稀有ってホメてる?

紙吹雪

文字の大きさ
65 / 96
第1章 出会い

増えるもの減るもの #2

しおりを挟む
もし前回の試験から腕が上がっていないようであれば腕が鈍っていないかの確認として、前回倒されることになった1段階前の敵までと戦うことになっている。
何度も殺されては恐怖に勝つのがより困難になるためだ。



アキリム、ニーナ、クロトの順番で行われ、試験は終了した。

アキリムは近距離が得意だが遠距離相手は突っ込んでいき、魔法相手には魔法で応戦してなかなかバランスが良かった。
ただ、力押しで勝てない相手には苦戦し、レベルが上がると手も足も出ない様だった。
レベルがある程度上がればまた変わってくるだろう。

ニーナは素早く、判断能力もあるため如何に遠距離を保つかを考えながら戦っていた。
自分をよく理解している。
ただ、近距離を得意とする相手に突っ込まれると苦戦していた。
対処法が見つけられれば戦いに幅が出るだろう。

クロトは戦略家というか狡賢いというか戦う能力がそこまで高くないのに戦えていた。
武器の使用方法には驚いた。
投擲士アンカーが序盤で投げられる物は石礫いしつぶて、何かの欠片、小型ナイフ、瓶の順に増えていく。
クロトはフィールドに落ちている石礫と紐のついた小型ナイフで戦っていた。
石礫は砕かれ難く投げてもフィールドに還る。それを走り回り相手の攻撃をかわしながら拾いまた投げる。
これは投げるものが他に無ければ誰もがやるかも知れない。
それより小型ナイフだ。クロトは投げては紐を伝ってナイフを回収しまた投げていた。
投げナイフは戦闘終了後に回収することはあっても戦闘中に回収することはなく、紐を使って回収するとは思わなかった。

自動回収のエンチャントがされた投げナイフの類があることはそっと教えておいた。



アキリムとニーナはレベル30辺りが勝てるかどうかといった所だった。
苦戦していたため後半辺りから同じレベルの様々な敵と戦っていた。
中には殺される回もあったのでその敵とはレベルが上がってリミルが納得出来るまでは戦わせられない。

もしレベルを上げても恐怖が残っているなら一度フィールドに赴く必要もあるだろう。
経験者が大丈夫だと判断しても恐怖はなかなか消えない。
故にフィールドが普段から解放されているのだ。
冒険者プレイヤーは他の職に比べレベルの上がりが早いため、積極的にフィールドに足を運ぶが他の者達はその限りでない。

特に戦うことに対して消極的な者達は次の試験でも現状維持を望むこともしばしば。
そういった者達が驕って危険に首を突っ込むことはないのでその点は安心だが、どこかで魔物に遭遇して戦えば勝てる場合にでも戦うことから逃げてしまえば命の保証はない。
そのためその者達には怖がらずに倒せる相手を覚えさせる。

試験とは生き残る術を知るための場だ──。



3人の試験が終わったのでギルドの受付まで戻りタグの完成までランクの説明等を受けて待つ。

『ランクは通常ランクと高ランクがある。高位に上がるには条件がいくつかあるが無茶をさせないため条件の公開はしていない』

『え、ランク2つしかないの?俺の知ってる世界だとFかEから始まってD、C、B、A、S、と上がっていって、多いとこだとSS、SSSまであるよ。魔物のレベルの違いがあるならそれに合わせてランク分けすれば倒していい魔物がランクで分かっていいと思うんだけど…』

エフ、イー等の言葉はこの世界には無く、親しみがないが、ランクを魔物に合わせて分けることについては、確かにそれはわかりやすいなと皆で納得していた。この世界ではレベルではなく信頼度でランク分けしていると言っても良い。


『参考にさせて貰う』

そうルシノが言った時、個室にノック音が響く。
アキリムともどもギルドの説明を受けるということで個室に移動して話していた。
アキリムはクロトについて詳しく聞いては来ない。
気にならないのだろうか?

そう思いつつ扉を見ると入ってきた受付嬢はイオンだった。


『おまたせ。これがアキリム君とクロト君、こっちがニーナちゃんのね』

イオンはギルドタグを渡しながら説明をする。
その場で説明を受けながら3人ともタグに自身の情報を記憶させる。
登録をし終えると次はタグの使い方の説明をし、実際に使用して確認するとギルド登録は完了だ。


『ねぇ、リミルちゃん。クライちゃんは一緒じゃないの?』

ジャックの様子がまだ心配なのでクライには一緒に行動してもらっている。
新しく作るクライ用の御手洗について話したいらしい。

有難い。が、ふとギルレイとのやり取りを思い出す。
そんな理由じゃないと思いたい。



『登録も終わったことだし昼飯行くぞ、リミル』

待ってました!
と意気込んだが、ルシノと二人きりでは行けない。
クロトもニーナも所持金がないのだ。
お金を渡して別行動というのも悪くないか、と考えているとルシノが付け足した。

『クロトもニーナも行くぞ』

少し残念に思ったが仕方ないとそっと、誰にも気づかれないように少し落ち込む。


『ならせっかくだしアキリムも一緒にどうかな?試験の度に顔を合わせるんだし仲良くなりたい』

そうニーナが言うので納得した。
目の端に不安そうな不満そうなクロトが映るが恐らくアキリムが来ることにではなくニーナが言い出した事に対してだろうなと思ったのでニーナに同意した。

「そうだな。お昼食べたらイレアに向けて出発するし」

『そうか。なら出る前に受付でハルバーからの受け取って来い』

イレアに帰るタイミングを聞いてルシノが手間を考えてそう言ってくれる。

そう言えば本人が居たので報酬について話す訳にいかず貰っていなかった。
馬を引き取りに行く時にでもとも思ったが転移ポイントについて悟られる可能性もあったのでこちらで受け取れるのはありがたい。
ルシノも気を使って報酬とは言わないでくれた。

ルシノに頷いて受付に向かうため席を立とうとしてアキリムに引き留められた。



『イレアに行くなら僕も連れて行ってくれないか?』

「イレアに用事か?俺たちはクライに乗ってくから流石に4人は無理だと思うぞ?」

クライに聞かずに了承すればまた怒って嫌味を言われかねない。
移動手段なら他にもあるのだからそちらに行って欲しい。
そう思ったのだが。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...