転生した愛し子は幸せを知る

ひつ

文字の大きさ
106 / 314
本編

古代遺跡3

しおりを挟む
 誘惑に負けた私は結局食べましたよ!だって美味しそうだったんだもん。


「それでは遺跡についてお話ししますね。私と第2騎士団は遺跡内に入り、報告にもあった中心部へと向かいました。魔物もおらず罠も仕掛けも解除されていましたので比較的スムーズに進めました。そして中心部まで辿り着くと…」


「オーディ教授が石碑にかじり付くかのように引っ付いていたな。」


「言い方は他にもあるだろう。夢中になっていたと言ってくれ。」


 バンさんがその時のオーディ教授の様子を思い出したのか遠い目をしていた。



「続けますね。…私たちも確認しましたが確かに奥へと続くだろう扉がありました。大きな扉であり、魔法で攻撃してもびくともしません。」


「全く!急に魔法で扉を破壊しようとして。もし壊れでもしていたらどうするだ。」


「あれくらいで壊れるような代物ではありませんでしたから。やはり扉を開けるには石碑を読み解くしか無さそうです。私も少なからず古代語には知識があったのですが今回ばかりは役に立ちそうもありません。」


「当たり前だろう。いくら君に知識があると言っても限界はある。君よりも長く生きていて、且つ考古学を専門としている私と比べたら当然だと言えるさ。」


 そりゃ200年生きてるからねオーディ教授。見た目=年齢じゃないとは恐ろしいな。


「何にしろ、その石碑を読み解く他ないのです。なにか他に手がかりがないか捜索したいと考えています。」


「そこで俺たち第1騎士団も参加って事だな。」


 ふむふむ。手がかりを探す。つまり宝探しみたいなもの?


「ニールさん!私も参加してもいい?」


「今のところ危険はないとは言え、危ないので待機しておいて欲しいと言うのが本音ですが行く気満々ですね。」


「まぁティアの事は全員で注意して見ていればいいだろう。せっかく連れてきたしな。いいかティア、俺たちから絶対離れるなよ。言うことはしっかり聞くこと。分かったな?」


「りょーかいなのです!!」


 そうと決まれば早く寝ないと!明日は朝から遺跡に入るんだって。寝坊したら置いてかれる。それに眠くなってきた。


「デュースさん、部屋に戻ろう?」


「…眠いの?……エリック…部屋…戻る…。」


「あぁ。ティアぐっすり寝るんだぞ。おやすみ。」


 デュースさんに抱っこされる。


「皆んなおやすみなさい。」


「「「おやすみ」」」



 デュースさんの部屋に入る頃にはもう半ば夢の中だった。


「ティア嬢…お風呂…どうする?」


 お風呂…入りたい。パジャマにも着替えたいし。


「入る」


「…1人…大丈夫?…心配。」


「頑張る」


 眠くて単語での応答になっちゃう。


「…セシィ…出てきて。……様子見ててあげて。……」


〈かしこまりましたわ。〉


 むにゃ?なんか小さい女の子が出てきたよ?背中に羽生えてる。


「精霊さん?」


〈はい。私は水の上級精霊のセシィといいますわ。〉


 ほへぇ。精霊さんって存在するんた。可愛いなぁ。


〈それじゃあお風呂に行きましょう?〉
















 水の精霊セシィに手伝ってもらって(お湯をかけてもらったりと色々してもらった)なんとかお風呂から上がってこれた。お風呂に浸かった時はコクっといって危なかった。焦ったセシィが慌てて起こしてくれたっけ?


「…おかえり。…セシィ…お疲れ様。」


〈これくらい何でもありませんわ。また何かあれば呼んで下さい。〉

 
 それではと言うとセシィは消えた。


「ティア嬢…先寝てて…。」


「デュースさんは?」


「お風呂…入ってくる。」


 うー!!一緒に寝るの。 


「…なるべく早く戻ってくる。」


 デュースさんは急ぐようにお風呂へと向かった。私は布団に入りデュースさんを待つ。







 やばい。そろそろ限界。もうほとんど目が開いてない。


「ティア嬢?…まだ…起きてる?」


 あっ。デュースさんの声だ。お風呂から戻ってきたみたい。デュースさんはそっと布団の中に入ってきた。


「デュース…さん。ちゃんと…待っ…てたよ」


「…我慢せず…寝てていいのに。…でも…嬉しい。」


 デュースさんが私を温めるように抱き包んでくれる。私は温もりを逃さないようにデュースさんに引っ付く。


「おやすみ…ティア嬢。…よい夢を。」


「おやすみデュースさん…」


 




しおりを挟む
感想 169

あなたにおすすめの小説

【完結】公爵家の妾腹の子ですが、義母となった公爵夫人が優しすぎます!

ましゅぺちーの
恋愛
リデルはヴォルシュタイン王国の名門貴族ベルクォーツ公爵の血を引いている。 しかし彼女は正妻の子ではなく愛人の子だった。 父は自分に無関心で母は父の寵愛を失ったことで荒れていた。 そんな中、母が亡くなりリデルは父公爵に引き取られ本邸へと行くことになる そこで出会ったのが父公爵の正妻であり、義母となった公爵夫人シルフィーラだった。 彼女は愛人の子だというのにリデルを冷遇することなく、母の愛というものを教えてくれた。 リデルは虐げられているシルフィーラを守り抜き、幸せにすることを決意する。 しかし本邸にはリデルの他にも父公爵の愛人の子がいて――? 「愛するお義母様を幸せにします!」 愛する義母を守るために奮闘するリデル。そうしているうちに腹違いの兄弟たちの、公爵の愛人だった実母の、そして父公爵の知られざる秘密が次々と明らかになって――!? ヒロインが愛する義母のために強く逞しい女となり、結果的には皆に愛されるようになる物語です! 完結まで執筆済みです! 小説家になろう様にも投稿しています。

愛する夫にもう一つの家庭があったことを知ったのは、結婚して10年目のことでした

ましゅぺちーの
恋愛
王国の伯爵令嬢だったエミリアは長年の想い人である公爵令息オリバーと結婚した。 しかし、夫となったオリバーとの仲は冷え切っていた。 オリバーはエミリアを愛していない。 それでもエミリアは一途に夫を想い続けた。 子供も出来ないまま十年の年月が過ぎ、エミリアはオリバーにもう一つの家庭が存在していることを知ってしまう。 それをきっかけとして、エミリアはついにオリバーとの離婚を決意する。 オリバーと離婚したエミリアは第二の人生を歩み始める。 一方、最愛の愛人とその子供を公爵家に迎え入れたオリバーは後悔に苛まれていた……。

愛されなかった公爵令嬢のやり直し

ましゅぺちーの
恋愛
オルレリアン王国の公爵令嬢セシリアは、誰からも愛されていなかった。 母は幼い頃に亡くなり、父である公爵には無視され、王宮の使用人達には憐れみの眼差しを向けられる。 婚約者であった王太子と結婚するが夫となった王太子には冷遇されていた。 そんなある日、セシリアは王太子が寵愛する愛妾を害したと疑われてしまう。 どうせ処刑されるならと、セシリアは王宮のバルコニーから身を投げる。 死ぬ寸前のセシリアは思う。 「一度でいいから誰かに愛されたかった。」と。 目が覚めた時、セシリアは12歳の頃に時間が巻き戻っていた。 セシリアは決意する。 「自分の幸せは自分でつかみ取る!」 幸せになるために奔走するセシリア。 だがそれと同時に父である公爵の、婚約者である王太子の、王太子の愛妾であった男爵令嬢の、驚くべき真実が次々と明らかになっていく。 小説家になろう様にも投稿しています。 タイトル変更しました!大幅改稿のため、一部非公開にしております。

婚約破棄されなかった者たち

ましゅぺちーの
恋愛
とある学園にて、高位貴族の令息五人を虜にした一人の男爵令嬢がいた。 令息たちは全員が男爵令嬢に本気だったが、結局彼女が選んだのはその中で最も地位の高い第一王子だった。 第一王子は許嫁であった公爵令嬢との婚約を破棄し、男爵令嬢と結婚。 公爵令嬢は嫌がらせの罪を追及され修道院送りとなった。 一方、選ばれなかった四人は当然それぞれの婚約者と結婚することとなった。 その中の一人、侯爵令嬢のシェリルは早々に夫であるアーノルドから「愛することは無い」と宣言されてしまい……。 ヒロインがハッピーエンドを迎えたその後の話。

異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!

明衣令央
ファンタジー
 糸井織絵は、ある日、オブルリヒト王国が行った聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界ルリアルークへと飛ばされてしまう。  一緒に召喚された、若く美しい女が聖女――織絵は召喚の儀に巻き込まれた年増の豚女として不遇な扱いを受けたが、元スマホケースのハリネズミのぬいぐるみであるサーチートと共に、オブルリヒト王女ユリアナに保護され、聖女の力を開花させる。  だが、オブルリヒト王国の王子ジュニアスは、追い出した織絵にも聖女の可能性があるとして、織絵を連れ戻しに来た。  そして、異世界転移状態から正式に異世界転生した織絵は、若く美しい姿へと生まれ変わる。  この物語は、聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界転移後、新たに転生した一人の元おばさんの聖女が、相棒の元スマホケースのハリネズミと楽しく無双していく、恋と冒険の物語。 2022.9.7 話が少し進みましたので、内容紹介を変更しました。その都度変更していきます。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

転生幼女は幸せを得る。

泡沫 呉羽
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!? 今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

処理中です...