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第九章「海神編」
天才の一蹴り
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「……お疲れ、サーク。」
「俺は何もしてないよ。こちらこそお疲れ様。ありがとう、ノル。」
明け方、空が白み始めた頃、俺とノルはそう言葉を交した。
出来上がった装置を眺め、お互い無言になる。
これで海神対話計画に必要なものは全て揃った。
刻々とその時が近づいている事を感じる。
何も形のない所から始まった仮想精神空間作成装置すら、とうとう完成したのだ。
「……流石だよ、ノル。まさかあの理論論文だけで本当に実用可能な装置を作ってしまうなんて……。しかもこんな短期間に。」
「環境が良かったからね。必要経費も気にせず貴重な必要材料もすぐに入手できたし、食事や休養の管理をしてもらって、なおかつ優秀な助手付きだ。」
ノルは少しおどけてそう言った。
俺は思わず笑ってしまう。
「それは光栄です。装置作成なんかはほぼ独学だし、ノックス・リー・バンクロフト博士に優秀な助手って言われるとは思わなかったよ。」
「サークなら正式に雇っても良いよ?生活面でのサポートもしてくれるし、大歓迎だ。」
「今の仕事がクビになったら考えるよ。」
「領主様がクビになるってどんな状況だい??」
「ん~?今回とか??もしもの事があったら打ち首だろうね?」
「打ち首じゃ、僕の助手にはなれないね?」
「本当、それもそうだ。」
そんな事を言いながら、徹夜明けの変なテンションで俺達は笑った。
そしてグッとハグをする。
「ありがとう、ノル。」
「気が早いよ、サーク。明日、って言うか今日か。本番同様に試運転してみて問題がないか確認しないとね。」
そんな話をしていると、ドアがノックされた。
こんな明け方、誰だろう??
俺とノルは顔を見合わせる。
「失礼致します。旦那様。カレンです。」
そう言われドアを開けるとカレンがトレーを持って立っていた。
途端にコーヒーのいい香りが部屋の中に漂ってくる。
「完成、おめでとうございます。ひとまずコーヒーをお持ちしました。」
「……ありがとう??でも?何で??」
にっこり笑ってカレンがテーブルに置いてくれたトレーには、濃いめのブラックコーヒー。
一応ミルクと砂糖が添えられ、軽食としてキッシュが乗っていた。
あまりのタイミングの良さに目を丸くする俺に、カレンは得意げに笑ってみせる。
「旦那様?私はこの家の家守りですよ?ママが見ている事は基本、全部私も知っています。」
「………ぜ、全部?!」
「あ!もちろんお風呂や寝室など!皆様のプライベートに関わる部分については、何か異変がない限りは見ておりませんよ?!」
「そ、そうなんだ……。」
うっかり忘れそうになるが、カレンはカレンとしての存在がある前に、この家そのものの一部なのだ。
だから家の中で起きている事は全て把握していて当然と言えば当然なのだが冷や汗が出た。
プライベートな部分は見ていないというが、家であんな事やこんな事をする時は気をつけよう……。
カレンは「では、他の仕事がありますので。」と言って部屋を出て行った。
心なし焦る俺を気にすることなく、ノルはカレンが持ってきてくれたコーヒーを飲みながらもぐもぐとキッシュを食べている。
俺は気持ちを切り替えるために大きく深呼吸をし、コーヒーを飲んだ。
「ノルはこの後、ゆっくりお風呂に入ってちゃんと食事して、一眠りしておいてね。」
「サークは??」
「一休みしたら王宮に装置の完成の報告と、魔力を入れてもらってた大型魔力電池を取りに宮廷魔術師本部に行ってくるよ。試運転に必要だろ??」
ここまでの組み立てに伴う試運転は持ち合わせの魔力電池と俺の魔力で行っていたが、本番はそうは行かない。
俺は機械に組み込まれるし、かと言ってぞろぞろと魔力の高い魔術師なんかを入れる訳にも行かない。
そこで大型の魔力電池を作り、宮廷魔術師の皆に魔力を入れてもらったのだ。
本番さながらの試運転をするとなると、それできちんと装置が作動及び機能し続けるかも確かめて置かなければならない。
ノルはキッシュの残りを飲み込むと、不思議そうな顔をする。
「サークも今日は徹夜したじゃないか。」
「ノルと違って他の日はちゃんと寝てたし、時間を見て仮眠を取るから大丈夫。それよりノル。試運転をしてみて問題なければ、悪いけどいったん王宮に移って欲しい。」
「……どうしてだい?」
「万が一を考えた時、ノルはここにいるべきじゃない。」
俺はずっと考えていた事をノルに伝えた。
その瞬間、ノルの顔つきが険しくなる。
「……そういう事なら、嫌だね。」
「ノル!!」
俺が何を言いたいのか、全てを語らずとも理解したのだろう。
とても気に入らないと言いたげに、ノルは正面から俺と向き合った。
「何でここまで来て僕だけ除け者にするんだ!サーク!!」
「ノルは自分の価値をわかっていない!!ノルは古代科学技術研究の最高権威、ノックス・リー・バンクロフト博士だ!!この世に二人としていない!だからもしもの時に巻き込む事はできない!!」
ノルを除け者にしたいんじゃない。
だがノルは、もしもの時に失われていい存在じゃない。
この短期間にこの装置を完成させる程の天才だ。
傍から見れば物凄く簡単に作ってしまったからそれがどれだけ凄いことなのかわかりにくいだろうが、この数日、それを手伝う形でその才能を目の当たりにし、俺は改めてノルの存在の大きさと世界における彼の重要性を肌で感じた。
「でも僕は研究者である前にサークの友達だ!!」
「俺だってそう思ってる!だからこそ!ノルにここにいて欲しくない!!ノルを巻き込みたくないんだ!!」
「絶対に嫌だ!!ここまで巻き込んでおいて!!僕だけ仲間はずれにするな!!」
「ノル!!」
仲間はずれにしたいんじゃない。
でも世界におけるノルの存在意義が大きすぎる。
そんな才能溢れたノルだからこそ、俺は友人として危険から遠ざけたいと必死になった。
自分で巻き込んでおいて都合のいい事を言っているのはわかっている。
でもノルはもしもの時に巻き込まれていい人間じゃないんだ。
「頼む、ノル。色々無理を頼んでおいて勝手な事を言っているのはわかってる。でも、俺はノルを友人としても研究者としても尊敬している。危険に巻き込みたくないんだ!」
「僕は嫌だ!!絶対に嫌だ!!ここにいる!!だいたい!本番の作動時に装置に異常が出たらどうする気なんだ?!」
「それは俺が……。」
「君は装置と繋がって、王子様とラニ君と仮想精神空間を繋ぐ役割をするんだろう?!」
「それは……。」
「だから絶対に嫌だ!!君の友達としても!研究者としても!僕は最後までこの件に付き合うぞ!!」
「ノル……。」
「この装置は僕が作った!誰よりもこの装置の事を知っている!!非常事態に対応できる技術者は僕しかいない!!」
「でも……!」
「でももだってもない!!いいかい?!この装置が今回の計画の一番大きな安全装置なんだよね?!なのにその安全装置の安全が確保されてない中で、君は計画を遂行するつもりなのか?!この装置がどれだけ正常に作動するかに全員の安全がかかっているんだぞ?!なのにその技術者をその場から排除するなんてトチ狂ってる!サークらしくない判断だ!!だいたい君が僕の立場だったら!絶対にひかないだろう?!違うか?!」
そう捲し立てられ、俺は困ってしまった。
ノルの言っている事は最もだ。
でもノルの才能は、この世界における存在意義の重要性は、それを遥かに上回るのだ。
「ノル、それでも……。」
「君の言い分はわかる!だが言っている事は間違ってる!!必要なのは!僕をここから遠ざける事じゃない!!君が僕を絶対に守り切る覚悟だ!!違うか?!サーク!!」
「!!」
そう言われてしまい、俺は固まった。
そうか、そういう事かと俺は目元を手で庇って天井を見上げた。
俺はもしもの事を恐れた。
元々もしもなんて起きてはいけないのに、それを恐れた。
そしてそれにノルが巻き込まれないようにと考えてしまった。
何だよ俺、ダメダメじゃん。
絶対にラニを守らなきゃとか言ってたのに、準備が整ってきてそれが目前に迫ったら逃げ腰になってて……。
そうだ、忘れていた。
そこにはラニがいる。
当然、リアナも出てけと言っても出ていかないだろう。
アレックだっているし、義父さんも、ブラハムさんもファーガスさんも、皆いるのだ。
何より殿下を救いたいから、この計画を立てたんだろう?!
なのに、何でもしもの事ばかり考えているんだ?俺は……。
計画実行が目の前に迫り、弱気になっていた。
それが思わぬ形で指摘された。
俺は顔を戻し、ムスッとむくれているノルに苦笑いした。
何か、目が覚めた。
そう思った。
「ごめん、そうだな。そうだよなぁ~。」
「……わかったならいい。」
むくれるノルの頭をぽんぽんする。
こんな時だけど、本当、ノルの天パーって凄いよな。
弾力が半端ない。
思わず笑ってしまった。
「僕はここにいる。最後まで付き合うよ、サーク。」
「うん。よろしくお願いします。バンクロフト博士。」
俺が改めてお願いすると、ノルは機嫌が治ったのかにこにこ笑った。
そして俺の手を握り、ブンブンと一方的な握手をする。
「この計画の後は、簡易ゲートの件と君の研究所の件が残っている事を忘れないでくれよ?!今度こそ、きっちり話をつけるからね?!」
「え?!もうそっちの事考えてるの?!ノル?!」
「当然だよ。僕が何をしにこの都市に来たと思っているんだ??」
そう言ったノルの顔は本気だった。
俺はちょっと血の気が引いた。
「さて!ならゆっくりお風呂に入って!僕は一眠りさせてもらうよ!!何か一段落ついたらお腹も空いてきたなぁ~。」
切り替えが早いというか、何と言うか……。
天才の頭の構造って、本当、凄いというか若干よくわからない……。
ノルはのほほんとそう言いながら、着替えを取りに寝室に行ってしまった。
そこまでの切り替えができない俺は、頭の中が混乱し、正常に戻るまで少しの時間を要したのだった。
「俺は何もしてないよ。こちらこそお疲れ様。ありがとう、ノル。」
明け方、空が白み始めた頃、俺とノルはそう言葉を交した。
出来上がった装置を眺め、お互い無言になる。
これで海神対話計画に必要なものは全て揃った。
刻々とその時が近づいている事を感じる。
何も形のない所から始まった仮想精神空間作成装置すら、とうとう完成したのだ。
「……流石だよ、ノル。まさかあの理論論文だけで本当に実用可能な装置を作ってしまうなんて……。しかもこんな短期間に。」
「環境が良かったからね。必要経費も気にせず貴重な必要材料もすぐに入手できたし、食事や休養の管理をしてもらって、なおかつ優秀な助手付きだ。」
ノルは少しおどけてそう言った。
俺は思わず笑ってしまう。
「それは光栄です。装置作成なんかはほぼ独学だし、ノックス・リー・バンクロフト博士に優秀な助手って言われるとは思わなかったよ。」
「サークなら正式に雇っても良いよ?生活面でのサポートもしてくれるし、大歓迎だ。」
「今の仕事がクビになったら考えるよ。」
「領主様がクビになるってどんな状況だい??」
「ん~?今回とか??もしもの事があったら打ち首だろうね?」
「打ち首じゃ、僕の助手にはなれないね?」
「本当、それもそうだ。」
そんな事を言いながら、徹夜明けの変なテンションで俺達は笑った。
そしてグッとハグをする。
「ありがとう、ノル。」
「気が早いよ、サーク。明日、って言うか今日か。本番同様に試運転してみて問題がないか確認しないとね。」
そんな話をしていると、ドアがノックされた。
こんな明け方、誰だろう??
俺とノルは顔を見合わせる。
「失礼致します。旦那様。カレンです。」
そう言われドアを開けるとカレンがトレーを持って立っていた。
途端にコーヒーのいい香りが部屋の中に漂ってくる。
「完成、おめでとうございます。ひとまずコーヒーをお持ちしました。」
「……ありがとう??でも?何で??」
にっこり笑ってカレンがテーブルに置いてくれたトレーには、濃いめのブラックコーヒー。
一応ミルクと砂糖が添えられ、軽食としてキッシュが乗っていた。
あまりのタイミングの良さに目を丸くする俺に、カレンは得意げに笑ってみせる。
「旦那様?私はこの家の家守りですよ?ママが見ている事は基本、全部私も知っています。」
「………ぜ、全部?!」
「あ!もちろんお風呂や寝室など!皆様のプライベートに関わる部分については、何か異変がない限りは見ておりませんよ?!」
「そ、そうなんだ……。」
うっかり忘れそうになるが、カレンはカレンとしての存在がある前に、この家そのものの一部なのだ。
だから家の中で起きている事は全て把握していて当然と言えば当然なのだが冷や汗が出た。
プライベートな部分は見ていないというが、家であんな事やこんな事をする時は気をつけよう……。
カレンは「では、他の仕事がありますので。」と言って部屋を出て行った。
心なし焦る俺を気にすることなく、ノルはカレンが持ってきてくれたコーヒーを飲みながらもぐもぐとキッシュを食べている。
俺は気持ちを切り替えるために大きく深呼吸をし、コーヒーを飲んだ。
「ノルはこの後、ゆっくりお風呂に入ってちゃんと食事して、一眠りしておいてね。」
「サークは??」
「一休みしたら王宮に装置の完成の報告と、魔力を入れてもらってた大型魔力電池を取りに宮廷魔術師本部に行ってくるよ。試運転に必要だろ??」
ここまでの組み立てに伴う試運転は持ち合わせの魔力電池と俺の魔力で行っていたが、本番はそうは行かない。
俺は機械に組み込まれるし、かと言ってぞろぞろと魔力の高い魔術師なんかを入れる訳にも行かない。
そこで大型の魔力電池を作り、宮廷魔術師の皆に魔力を入れてもらったのだ。
本番さながらの試運転をするとなると、それできちんと装置が作動及び機能し続けるかも確かめて置かなければならない。
ノルはキッシュの残りを飲み込むと、不思議そうな顔をする。
「サークも今日は徹夜したじゃないか。」
「ノルと違って他の日はちゃんと寝てたし、時間を見て仮眠を取るから大丈夫。それよりノル。試運転をしてみて問題なければ、悪いけどいったん王宮に移って欲しい。」
「……どうしてだい?」
「万が一を考えた時、ノルはここにいるべきじゃない。」
俺はずっと考えていた事をノルに伝えた。
その瞬間、ノルの顔つきが険しくなる。
「……そういう事なら、嫌だね。」
「ノル!!」
俺が何を言いたいのか、全てを語らずとも理解したのだろう。
とても気に入らないと言いたげに、ノルは正面から俺と向き合った。
「何でここまで来て僕だけ除け者にするんだ!サーク!!」
「ノルは自分の価値をわかっていない!!ノルは古代科学技術研究の最高権威、ノックス・リー・バンクロフト博士だ!!この世に二人としていない!だからもしもの時に巻き込む事はできない!!」
ノルを除け者にしたいんじゃない。
だがノルは、もしもの時に失われていい存在じゃない。
この短期間にこの装置を完成させる程の天才だ。
傍から見れば物凄く簡単に作ってしまったからそれがどれだけ凄いことなのかわかりにくいだろうが、この数日、それを手伝う形でその才能を目の当たりにし、俺は改めてノルの存在の大きさと世界における彼の重要性を肌で感じた。
「でも僕は研究者である前にサークの友達だ!!」
「俺だってそう思ってる!だからこそ!ノルにここにいて欲しくない!!ノルを巻き込みたくないんだ!!」
「絶対に嫌だ!!ここまで巻き込んでおいて!!僕だけ仲間はずれにするな!!」
「ノル!!」
仲間はずれにしたいんじゃない。
でも世界におけるノルの存在意義が大きすぎる。
そんな才能溢れたノルだからこそ、俺は友人として危険から遠ざけたいと必死になった。
自分で巻き込んでおいて都合のいい事を言っているのはわかっている。
でもノルはもしもの時に巻き込まれていい人間じゃないんだ。
「頼む、ノル。色々無理を頼んでおいて勝手な事を言っているのはわかってる。でも、俺はノルを友人としても研究者としても尊敬している。危険に巻き込みたくないんだ!」
「僕は嫌だ!!絶対に嫌だ!!ここにいる!!だいたい!本番の作動時に装置に異常が出たらどうする気なんだ?!」
「それは俺が……。」
「君は装置と繋がって、王子様とラニ君と仮想精神空間を繋ぐ役割をするんだろう?!」
「それは……。」
「だから絶対に嫌だ!!君の友達としても!研究者としても!僕は最後までこの件に付き合うぞ!!」
「ノル……。」
「この装置は僕が作った!誰よりもこの装置の事を知っている!!非常事態に対応できる技術者は僕しかいない!!」
「でも……!」
「でももだってもない!!いいかい?!この装置が今回の計画の一番大きな安全装置なんだよね?!なのにその安全装置の安全が確保されてない中で、君は計画を遂行するつもりなのか?!この装置がどれだけ正常に作動するかに全員の安全がかかっているんだぞ?!なのにその技術者をその場から排除するなんてトチ狂ってる!サークらしくない判断だ!!だいたい君が僕の立場だったら!絶対にひかないだろう?!違うか?!」
そう捲し立てられ、俺は困ってしまった。
ノルの言っている事は最もだ。
でもノルの才能は、この世界における存在意義の重要性は、それを遥かに上回るのだ。
「ノル、それでも……。」
「君の言い分はわかる!だが言っている事は間違ってる!!必要なのは!僕をここから遠ざける事じゃない!!君が僕を絶対に守り切る覚悟だ!!違うか?!サーク!!」
「!!」
そう言われてしまい、俺は固まった。
そうか、そういう事かと俺は目元を手で庇って天井を見上げた。
俺はもしもの事を恐れた。
元々もしもなんて起きてはいけないのに、それを恐れた。
そしてそれにノルが巻き込まれないようにと考えてしまった。
何だよ俺、ダメダメじゃん。
絶対にラニを守らなきゃとか言ってたのに、準備が整ってきてそれが目前に迫ったら逃げ腰になってて……。
そうだ、忘れていた。
そこにはラニがいる。
当然、リアナも出てけと言っても出ていかないだろう。
アレックだっているし、義父さんも、ブラハムさんもファーガスさんも、皆いるのだ。
何より殿下を救いたいから、この計画を立てたんだろう?!
なのに、何でもしもの事ばかり考えているんだ?俺は……。
計画実行が目の前に迫り、弱気になっていた。
それが思わぬ形で指摘された。
俺は顔を戻し、ムスッとむくれているノルに苦笑いした。
何か、目が覚めた。
そう思った。
「ごめん、そうだな。そうだよなぁ~。」
「……わかったならいい。」
むくれるノルの頭をぽんぽんする。
こんな時だけど、本当、ノルの天パーって凄いよな。
弾力が半端ない。
思わず笑ってしまった。
「僕はここにいる。最後まで付き合うよ、サーク。」
「うん。よろしくお願いします。バンクロフト博士。」
俺が改めてお願いすると、ノルは機嫌が治ったのかにこにこ笑った。
そして俺の手を握り、ブンブンと一方的な握手をする。
「この計画の後は、簡易ゲートの件と君の研究所の件が残っている事を忘れないでくれよ?!今度こそ、きっちり話をつけるからね?!」
「え?!もうそっちの事考えてるの?!ノル?!」
「当然だよ。僕が何をしにこの都市に来たと思っているんだ??」
そう言ったノルの顔は本気だった。
俺はちょっと血の気が引いた。
「さて!ならゆっくりお風呂に入って!僕は一眠りさせてもらうよ!!何か一段落ついたらお腹も空いてきたなぁ~。」
切り替えが早いというか、何と言うか……。
天才の頭の構造って、本当、凄いというか若干よくわからない……。
ノルはのほほんとそう言いながら、着替えを取りに寝室に行ってしまった。
そこまでの切り替えができない俺は、頭の中が混乱し、正常に戻るまで少しの時間を要したのだった。
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