>
「美味しそう」
『今日の昼は肉のコース料理でガッツリ系だったし野菜と合うように味も濃いめだったから優しい味のミルククリームスープと鮭のバターソテーだ』
<グレモスが食べてたな、鮭>
『あれはバターソテーでは無かったけど美味そうだったからついな』
「確かに魚コースも美味しそうだったなー」
『今度行った時な。さ、熱いうちに食おうぜ』
ミルクの濃厚な風味と出汁の味が妙にマッチしていて具の根野菜にも出汁が染みていてとても美味しかった。
『じゃあクライ、風呂行くぞ』
「じゃあ俺はベッドの設置してくるから」
**
ギルレイはクライに伏せの状態になって貰って洗い始めた。
まずは、耳の付け根から後ろに伸びて生えている角の様な、触覚の様な何かと顔周りを注意深く洗う。
その何かは風に靡くように形を変えるが角のように硬く、植物の蔓の様な細く長い円筒状をしていて、先はダイヤモンドカットを伸ばしたような形で先端が尖っている。
『クライ、耳と耳の間にあるこれは角か?触覚か?』
<みみたぶ…かな?>
『みみ…耳朶!?』
<耳にくっ付くようにあるから、たぶん人種で言うところの耳朶だ>
『そ、そうか。硬いし長いし自由に動くから角と触覚を兼ねたものかと思ったんだが』
<確かに、硬さは一緒か分からないが、竜人族の角ほど太くはないが同じくらい尖ってるし、鬼人族の角ほど丸くはないが同じくらいの太さだな。それと少し鈍いが感覚もある。でも部位だと耳の1部だと思うぞ?>
『じゃあ耳朶が角や触覚の役割をしてるんだな…きっと』
(クライは耳の1部と言うが根元が近い位置にあるだけで生えている方向はそれぞれ耳が上後方で耳朶はクライの身体に沿うようにあるが…まあ耳朶の方が分かりやすいし良いか)
顔周りを洗い終えたので1度流して毛の長い箇所を洗っていく。
『頭部や足先の毛が長いのは態とか?』
<頭部は変化しないからだな。首を覆う程度か>
『他のフェンリルも頭部はこの長さって事だな。目撃情報があったやつは全身がクライほど短くなかったから目立たなかったんだな』
<足先の方は足音を消すためと靴の代わりだ>
『なるほどなー』
<足音がならない靴をリミルが作ってもらう時に一緒に頼んだらオヤジが考えてくれたんだ。毛を伸ばせば音も抑えられるし怪我からも守れるんじゃねぇの?ってさ>
『靴屋か?それとも鍛冶屋か?』
<装備の方だ。そういや銀狼の時は気にもしなかったなって思い出してその場で伸ばしたらオヤジは吃驚した後豪快に笑ってたな>
『そうか。それは驚くよな』
クライ個人への憎悪もなければ、本気で殺しにきた訳でもなかったからだ。
ただの八つ当たりに近かった。
辛いことが重なって泣き喚いている者を落ち着かせるために気絶させたに過ぎなかった。
ピギルーイはちゃんとその後反省していたので特に思うところはなかった。
(ピギルーイが落ち着いてよかった。ギルレイが調べてくれるってのもあってやっと冷静になって…そんでオーバーフローが起きたって言われて)
オーバーフローが発生する時は決まって森に居る時だったため、知らない事だらけだった。
(そう言えばピギルーイに武具貸したままだった。種族レベル36って言ってたけど冒険者じゃないからそんなに上げてないのかな。それともレベルの上げ始めはみんな遅いとか。その辺のズレも後でギルレイに聞いてみよう。自分のステータスはどこまで見せようか…)
ステータスの虚偽は不可能だが隠蔽はある程度のレベルアップによって可能になる。
リミルが、ふと上を見ると綺麗な星空が見えた。
風呂場の天井はガラスの様に透明な材質だが曇ってはいなかった。
「綺麗だな」
暫く見ていたかったがそろそろ逆上せそうだったので、楽しみは次に取っておこうと急いで上がる。
「《温風》」
魔法で全身を乾かし、用意して貰ったバスローブを着てダイニングへと向かった。
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リミルがキッチンから出ると直ぐにギルレイから声がかかる。
『もうすぐ出来上がるからクライを起こしてくれ』
「寝てるのか?呼んだら起きるだろ?クライ!」
『それが起きないんだ』
「あれ?いつもは物音で起きるのにな」
『危険がない場所で寝るのが初めてなのかもな』
「そう言えばそうだな」
『そうか…そのまま寝かせとくか?』
「いや、ご飯抜きは辛いだろ」
リミルはクライに近寄って軽く揺すりながら話しかける。
「クライ、晩御飯食べないのか?」
<ん?いや食べる…くぁ~>
「珍しいな。呼んでも起きなかったぞ?」
<ここは飛び起きる必要もないしモコモコだし暖かくてな。安心して気持ちよく寝れたぞ>
「そっか。二人が後でお風呂に入ってる間にベッドの設置しといてやるから」
<ありがとう。あれは魔法を使っても大変そうだと思ってたんだ。特にカバーとか>
『二人とも!ご飯出来たぞ』
二人は喜んでダイニングに跳んだ。
<おお!今日の晩御飯は何だ?>
「美味しそう」
『今日の昼は肉のコース料理でガッツリ系だったし野菜と合うように味も濃いめだったから優しい味のミルククリームスープと鮭のバターソテーだ』
<グレモスが食べてたな、鮭>
『あれはバターソテーでは無かったけど美味そうだったからついな』
「確かに魚コースも美味しそうだったなー」
『今度行った時な。さ、熱いうちに食おうぜ』
ミルクの濃厚な風味と出汁の味が妙にマッチしていて具の根野菜にも出汁が染みていてとても美味しかった。
『じゃあクライ、風呂行くぞ』
「じゃあ俺はベッドの設置してくるから」
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ギルレイはクライに伏せの状態になって貰って洗い始めた。
まずは、耳の付け根から後ろに伸びて生えている角の様な、触覚の様な何かと顔周りを注意深く洗う。
その何かは風に靡くように形を変えるが角のように硬く、植物の蔓の様な細く長い円筒状をしていて、先はダイヤモンドカットを伸ばしたような形で先端が尖っている。
『クライ、耳と耳の間にあるこれは角か?触覚か?』
<みみたぶ…かな?>
『みみ…耳朶!?』
<耳にくっ付くようにあるから、たぶん人種で言うところの耳朶だ>
『そ、そうか。硬いし長いし自由に動くから角と触覚を兼ねたものかと思ったんだが』
<確かに、硬さは一緒か分からないが、竜人族の角ほど太くはないが同じくらい尖ってるし、鬼人族の角ほど丸くはないが同じくらいの太さだな。それと少し鈍いが感覚もある。でも部位だと耳の1部だと思うぞ?>
『じゃあ耳朶が角や触覚の役割をしてるんだな…きっと』
(クライは耳の1部と言うが根元が近い位置にあるだけで生えている方向はそれぞれ耳が上後方で耳朶はクライの身体に沿うようにあるが…まあ耳朶の方が分かりやすいし良いか)
顔周りを洗い終えたので1度流して毛の長い箇所を洗っていく。
『頭部や足先の毛が長いのは態とか?』
<頭部は変化しないからだな。首を覆う程度か>
『他のフェンリルも頭部はこの長さって事だな。目撃情報があったやつは全身がクライほど短くなかったから目立たなかったんだな』
<足先の方は足音を消すためと靴の代わりだ>
『なるほどなー』
<足音がならない靴をリミルが作ってもらう時に一緒に頼んだらオヤジが考えてくれたんだ。毛を伸ばせば音も抑えられるし怪我からも守れるんじゃねぇの?ってさ>
『靴屋か?それとも鍛冶屋か?』
<装備の方だ。そういや銀狼の時は気にもしなかったなって思い出してその場で伸ばしたらオヤジは吃驚した後豪快に笑ってたな>
『そうか。それは驚くよな』
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