私のための小説

桜月猫

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38話

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 体操服に着替えた公達は運動場で準備運動をおこなっていた。そこにやってきた体育教師。

「今日はドッチボールをするぞ!」

 早速チームわけをおこなうと、公・朧月を中心としたマトモチーム10人と庵・中二を中心とした変人チーム10人にわかれた。

「作者!変人チームとはなんだ!」
「そうだ!我がいるのだから勇者チームでいいだろ!」

 中二はいうまでもないが、庵もけっこう中二に近いところがあるから変人チームなのよ。

『あ~』

 周りからの納得の頷きに2人はショックを受けた。

 まぁ、変人チームに入ってしまった人達は災難だとは思うけどね。

「仕方ないか」「あの2人がメインのチームだからな」

 諦めの言葉を言いながら変人チームのメンバーはコートに入っていった。

「納得するな!」
「そうだ!我らは納得してないぞ!」
「うるさい。さっさとコートに入れ」

 公と朧月に背中を蹴られた2人はコートに入った。

 ルールは以下の通り。

・最初の外野は1名。
・ボールを当てられたら外野に出る。
・外野がボールを当てた場合は復活。ただし、外野1名は必ず残ること。
・内野から横にいる外野へ、横にいる外野から内野へのパスは禁止。ただし、外野が横から狙う分はOK。
・ボールは取った人間が必ず投げること。内野・外野内でのパスは禁止。
・相手の内野を全滅させるか、終了時に内野の人数が多い方の勝ち。

「ということで、両チームのリーダーは前へ」

 体育教師の言葉のマトモチームからは公が、変人チームからは中二が前に出てきた。

「じゃんけんしろ」
『最初はグー。じゃんけんぽん』

 公がパーで中二がグー。負けた中二は落ち込んだ。

「ボールはマトモチームからでスタートだ」

 体育教師からボールを受け取った公とまだ落ち込んでいる中二がコートに戻ると体育教師が笛を吹いた。

「試合開始!」

 すると、速攻とばかりに公は落ち込んでいる中二を狙った。

「アブねっ!」

 間一髪で避けた中二だが、ボールを受けた外野からさらに狙われたのでなんとか受け止める。

「アッブねー!」
「油断すんじゃねーよ!」

 庵に頭を叩かれた。

「公!卑怯だぞ!」
「ボーとしてるお前が悪い」
『うんうん』

 味方からも頷かれて孤立無援の中二は「うがー」と叫んだかと思うと、公めがけて投げ返す。

「おっと」

 あっさり受け止めた公はおもいっきり投げるフリをして外野へパス。パスを受けた外野は逃げ遅れた相手を確実にアウトにする。

 なんか地味で面白味がないわ。

「ドッチボールに面白味なんて求めるな」

 いえ、私は面白味も求めるわ。だから、超常ドッチボールよ。

「ちょ!まさか!」


          *


「うおぉぉぉぉぉ!」

 中二がボールをかかげると、ボールを炎が包み込んだ。

「くらえ!」

 投げられた炎のボールを公は慌てて避ける。

「作者!当たれば死ぬぞ!」

 大丈夫だって。ドッチボールっていうゲームなんだし、死にはしないし、現実に戻れば元通りになるからね。それに、公だって似たようなこと出来るんだからね。

「知らねーよ!」
「公アブねー!」

 朧月の言葉に振り返った公の目の前に巨大化したボールが迫っていた。

「なっ!」

 慌てながらも公は真正面からボールを受け止めにかかるも、ボールの勢いに押されてジリジリとセンターラインに近づいていく。

「そのままラインをこえろ!」
「耐えろよ!公!」

 最後の力を振り絞ってどうにかセンターラインギリギリで公が踏みとどまると、しだいにボールは縮んでいき、もとの大きさに戻って公の手におさまった。

「はぁ、アブね~」

 油断大敵だね。

「だね。じゃねーよ!こんなのもはやドッチボールですらねーじゃねーか!」

 でも、やるしかないのよ?このドッチボールを。

「クソッ!」

 悪態をついた公がボールを見ると、自分の能力がなぜかわかった。
 公の能力はボールに雷をまとわせること。

"試しに"

 能力を意識すると、ボールに雷がまとわりついた。
 そのまま中二めがけて投げつけると、バチバチという音をたてながら高速で迫ったが、中二の前に3人が集まるとシールドが現れてボールを止めた。

「これは!?」

 驚きながら公は聞いてきた。

 能力には3種類。
 攻撃・防御・回復。
 攻撃は公や中二が使ったような能力でチームに5人。
 防御はシールドを張ることが出来て攻撃を防げるが、シールドには強度があるので、連続で使うとシールドが破壊される。これはチームに3人。
 回復は攻撃でのダメージやシールド強度を回復できる。ただし回数が5回と制限がある。チームに2人。

 というわけだから。

「そういう説明は先に言ってくれ」

 H(変人チーム)1がボールを持ったが、ボールには変化なし。しかし、油断せずに構えていると、H1は朧月を狙った。
 朧月はボールを受け止めたが、「冷たっ!」とボールを離してしまった。

「おっと」

 M(マトモチーム)3がなんとか地面につく前に受け止めた。

「サンキュー」
「いいってことよ。しかし、どうしたんだ?」
「ボールが氷みたいに冷たかったんだよ」

 朧月は両手に「ハァー」と息を吐いた。

「受け止めれないことはないんだが、厄介だな」
「なぁ、俺、防御なんだけど?」
「投げるしかないだろ。あと外野のM10がなにかってのが問題だな」
「なら、外野に投げてみるか」

 M3が山なりのボールをM10に投げると、ボールを受けたM10が投げた。すると、ボールが3つのわかれた。

「分身魔球か!」

 庵は叫びながら自分に向かってきたボールを受けようとしたが、ボールは消え去った。

「ハズレか!」

 庵が他のボールを見ると、H5がボールを受け止めていた。
 すると、H5は外野のH10にパスをした。
 H10が投げるとまたボールは巨大化してM2を襲った。

「ぐぁっ!」

 受け止めきれずにM2はアウトになった。
 落ちて転がるボールを朧月が拾うと、庵を見た。

「カモーン」

 庵が手招きをして挑発したので朧月がボールを投げつけた。
 投げたボールには変化はない。
 しかし、庵が受けた瞬間大爆発。

『!!!』

 予想外の能力に誰もが驚いた。
 そんな中、爆煙が晴れた中から黒焦げアフロになった庵が現れた。

「あれ、生きてるのか?」

 もちろん生きてるわよ。

 庵が口をあけると黒煙があがった。

「ホントに生きてるのか?」

 だから、生きてるって。

 庵の手からボールが落ちた。

「庵。アウト」

 しかし、庵は動かない。

「ってか、よくこんな危ない能力使ったな」

 公はなんとも言えない表情で朧月を見た。

「あいつが挑発してきたからな」
「だからってな………」

 公が苦笑していると、庵が倒れた。

「ホントに生きてるんだろうな!?」

 だから生きてるわよ。

 すると、変人チームの内野がぞろぞろと外野に移動し始めた。

「あれ?」
『棄権します』

 まぁ、あんなの見たらそうなるよね~。

 唯一残っているのは中二のみ。

「我は逃げない」

 中二はボールをわざと朧月の前に転がした。

「かかってくるがよい」
「後悔するなよ」

 ボールを手に取った朧月は中二におもいっきり投げつける。
 宣言通り、中二は逃げずに受け止めて大爆発。

『……………………』

 誰もが見つめる中、爆煙の中から現れたのはやっぱり黒焦げアフロの中二。

「わ、我は負けてない」
『!!!』

 中二が喋ったことに全員が驚いた。そんな中、1歩踏み出した中二は前のめりに倒れこんだ。

「中二。アウト。変人チーム全滅。マトモチームの勝利」


          *


 現実に戻ってくると、庵も中二も元通りに戻り、何事もなかったように笑っていた。

「ホントに元通りになるんだな」

 だから言ったでしょ。

 公がなんとも言えずにいると、チャイムが鳴って授業が終わったので、公はため息を吐いて更衣室に向かった。
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