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本編
古代遺跡7
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あれ?なんで私1人で歩いてるんだっけ。エリック隊長たちはどこだろう。戻らなきゃ。なのにその思いとは別に身体は動き続ける。
この道をどう進めばいいのか知らないはずなのに何故か道が手にとるように分かる。この道はあそこに繋がっている。
あそこ?私は何を言っているの?
私は進み続ける。
しばらくすると大人1人分が通れるぐらいの穴が現れた。
「なんだろう。懐かしい感じがするのかな。この先にはあの子たちが待ってるからかな、、、え?あの子たち?」
何とも言えないこの違和感はなんなの。この先に行きたいと望む心は本当に私のもの?
本来ならエリック隊長達を待つべきなんだろうけど、待てない。心が…魂が言うんだ。私はこの先に行かないといけない!!と。
私はこの思いに押されるまま穴の中へと入った。
〈待っていた。おかえり。契約者よ。〉
〈おかえり!また会いたかったよ!〉
穴を抜けた先に待っていたのは大きな犬とそれより少し小さい犬だった。
「わんちゃん??」
〈〈犬じゃないっ!!!〉〉
クワッとするとともに悲しそうにする2匹。シュンとする姿とか犬そっくりだけど。
「わんちゃんじゃないの?あっ!そっか、喋るわんちゃんだから新種の生物?」
〈我らはフェンリルだ!神獣フェンリルだぞ。そんじょそこらの犬や魔物と一緒にするでない!相変わらずわんちゃんと言うのはやめてくれっ!〉
やっぱりそうなんだ!!
「なるほどー!新獣フェンリルだね!」
〈ち・が・う!!●●●よ、我らは新獣ではなく神獣だと言っているだろう。わざと、わざとなのか!?〉
〈まぁまぁ父さん落ち着いてよ。●●●がわざと言うわけないよ。純粋に神獣ではなく新獣の方だと思ったんだよきっと。〉
さっきからこの2匹は何を言ってるんだろう?
「●●●って誰のこと?」
〈〈……………〉〉
2匹は無言になった。そしてしっぽでついて来いと言うと進み出した。私は慌てて2匹について行く。そして彼らの住処だろう場所へとやってきた。2匹は姿勢を正すと言った。
〈契約者よ、やはり覚えていないか我らの事を。〉
〈僕の事も少しもわからない??覚えてないの?〉
「えっと…ごめんなさい。全然分からないです。私、この世界に来て時間は経ってないし、ここに来た事すらないから人違いじゃないかな?」
〈〈人違いなんかありえない!!〉〉
そんな事言われても事実、私は知らないもん。
〈我と契約者●●●との繋がりがあるのだ。そなたが●●●なのは間違いない。記憶は失われようとも魂の繋がりはたしかに存在している。我らとそなたは約束したのだ。再び会うと。我はずっと悔やんでおった。そなたを守れなかった事を。〉
魂の繋がり?たしかに何か感じるような気はするけど…
〈我らはこの地にて再びそなたがやってくるのをずっと待っていた。今回やっとこの遺跡の存在が明るみになり、そなたがやってくる事が出来た。毎回そなたの魂を感じる度に会えないもどかしさを感じていた。そなたを感じては消えてゆく…力になれない思いはもう嫌なのだ。だが我はもう長くない。故にそなたの中で永遠に眠ろう。そなたの力となり共に生きさせてくれないか?〉
「大きなわんちゃんは死んじゃうの?嫌だよ。死なないでよ。私、今すごくすごく悲しいの。家族を失うような…お願い死なないで!」
〈我は死なんよ。ずっとそなたの中で生き続けるだけだ。今度こそ、そなたと共に歩みたいのだ。我の最期の願いを聞いてはくれないのか?〉
そんなのずるい。最期のお願いなんて言われたら断れないよ。
〈それに我がいなくてもこの子がおろう?この日の為にしっかり鍛えておいたぞ。なぁ?〉
〈うん!僕は今日この日の為に頑張って来たんだよ。●●●と一緒に行く為に。だから安心して。父さんの代わりにしっかり守ってみせるよ!!〉
私は涙が溢れてしかたない。
「わかっ…た。そのお願い…叶える…」
〈あぁ。ありがとう契約者よ。本当はもっと話したい事はたくさんあるのだがな…そなたの決意が変わらぬ間に終わらせよう。何か知りたい事があれば我が子に聞くとよい。そなたが知っても問題ない内容ならば答えてくれるだろう。では我が子よ、後のことは頼んだぞ。〉
〈はい父さん!!〉
大きなフェンリルは小さなフェンリルに言葉を託すと私に向き合った。
〈…そんな顔をするでない。別れが惜しくなるだろう?そなたは過酷な運命を背負っておる。その運命から解き放たれるのを我は願っておる。我は…我はそなたと出会い終わりを迎える事が出来て幸せだ。〉
大きなフェンリルは笑い、輝きだした。あぁ、言わなきゃ。伝えなきゃ。
「…待っていてくれてありがとう…大好きだよバルフ。」
一瞬、目を見開いたフェンリル。だがすぐに微笑んだ。
〈あぁ。我も大好きだリーナ。我が愛しき契約者よ。そなたに幸あらんことを〉
バルフは光の粒となりティアの身体へと吸い込まれていった。
この道をどう進めばいいのか知らないはずなのに何故か道が手にとるように分かる。この道はあそこに繋がっている。
あそこ?私は何を言っているの?
私は進み続ける。
しばらくすると大人1人分が通れるぐらいの穴が現れた。
「なんだろう。懐かしい感じがするのかな。この先にはあの子たちが待ってるからかな、、、え?あの子たち?」
何とも言えないこの違和感はなんなの。この先に行きたいと望む心は本当に私のもの?
本来ならエリック隊長達を待つべきなんだろうけど、待てない。心が…魂が言うんだ。私はこの先に行かないといけない!!と。
私はこの思いに押されるまま穴の中へと入った。
〈待っていた。おかえり。契約者よ。〉
〈おかえり!また会いたかったよ!〉
穴を抜けた先に待っていたのは大きな犬とそれより少し小さい犬だった。
「わんちゃん??」
〈〈犬じゃないっ!!!〉〉
クワッとするとともに悲しそうにする2匹。シュンとする姿とか犬そっくりだけど。
「わんちゃんじゃないの?あっ!そっか、喋るわんちゃんだから新種の生物?」
〈我らはフェンリルだ!神獣フェンリルだぞ。そんじょそこらの犬や魔物と一緒にするでない!相変わらずわんちゃんと言うのはやめてくれっ!〉
やっぱりそうなんだ!!
「なるほどー!新獣フェンリルだね!」
〈ち・が・う!!●●●よ、我らは新獣ではなく神獣だと言っているだろう。わざと、わざとなのか!?〉
〈まぁまぁ父さん落ち着いてよ。●●●がわざと言うわけないよ。純粋に神獣ではなく新獣の方だと思ったんだよきっと。〉
さっきからこの2匹は何を言ってるんだろう?
「●●●って誰のこと?」
〈〈……………〉〉
2匹は無言になった。そしてしっぽでついて来いと言うと進み出した。私は慌てて2匹について行く。そして彼らの住処だろう場所へとやってきた。2匹は姿勢を正すと言った。
〈契約者よ、やはり覚えていないか我らの事を。〉
〈僕の事も少しもわからない??覚えてないの?〉
「えっと…ごめんなさい。全然分からないです。私、この世界に来て時間は経ってないし、ここに来た事すらないから人違いじゃないかな?」
〈〈人違いなんかありえない!!〉〉
そんな事言われても事実、私は知らないもん。
〈我と契約者●●●との繋がりがあるのだ。そなたが●●●なのは間違いない。記憶は失われようとも魂の繋がりはたしかに存在している。我らとそなたは約束したのだ。再び会うと。我はずっと悔やんでおった。そなたを守れなかった事を。〉
魂の繋がり?たしかに何か感じるような気はするけど…
〈我らはこの地にて再びそなたがやってくるのをずっと待っていた。今回やっとこの遺跡の存在が明るみになり、そなたがやってくる事が出来た。毎回そなたの魂を感じる度に会えないもどかしさを感じていた。そなたを感じては消えてゆく…力になれない思いはもう嫌なのだ。だが我はもう長くない。故にそなたの中で永遠に眠ろう。そなたの力となり共に生きさせてくれないか?〉
「大きなわんちゃんは死んじゃうの?嫌だよ。死なないでよ。私、今すごくすごく悲しいの。家族を失うような…お願い死なないで!」
〈我は死なんよ。ずっとそなたの中で生き続けるだけだ。今度こそ、そなたと共に歩みたいのだ。我の最期の願いを聞いてはくれないのか?〉
そんなのずるい。最期のお願いなんて言われたら断れないよ。
〈それに我がいなくてもこの子がおろう?この日の為にしっかり鍛えておいたぞ。なぁ?〉
〈うん!僕は今日この日の為に頑張って来たんだよ。●●●と一緒に行く為に。だから安心して。父さんの代わりにしっかり守ってみせるよ!!〉
私は涙が溢れてしかたない。
「わかっ…た。そのお願い…叶える…」
〈あぁ。ありがとう契約者よ。本当はもっと話したい事はたくさんあるのだがな…そなたの決意が変わらぬ間に終わらせよう。何か知りたい事があれば我が子に聞くとよい。そなたが知っても問題ない内容ならば答えてくれるだろう。では我が子よ、後のことは頼んだぞ。〉
〈はい父さん!!〉
大きなフェンリルは小さなフェンリルに言葉を託すと私に向き合った。
〈…そんな顔をするでない。別れが惜しくなるだろう?そなたは過酷な運命を背負っておる。その運命から解き放たれるのを我は願っておる。我は…我はそなたと出会い終わりを迎える事が出来て幸せだ。〉
大きなフェンリルは笑い、輝きだした。あぁ、言わなきゃ。伝えなきゃ。
「…待っていてくれてありがとう…大好きだよバルフ。」
一瞬、目を見開いたフェンリル。だがすぐに微笑んだ。
〈あぁ。我も大好きだリーナ。我が愛しき契約者よ。そなたに幸あらんことを〉
バルフは光の粒となりティアの身体へと吸い込まれていった。
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