転生した愛し子は幸せを知る

ひつ

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本編

アルの正体 1

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 私のアルは何者?質問に私たちのいる席だけ時が止まったかのような雰囲気だ。


「ぁ…ぅ、え…」


「突然の問いに思考停止したアルベルタ様、間抜けにも口をパクパクさせて言葉にならぬ声だけが漏れている。」


 やけに楽しそうにアルの実況をするビスさんである。


「あーそっか、そうだよな。ティアは知らないままだったか。俺的には知らなくていいと思うぞ。」


 エリック隊長たちは知ってるの!?私だけ知らなかった感じ?


「やっぱアルは偉い人なんでしょ!なんか青薔薇さんたちを前にした時とか、こうなんて言うのかな?命令されるよりする側って感じがすごく様になってたし。ちょっと怖かったけど、かっこよかったね!!」


「…ぁ、ぁ、っゔ~!!」


「これまた撃沈したアルベルタ様。ちょっと怖かったと言われショックを受けるもその直後のかっこよかった発言に心を掻き乱されまくっている。」


 ビスさんはアルの実況を楽しそうにしている。


「ビス殿、そのへんで…的確過ぎる実況にアルベルタ様が羞恥で最後は唸り声しか発していない。」


 バンさんがアルの事をアルベルタ様って呼んでいる。やはりこれは何かある!


「ティア、聞かなくていい。知って得するどころか損だ!」


 エリック隊長はどうしてもアルについて知られたくないようだ。


「いえ、エリックさん。この際、もうティアさんに知っておいて貰いましょう。人脈とは作っておいてなんぼですから。人脈という点で言えば彼はかなり大きいものになりえますし。いざという時に使えます。」


 ニールさん、本人のいる前で使える発言は流石にダメだよ~


「ほらアルベルタ様、シャキッとして下さい。アルベルタ様が言わないなら私の口からお伝えしますよ。いいんですか?」


「ダメだ!!お、俺の口から言う!」


「だそうですよティアちゃん。」


 ビスさんは「ほら早く。」とアルの背中を押している。


「お、俺はだな…そ、その…ラ、ラザージャ獣王国の…」


「え、えっと??」


 ごめん、ちょっと聞き取れないや。困ってビスさんを見る。ビスさんも困ったように笑うだけだ。


「ねぇ、アル?もう少しボリュームアップでお願い。」


「うっ…あまり大きい声では言えないんだ」


 それは喉を痛めてとかじゃないよね。


「耳を…」


「あっ、うん。どうぞ。」


 アルがちょいちょいと手招くので、私は耳元をアルに近づけた。所謂、内緒話を聞くスタイルだ。


「俺はアルベルタ・ガオ・ラザージャ。ラザージャ獣王国の第5王子なんだ…(ボソッ)」


「へぇ~アルはラザージャ獣王国の王子………ん?おう、じ?」


 ギギギと壊れた機械のようにアルの顔に向きなおる。


「お、お、お、オォおおおおじぃぃいい⁉︎」



 瞬時にニールが防音魔法を発動していた為、ティアの叫びは周りには聞こえずに済んだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 はーい!ついにティアがアルの正体がラザージャの王子だと知りました!きっと傍で見ているエリックはムスッとした表情を浮かべて聞いているに違いない笑笑。





 

 


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