稀有ってホメてる?

紙吹雪

文字の大きさ
42 / 96
第1章 変化の始まり

評判と依頼 #3

しおりを挟む
通常の調査では各部屋毎にドロップ品の変化や出現する魔物のレベルや種類などを細かく調べるために職業クラスを変えながら何度も潜らなくてはならない。

それを既にリミルがやってくれているので事実確認だけで済むのだ。
リミルの希望通り通常よりは早く済むだろう。


先ほどよりも弱い魔物を倒しドロップを回収しながら階段へ向かう。

『ここはギルドに渡す気はないってことで良いか?』

「そのつもりだ」

ダンジョンを見つけた者が所有者という認識になるが、基本的には皆ギルドに売ってしまう。
大金が貰えるし、管理もしなくて済むし、ギルドが調査した結果にもよるが大抵は一般に解放されるので手放したところで自由に出入り出来るためだ。


占有する意味は無い。
鉱石が取れるダンジョンだとしても管理も大変で魔物を倒しながらの採掘に時間がかかり、魔物からもドロップするので運び屋の職業クラスレベルが高くないと持ち物が多くなり売り捌くのにも規制があるため占有する者はいない。

出来たとしても街が発展し全体的に底上げできるし通常ダンジョンより高く買い取ってもらえるのでしようとも思わないのだ。


だが、リミルはこのダンジョンは売らずに中の1部の魔物達と共に管理している。
理由は幾つかあるが1番大きいのは花畑が綺麗だからだ。
後は、初めて入ったダンジョンであり、住居でもあり、仲良くなった魔物もいて、思い入れが強いためだ。

ギルレイはリミルが売る気はないのにラッセル達のレベル上げのために調査も探索もさせてくれたので一応確認したのだ。



倒した魔物やドロップ品について話しながら階段を降りて2階層のこじんまりとしたエントランスに着くと早速各フロアに1つはある安全地帯リミルの部屋を確認する。
その後1層目への帰還場所がある横穴を探索し3層目への階段がある横穴へ。

それを4階層まで続けた。

そこまで種類は増えたが魔物もドロップ品も影獣シャドウビーストに実や果物だけだった。



しかし5階層に降りた途端、景色が変わった。
先程まで洞窟感満載だったのが石壁の部屋のようになった。

『ここからは横穴ではなく石の部屋だな』

例によって安全地帯を確認してから探索する。
5階層の安全地帯には簡易キッチンがあった。

帰還場所に繋がる細長い部屋で影獣の他に歯鼠ワームテールという歯が鋭くウネウネと動くピンク色の尻尾をした1m程ある凶暴な鼠が出てきた。

「こいつは確かレベル30くらいのここまでのボスだったかな。倒すと武器が貰えるよ」

『お!なら短剣ダガーで戦うか』

どうやらギルレイはナイフ類辺りが欲しいようだ。
歯鼠の素早い動きに驚きつつ、サクッと倒す。
今回のドロップ品は摩耗まもうしがちな採取用ナイフだった。

『お!狙い通り』

「消耗激しいもんな」

ギルレイは薬師ケミストとして短剣ダガーで戦っていたので採取用ナイフか短剣ダガーのどちらかしかドロップしなかっただろう。
職業クラス若しくは武器が違っていれば違う武器がドロップしていた。

武器や防具がドロップすると分かっていれば、このように欲しい物を狙うことも可能だ。



「たぶんラッセル達が戦えるのはここまでだと思うけど下の階層も確認するか?」

『何故そう思うのか理由を聞いても良いか?』

「ここから下はレベルが急に上がるんだ。仲良くなった魔物達と戦闘訓練してたら底上げしてしまったみたいで。出てくる魔物全部強くなってる」

『そんなことあるのか。凄いな。なら調査はここまでだな。5階層までの他の調査をしに一人でくるかも知れないから仲良くなった魔物達に伝えて置いてくれるか?』

「それなら統括に会っとく?最下層に居るけど呼べば来るよ?」

『良いのか?』

そう言うとリミルは早速簡易キッチンのあった安全地帯に行き黒くて大きなものと戻ってきた。

それは黒くて大きな豹だった。
瞳は緋く鋭い牙や爪がキラリと光り、ほんのりと黒い靄を纏っている。

強い。そうギルレイも思う様な威圧感と風貌と魔力だった。

「統括、この人はギルレイだ。ギルレイ、こいつが統括な」

<よく来たな。歓迎する。リミルとアニキのダチなら立ち入りを許してやる。ただし6階層以降は覚悟して入ることだ>

『感謝する。一人で入るのは5階層までにして置くよ。それより先はそのうち付き合ってくれリミル、クライ』

「ああ、もちろん」

<俺も良いぞ>

それがいいだろうと統括はニヤリと笑う。
これは笑顔だ。
威圧感が減ったので雰囲気で伝わる。

『リミルとは契約を?』

<している。名は統括だ>

『は?』

リミルが経緯を話してくれた。

仲良くなりレベルもそれなりに上がりリミルが{地下迷宮の主ダンジョンマスター}の称号を獲得した頃。
仲良くなった魔物と集まって話をしていて「君が統括だ」って役職を言ったつもりがその呼び方を気に入ってしまったようで契約成立となり"統括"が名前になってしまったらしい。
契約はしたが【始まりのダンジョン】を任せているので一緒に行動したりはしないのと珍しい魔物ということもありギルドに報告せずにいたということらしい。

連れ歩かないのならば報告義務は無いのでそれについてギルレイが特に何かを言うことはなかった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

通販で買った妖刀がガチだった ~試し斬りしたら空間が裂けて異世界に飛ばされた挙句、伝説の勇者だと勘違いされて困っています~

日之影ソラ
ファンタジー
ゲームや漫画が好きな大学生、宮本総司は、なんとなくネットサーフィンをしていると、アムゾンの購入サイトで妖刀が1000円で売っているのを見つけた。デザインは格好よく、どことなく惹かれるものを感じたから購入し、家に届いて試し切りをしたら……空間が斬れた!  斬れた空間に吸い込まれ、気がつけばそこは見たことがない異世界。勇者召喚の儀式最中だった王城に現れたことで、伝説の勇者が現れたと勘違いされてしまう。好待遇や周りの人の期待に流され、人違いだとは言えずにいたら、王女様に偽者だとバレてしまった。  偽物だったと世に知られたら死刑と脅され、死刑を免れるためには本当に魔王を倒して、勇者としての責任を果たすしかないと宣言される。 「偽者として死ぬか。本物の英雄になるか――どちらか選びなさい」  選択肢は一つしかない。死にたくない総司は嘘を本当にするため、伝説の勇者の名を騙る。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

処理中です...