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王太子シャルル
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シャルルの生い立ちは複雑だ。
1403年、フランス王シャルル6世(狂気王)と王妃イザボー・ド・バヴィエールの5番目の息子としてパリで誕生した。
しかし、父王は精神疾患に苦しみ、母は政治的に敵対派(イングランド寄り)と手を組んでいたため、幼少期から王家は分裂状態だった。
そんな中、兄たちが次々と亡くなり、1413年(10歳)に末子に近かったシャルルが王太子(ドーファン) となる。
その時にマリーと婚約が結ばれた。
自分の味方になってくれたマリーの父アンジュー公にシャルルは深く感謝した。
しかし、1418年に敵対派がパリを占領し、母に見捨てられてロワール地方へ逃れる。
その後、悪名高い1420年の「トロワ条約」で、イングランド王ヘンリー5世がフランス王位継承者とされ、シャルルは「王位を奪われた王子」となった。
シャルルを襲った悲劇はそれだけではない。
イングランド王ヘンリー5世の妃となった、シャルルの姉カトリーヌとシャルルの母イザボーは、シャルルが王の子ではないと言ったのだ。
カトリーヌの産む子の正当性を持たせるための虚言だったのか、はたまた真実だったのか…
母イザボー自身の奔放さも相まって、噂は真実味を帯びていく…
以降シャルルは、正統な王の子ではないのかあるいは狂人の子なのか、悩むことになるのである。
この一連の出来事は、当然シャルルの性格に黒い影を残した。
フランス王家の血を色濃く引きながら、シャルルの美しさはどこか影がある。
また、マリーの実家の後ろ盾があってこその王太子とわかっているせいか、シャルルはわがままも言わず、いつもマリーを優先してくれる。
いつまでも薄い膜を張ったような、シャルル自身に触れれないもどかしさのようなものはあるものの、マリーはシャルルの憂いを帯びた美しさも、控えめなところも、優しさも大好きだった。
シャルルが触れるのも、近くに寄るのを許すのもマリーだけ。
それは当たり前のことで、これからもそうであるはずなのに…
なぜだろう。
心がざわつく…
あのダークブラウンの少女の存在が、王妃になるための淑女たれと鍛え上げられたマリーの心に、小さな小さなさざ波を齎した。
1403年、フランス王シャルル6世(狂気王)と王妃イザボー・ド・バヴィエールの5番目の息子としてパリで誕生した。
しかし、父王は精神疾患に苦しみ、母は政治的に敵対派(イングランド寄り)と手を組んでいたため、幼少期から王家は分裂状態だった。
そんな中、兄たちが次々と亡くなり、1413年(10歳)に末子に近かったシャルルが王太子(ドーファン) となる。
その時にマリーと婚約が結ばれた。
自分の味方になってくれたマリーの父アンジュー公にシャルルは深く感謝した。
しかし、1418年に敵対派がパリを占領し、母に見捨てられてロワール地方へ逃れる。
その後、悪名高い1420年の「トロワ条約」で、イングランド王ヘンリー5世がフランス王位継承者とされ、シャルルは「王位を奪われた王子」となった。
シャルルを襲った悲劇はそれだけではない。
イングランド王ヘンリー5世の妃となった、シャルルの姉カトリーヌとシャルルの母イザボーは、シャルルが王の子ではないと言ったのだ。
カトリーヌの産む子の正当性を持たせるための虚言だったのか、はたまた真実だったのか…
母イザボー自身の奔放さも相まって、噂は真実味を帯びていく…
以降シャルルは、正統な王の子ではないのかあるいは狂人の子なのか、悩むことになるのである。
この一連の出来事は、当然シャルルの性格に黒い影を残した。
フランス王家の血を色濃く引きながら、シャルルの美しさはどこか影がある。
また、マリーの実家の後ろ盾があってこその王太子とわかっているせいか、シャルルはわがままも言わず、いつもマリーを優先してくれる。
いつまでも薄い膜を張ったような、シャルル自身に触れれないもどかしさのようなものはあるものの、マリーはシャルルの憂いを帯びた美しさも、控えめなところも、優しさも大好きだった。
シャルルが触れるのも、近くに寄るのを許すのもマリーだけ。
それは当たり前のことで、これからもそうであるはずなのに…
なぜだろう。
心がざわつく…
あのダークブラウンの少女の存在が、王妃になるための淑女たれと鍛え上げられたマリーの心に、小さな小さなさざ波を齎した。
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