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第1章 出会い
増えるもの減るもの #3
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『いや、リミルたちのパーティに入れて欲しい』
リミルは驚いた。
パーティ認定されていることに。
そこ!?と思うかもしれないが、ずっとクライと居たけどソロ扱いだった。
保護しなければならない者が2人増えたがあくまで保護対象であって一緒に戦うパーティという認識はなかった。
保護者だということも言ったはずだ。
一緒に戦えるクライが、従魔だったためにソロ認定だったのに、守るべき2人が仲間扱いということに驚いたのだ。
「俺たちパーティだったのか?」
『『え、違うの?』』
アキリムとニーナは驚いている。
既にパーティだと思っていたようだ。
アキリムもニーナもパーティ申請が必要なことを知らないらしい。
『組めない訳では無いが実力差がありすぎるな。でもリミル、これから一緒に行動するならパーティと認識されることが多くなるだろう?2人と組んだらどうだ?不満もあるだろうが…』
「違う。そうじゃない」
ルシノに勘違いされた事に傷つき、否定の言葉の口調が少し強くなってしまったことに若干の自己嫌悪に陥りつつ、自分の気持ちを整理しながら話した。
ルシノに勘違いされたままで居たくなかった。
嫌味な奴だと思われるのは苦しく、心が痛い。
こんなことで自覚したくなかった。
さっさと認めておけばよかった。
俺はルシノが好きだ──。
好きな人に誤解されるのはツラいものだな。
「違うんだ。不満とかそうゆうことじゃなくて、確かに実力差は関係してる。でもそれは、えっと…俺はずっとソロだった。一緒に戦えるクライといてもずっとソロという扱いで…俺にとっては2人は保護対象だ。実力差があるためにそういう認識だったことは認める。でも、互いに守りあえるクライの扱いと俺が守るべき相手である2人の扱いのギャップに驚いたんだ。驚いただけで不満とかじゃ…」
リミルは傷付いた顔を隠せなかった。
それだけ傷ついていた。
だがルシノを責めたいわけではないのでその顔を見せないように下を向くしかなかった。
すると静かに成り行きを見ていたクロトが口を開いた。
『一緒に行動するだけでパーティ認定されるんだなって俺も驚いたよ。ソロだって聞いてたから従魔がパーティ認定されてないのは分かってたけど…この世界では人ってだけで一緒にいるとパーティなのか?俺のとこだと誘ったり誘われたりして了承してやっとパーティになれたけど』
クロトはリミルの言いたいことを正しく理解してくれたらしい。
未だ視線を落としているリミルには誰の表情も見えないがクロトの言葉が声音から本心であることは分かった。
少し救われる思いだ。
『リミル、顔を上げてくれ。誤解だ。俺はリミルが実力差に不満をもつとは思っていない。言葉が足りなかった。クライとの関係性を知っているからこそ、その辺で不満に感じることもあると思ったんだ』
リミルは慌てて顔をあげる。
すると目に溜まっていた涙が頬を伝った。
膝の辺りに濡れた跡があった。
リミルの視界に入ったルシノは申し訳なさそうな顔をしていたがリミルの顔を見て目を見開き、直ぐに痛ましそうな悔しそうなツラそうな顔をした。
「良かった。ルシノに嫌な奴って誤解されたんじゃないかと、おも、思って、そう考えると苦しくて…勘違いで良かった…」
『付き合いは浅いが俺はリミルの為人をまあまあ理解しているつもりだ。そこは信用して欲しい。傷つけたようで悪かった』
リミルは首を振って応える。
信用して欲しいの所で縦に、傷つけたようで悪かったの所で横に。
ルシノはリミルの頭や背中を撫でて落ち着かせつつ、クロトの疑問に答えるべく、3人に説明するつもりでそちらを向く。
『クロト、この世界でもパーティになるにはパーティ申請というものが必要になる。それは互いの同意の元、ギルドに申請するんだ。2人は知らなかった様だが今登録を終えたばかりだ。無理もない』
クロトは『そうだよな』と納得し、アキリムとニーナは『そうなんだ』と理解を示した。
3人ともリミルの涙には触れない方針で行くようだ。
リミルとしてはありがたかった。
クライと泣いた時以来の涙だ。
勘違いで泣いたのは少し恥ずかしい。
だが誰かとの関係を願って泣けたのは誇らしい。
リミルは落ち着いたので息を吐いて呼吸を整えた。
「ステータスを見せてくれないか?隠したいモノがあるなら無理にとは言わないが、称号をみれば何となくの事情が分かるだろう?見せてくれるなら俺も見せれる範囲で見せようと思う」
『見てくれて構わない。僕には見られて困るモノはない。出回っていない職業も持ってるだけでヤバい職業もないしな。そもそも家から出たばかりだ。リミルは隠せるほど種族レベルが高かったんだな…』
見せられないかどうかの判断はそれぞれ違うが共通しているのはアキリムが言ったモノだろう。
称号については個人の価値観に寄るモノが多い。
そういえばアキリムはレベルを知らなかったなと思いつつニーナにも声をかける。
「ああ。ニーナは?見ない方が良いなら見ないが…」
『私も見てくれて構わないよ?リミル君にはお世話になるしね』
2人からあっさり許可を貰い拍子抜けするが、受け入れられたので良しとする。
「クロトは少し特殊で、今後魔力暴走とかを起こさないために元の数値に戻るまでは1日1回はギルレイやルシノに見てもらうことになる。これはクロトの身体のための決定事項だ。だが、その際に俺がその内容を聞いてもいいかどうかはクロトが決めてくれ。代わりに他の2人と同様見せれる範囲で見せる」
『俺は知っといてくれる方が助かる。リミルは保護者だし、色々詳しいだろ?他の冒険者と比べても強いのは分かるし、その方が心強い』
クロトの言葉にリミルは嬉しくなった。
認められ信頼されるのは良いものだなと思った。
ハルバーに依頼された監視がその意味を変えつつあるなと感じる。
出会って暫くはずっと疑いの意味で監視していたが、今では心配や見守る意味での監視になってきている。
ハルバーには見守ってやれと言われたのでこうなる可能性も考えていたように思う。
「じゃあ早速皆のステータス見せてもらうな。《鑑定》」
リミルは驚いた。
パーティ認定されていることに。
そこ!?と思うかもしれないが、ずっとクライと居たけどソロ扱いだった。
保護しなければならない者が2人増えたがあくまで保護対象であって一緒に戦うパーティという認識はなかった。
保護者だということも言ったはずだ。
一緒に戦えるクライが、従魔だったためにソロ認定だったのに、守るべき2人が仲間扱いということに驚いたのだ。
「俺たちパーティだったのか?」
『『え、違うの?』』
アキリムとニーナは驚いている。
既にパーティだと思っていたようだ。
アキリムもニーナもパーティ申請が必要なことを知らないらしい。
『組めない訳では無いが実力差がありすぎるな。でもリミル、これから一緒に行動するならパーティと認識されることが多くなるだろう?2人と組んだらどうだ?不満もあるだろうが…』
「違う。そうじゃない」
ルシノに勘違いされた事に傷つき、否定の言葉の口調が少し強くなってしまったことに若干の自己嫌悪に陥りつつ、自分の気持ちを整理しながら話した。
ルシノに勘違いされたままで居たくなかった。
嫌味な奴だと思われるのは苦しく、心が痛い。
こんなことで自覚したくなかった。
さっさと認めておけばよかった。
俺はルシノが好きだ──。
好きな人に誤解されるのはツラいものだな。
「違うんだ。不満とかそうゆうことじゃなくて、確かに実力差は関係してる。でもそれは、えっと…俺はずっとソロだった。一緒に戦えるクライといてもずっとソロという扱いで…俺にとっては2人は保護対象だ。実力差があるためにそういう認識だったことは認める。でも、互いに守りあえるクライの扱いと俺が守るべき相手である2人の扱いのギャップに驚いたんだ。驚いただけで不満とかじゃ…」
リミルは傷付いた顔を隠せなかった。
それだけ傷ついていた。
だがルシノを責めたいわけではないのでその顔を見せないように下を向くしかなかった。
すると静かに成り行きを見ていたクロトが口を開いた。
『一緒に行動するだけでパーティ認定されるんだなって俺も驚いたよ。ソロだって聞いてたから従魔がパーティ認定されてないのは分かってたけど…この世界では人ってだけで一緒にいるとパーティなのか?俺のとこだと誘ったり誘われたりして了承してやっとパーティになれたけど』
クロトはリミルの言いたいことを正しく理解してくれたらしい。
未だ視線を落としているリミルには誰の表情も見えないがクロトの言葉が声音から本心であることは分かった。
少し救われる思いだ。
『リミル、顔を上げてくれ。誤解だ。俺はリミルが実力差に不満をもつとは思っていない。言葉が足りなかった。クライとの関係性を知っているからこそ、その辺で不満に感じることもあると思ったんだ』
リミルは慌てて顔をあげる。
すると目に溜まっていた涙が頬を伝った。
膝の辺りに濡れた跡があった。
リミルの視界に入ったルシノは申し訳なさそうな顔をしていたがリミルの顔を見て目を見開き、直ぐに痛ましそうな悔しそうなツラそうな顔をした。
「良かった。ルシノに嫌な奴って誤解されたんじゃないかと、おも、思って、そう考えると苦しくて…勘違いで良かった…」
『付き合いは浅いが俺はリミルの為人をまあまあ理解しているつもりだ。そこは信用して欲しい。傷つけたようで悪かった』
リミルは首を振って応える。
信用して欲しいの所で縦に、傷つけたようで悪かったの所で横に。
ルシノはリミルの頭や背中を撫でて落ち着かせつつ、クロトの疑問に答えるべく、3人に説明するつもりでそちらを向く。
『クロト、この世界でもパーティになるにはパーティ申請というものが必要になる。それは互いの同意の元、ギルドに申請するんだ。2人は知らなかった様だが今登録を終えたばかりだ。無理もない』
クロトは『そうだよな』と納得し、アキリムとニーナは『そうなんだ』と理解を示した。
3人ともリミルの涙には触れない方針で行くようだ。
リミルとしてはありがたかった。
クライと泣いた時以来の涙だ。
勘違いで泣いたのは少し恥ずかしい。
だが誰かとの関係を願って泣けたのは誇らしい。
リミルは落ち着いたので息を吐いて呼吸を整えた。
「ステータスを見せてくれないか?隠したいモノがあるなら無理にとは言わないが、称号をみれば何となくの事情が分かるだろう?見せてくれるなら俺も見せれる範囲で見せようと思う」
『見てくれて構わない。僕には見られて困るモノはない。出回っていない職業も持ってるだけでヤバい職業もないしな。そもそも家から出たばかりだ。リミルは隠せるほど種族レベルが高かったんだな…』
見せられないかどうかの判断はそれぞれ違うが共通しているのはアキリムが言ったモノだろう。
称号については個人の価値観に寄るモノが多い。
そういえばアキリムはレベルを知らなかったなと思いつつニーナにも声をかける。
「ああ。ニーナは?見ない方が良いなら見ないが…」
『私も見てくれて構わないよ?リミル君にはお世話になるしね』
2人からあっさり許可を貰い拍子抜けするが、受け入れられたので良しとする。
「クロトは少し特殊で、今後魔力暴走とかを起こさないために元の数値に戻るまでは1日1回はギルレイやルシノに見てもらうことになる。これはクロトの身体のための決定事項だ。だが、その際に俺がその内容を聞いてもいいかどうかはクロトが決めてくれ。代わりに他の2人と同様見せれる範囲で見せる」
『俺は知っといてくれる方が助かる。リミルは保護者だし、色々詳しいだろ?他の冒険者と比べても強いのは分かるし、その方が心強い』
クロトの言葉にリミルは嬉しくなった。
認められ信頼されるのは良いものだなと思った。
ハルバーに依頼された監視がその意味を変えつつあるなと感じる。
出会って暫くはずっと疑いの意味で監視していたが、今では心配や見守る意味での監視になってきている。
ハルバーには見守ってやれと言われたのでこうなる可能性も考えていたように思う。
「じゃあ早速皆のステータス見せてもらうな。《鑑定》」
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