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閑話休題 -アクアポッツォ街道-
閑話休題 -04話-[ポルタフォール~アクアポッツォ道中Ⅱ]
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ポルタフォールを出て3日目。
時刻は朝8時を回った頃であり、
テント内ではまだ眠っている人もいる。
俺はあまり音を立てないように朝食の準備をしていた。
今日はテントの近くで食べられる野草を見つけたので、
サラダにして燻製肉も小さく切って散りばめ、
ポルタフォールの宿屋で使われていたドレッシングを掛ける。
ちなみにこのドレッシングは、
宿の店主の奥さんが調合した品物で店売り品ではない。
鼻歌混じりにパンをフライパンで焼いていると、
アクアが起き出してきた。
『ますた~、ふぁーあ。おはよう~』
「おはよう。顔は洗ったか?」
『うんう、いまから~』
竜玉に顔を突っ込み目をぱちぱちしたり、
ごしごしと洗っている。
生活用品を入れている箱からタオルを出して隣で終わるのを待つ。
『ぷはぁー!』
「ほら、こっちに顔向けな」
『あい』
擦らないようにパンパンと押し込むように拭いていく。
タオルはひとまずインベントリに入れて朝食の準備に戻る。
『りょうりってたのしい?』
「まぁまぁかなぁ。
どちらかと言えば作った物を食べて貰えるのが嬉しく感じるかな」
『あくあもつくっていい?』
「え゛?」
はやくも我が子が料理がしたい宣言をしてきた。
どうしようかな。
確かにお手手は小さいが、にぎにぎも出来るし、
やれないことは無いと思うけど・・・
「アクア、俺の指を全力で握ってくれる?」
『あい』
人差し指を立ててアクアの前に出すと、
アクアは右手でにぎにぎしてきた。
2ヶ月くらいして初めて判明するアクアの利き腕だった。
指先に圧迫感はあるし、
アクアの顔も頑張ってますと書いてあるが、
残念ながらこの程度ではまだ何かを切ったりは出来ないだろう。
「うーん、まだ握力が足りないね。
料理をするにはナイフを持って力を込めないといけないんだよ。
アクアの手じゃ小さいし、食材を切るための握力がないんだ」
『そうなんだ・・・。なにかできることある?』
諦めない。
なんて愛らしいんだ。
「じゃあ、こういう草が近くに生えているから、
もう少し抜いてきてくれるか?」
『わかったー!あっち~?』
モンスターも湧いてなかったし、
いたとしても対処できるだろう。
サンプルを渡してアクアを見送る。
『おはようございます、お父さま』
「あぁ、おはよう。クー」
次女が起きて来た。
さっきのタオルを少し濡らして顔を拭いてあげる。
そのまま木陰で毛ずくろいを始めたので料理に戻ることにした。
焦がさないように弱火で焼いていくので時間が掛かる。
三枚目を焼き始めた頃にアクアが出稼ぎから帰ってきた。
『ますたー、とってきたよ~』
『お姉さま、おはようございます。
どこかに行ってたのですか?』
『ますたーのおてつだいでそとにでてたんだよ~』
クーに報告をしながら俺に野草を渡してくる。
量的にはひとり分が増えた程度だが、
正直にいえば数日分を回収しておきたかった。
もちろん食料は持ち込んでいるが、
基本的に保存食なので新鮮味がないのだ。
こういう瑞々しい野菜類は現地調達が出来れば、
食卓に1品増やすことに繋がる。
「ありがとう、アクア」
『まだほしそうだね~』
「まぁね。道中初めて見つけたからね。
ここ以外だと手に入らないかも知れないし」
『じゃあまたいってくるよー!』
「待て待て、数が欲しいからクーも連れていきなさい」
『クーもですか?』
「この野草を数日分を確保してきてほしいんだよ。
場所はアクアが知ってるし、
インベントリに保冷箱を入れてアクアに着いていってくれないか?」
『わかりました』
『はことってくる~』
そのまま姉妹はフィールドから旅立っていった。
クーも少しは陽の光に耐性が付いてきたのか、
日中でも時々顔を出すようになった。
いまは朝方だし、森の中に行ったので木陰も多い。
パンもいい感じに焼きあがったので、
残りの2人を起こして先に食べさせて、
アクア達が帰って来たらサンドイッチを作って一緒に食べよう。
* * * * *
「とっても美味しそうなんですが、食料に野菜ってありましたかね?」
「いや、朝方外に出たら野草があったから取ってきたんだよ」
「・・・食べられる草ですか?」
「なんなら、食べなくてもいいんだよ?
俺とアクアで食べちゃうから」
「い、いいえ!食べますよもちろん!
ただ、野草と聞いて少し不安になっただけで。ねぇ、メリー?」
「(モグモグ)」
「メリー!!」
朝から賑やかな姫様にきちんと調べてきた植物で、
下処理までしているから不潔ではないことも教える。
「まぁ、お兄さんを信じているから食べられますが、
これが見ず知らずの行商人から差し出されたら絶対に食べないですよ」
「出自不明の野草ですからね。私達も知識がありませんし」
「そもそも、どこで野草の知識を?」
「王都にある本屋さんで見かけたからね、
買って読んだら城の蔵書として寄贈したよ」
「私達も知らない私達の世界の知識を使うとは。
お兄さんは異世界人の自覚があるんですか?」
なぜ怒られているのだろうか。
プリプリしながら美味しそうに食べる姿に口角が上がる。
脇を見るとアクアも嬉しそうにアルシェ達を見ていた。
* * * * *
お腹も膨れ、アクアも食べ終わったので、
メリーに入れてもらった食後の一杯を飲みながら、
アクアポッツォについて聞いてみた。
「港町で有名な街なんですよ。
丁度いまの時期に[ブルーウィスプ]って現象が発生する観光名所ですね」
「今の時期ってこの世界の1年ってどういう計算なんだ?」
「四神にあやかって、風の月、火の月、土の月、水の月です」
「ちなみにいまは火の月の丁度もっとも暑い期間ですね」
四季と同じでそれ自体が月に分かれているのか。
いまは真夏って事は、8月中旬から9月中旬辺りなのかな。
「アルシェの誕生日はいつになるんだ?」
「私は水月52日です。こちらももっとも寒い頃ですね」
「私は風月18日が誕生日です」
聞かれたアルシェだけでなく、
メリーも自己主張してきた。
「なるほどね。
じゃあ俺は水月20日くらいかな?」
「元の世界はどのような暦だったのですか?」
「こっちは1年が12月に分かれていて、
ひと月が28~31日で、1年365日の計算だった」
「・・・細かいですね」
「まぁ、昔の人が考えた暦だし、
季節にズレが無ければ問題ないよ」
「季節とは?」
「こっちに季節はないのか?
水の月は寒くなるし、火の月は暑くなるんだろ?」
「あぁ、季節とは気温の上下現象の事ですか」
こういった冒険とはあまり関係の無い話は、
食事時にする機会が多い。
さて、話を戻そう。
あ、精霊達はコールでお話中です。
「で、ブルーウィスプってのは何なんだ?」
「夜になると海の中で炎の様な灯りが灯るんです」
「原因は?」
「昔は調べる人も多かったのですが、
結局解明出来ずじまいでした。
お茶の追加を致しますね」
「ありがとう、メリー。
結果的に害はないと判断されて、
今では観光の一環になってるんです」
「ふぅーん」
海の中の炎か。
まさか人魚とか関わってないだろうな。
「その地に人魚の伝説とかあったりする?」
「いいえ?人魚の話は聞かないですね」
「人魚ではなくカエルなら居ますけれどね」
「は?カエル?」
「カエルはカエルなんですけど、
カエル妖精という種族なんですよ」
それはそれで面白い体験が出来そうだ。
「そのカエル妖精は人間と一緒に暮らしてるのか?」
「いいえ、アクアポッツォから少し離れた孤島に暮らしています。
そこに大きな沼がありまして、
沼でしか育たない植物で生計を立てているんですよ」
「いつでも、誰でも会いに行けるのか?」
「それが見た目が変わる種族でして、
島の外に出ると水に触れただけでカエルになってしまうんです。
なので、妖精だと知るのは町長と取引をする商会の一部だけで」
「街の人には秘密なのか。
まぁ、バレたら騒ぎにはなるかもなぁ」
空になったカップへメリーがお茶を注いでくれる。
ありがとうと声を掛けて口をつける。
やっぱミルクティーが一番旨いよな。
外だとストレートしか飲めない悔しさよ。
「アルシェはコンタクトが取れるのか?」
「王族として視察に遠征する時に顔は出しますよ。
同い年の女の子と話すのは楽しかった記憶がありますし」
「なら、アクアポッツォに着いたら挨拶がてら顔を出しに行こう」
「私は街で情報収集しておりますので、
皆様だけで行ってらっしゃいませ」
「わかった。この期間限定で起こる病気とかがないか調べておいてほしい」
「かしこまりました」
あと2日ほどで到着予定だ。
時刻は朝8時を回った頃であり、
テント内ではまだ眠っている人もいる。
俺はあまり音を立てないように朝食の準備をしていた。
今日はテントの近くで食べられる野草を見つけたので、
サラダにして燻製肉も小さく切って散りばめ、
ポルタフォールの宿屋で使われていたドレッシングを掛ける。
ちなみにこのドレッシングは、
宿の店主の奥さんが調合した品物で店売り品ではない。
鼻歌混じりにパンをフライパンで焼いていると、
アクアが起き出してきた。
『ますた~、ふぁーあ。おはよう~』
「おはよう。顔は洗ったか?」
『うんう、いまから~』
竜玉に顔を突っ込み目をぱちぱちしたり、
ごしごしと洗っている。
生活用品を入れている箱からタオルを出して隣で終わるのを待つ。
『ぷはぁー!』
「ほら、こっちに顔向けな」
『あい』
擦らないようにパンパンと押し込むように拭いていく。
タオルはひとまずインベントリに入れて朝食の準備に戻る。
『りょうりってたのしい?』
「まぁまぁかなぁ。
どちらかと言えば作った物を食べて貰えるのが嬉しく感じるかな」
『あくあもつくっていい?』
「え゛?」
はやくも我が子が料理がしたい宣言をしてきた。
どうしようかな。
確かにお手手は小さいが、にぎにぎも出来るし、
やれないことは無いと思うけど・・・
「アクア、俺の指を全力で握ってくれる?」
『あい』
人差し指を立ててアクアの前に出すと、
アクアは右手でにぎにぎしてきた。
2ヶ月くらいして初めて判明するアクアの利き腕だった。
指先に圧迫感はあるし、
アクアの顔も頑張ってますと書いてあるが、
残念ながらこの程度ではまだ何かを切ったりは出来ないだろう。
「うーん、まだ握力が足りないね。
料理をするにはナイフを持って力を込めないといけないんだよ。
アクアの手じゃ小さいし、食材を切るための握力がないんだ」
『そうなんだ・・・。なにかできることある?』
諦めない。
なんて愛らしいんだ。
「じゃあ、こういう草が近くに生えているから、
もう少し抜いてきてくれるか?」
『わかったー!あっち~?』
モンスターも湧いてなかったし、
いたとしても対処できるだろう。
サンプルを渡してアクアを見送る。
『おはようございます、お父さま』
「あぁ、おはよう。クー」
次女が起きて来た。
さっきのタオルを少し濡らして顔を拭いてあげる。
そのまま木陰で毛ずくろいを始めたので料理に戻ることにした。
焦がさないように弱火で焼いていくので時間が掛かる。
三枚目を焼き始めた頃にアクアが出稼ぎから帰ってきた。
『ますたー、とってきたよ~』
『お姉さま、おはようございます。
どこかに行ってたのですか?』
『ますたーのおてつだいでそとにでてたんだよ~』
クーに報告をしながら俺に野草を渡してくる。
量的にはひとり分が増えた程度だが、
正直にいえば数日分を回収しておきたかった。
もちろん食料は持ち込んでいるが、
基本的に保存食なので新鮮味がないのだ。
こういう瑞々しい野菜類は現地調達が出来れば、
食卓に1品増やすことに繋がる。
「ありがとう、アクア」
『まだほしそうだね~』
「まぁね。道中初めて見つけたからね。
ここ以外だと手に入らないかも知れないし」
『じゃあまたいってくるよー!』
「待て待て、数が欲しいからクーも連れていきなさい」
『クーもですか?』
「この野草を数日分を確保してきてほしいんだよ。
場所はアクアが知ってるし、
インベントリに保冷箱を入れてアクアに着いていってくれないか?」
『わかりました』
『はことってくる~』
そのまま姉妹はフィールドから旅立っていった。
クーも少しは陽の光に耐性が付いてきたのか、
日中でも時々顔を出すようになった。
いまは朝方だし、森の中に行ったので木陰も多い。
パンもいい感じに焼きあがったので、
残りの2人を起こして先に食べさせて、
アクア達が帰って来たらサンドイッチを作って一緒に食べよう。
* * * * *
「とっても美味しそうなんですが、食料に野菜ってありましたかね?」
「いや、朝方外に出たら野草があったから取ってきたんだよ」
「・・・食べられる草ですか?」
「なんなら、食べなくてもいいんだよ?
俺とアクアで食べちゃうから」
「い、いいえ!食べますよもちろん!
ただ、野草と聞いて少し不安になっただけで。ねぇ、メリー?」
「(モグモグ)」
「メリー!!」
朝から賑やかな姫様にきちんと調べてきた植物で、
下処理までしているから不潔ではないことも教える。
「まぁ、お兄さんを信じているから食べられますが、
これが見ず知らずの行商人から差し出されたら絶対に食べないですよ」
「出自不明の野草ですからね。私達も知識がありませんし」
「そもそも、どこで野草の知識を?」
「王都にある本屋さんで見かけたからね、
買って読んだら城の蔵書として寄贈したよ」
「私達も知らない私達の世界の知識を使うとは。
お兄さんは異世界人の自覚があるんですか?」
なぜ怒られているのだろうか。
プリプリしながら美味しそうに食べる姿に口角が上がる。
脇を見るとアクアも嬉しそうにアルシェ達を見ていた。
* * * * *
お腹も膨れ、アクアも食べ終わったので、
メリーに入れてもらった食後の一杯を飲みながら、
アクアポッツォについて聞いてみた。
「港町で有名な街なんですよ。
丁度いまの時期に[ブルーウィスプ]って現象が発生する観光名所ですね」
「今の時期ってこの世界の1年ってどういう計算なんだ?」
「四神にあやかって、風の月、火の月、土の月、水の月です」
「ちなみにいまは火の月の丁度もっとも暑い期間ですね」
四季と同じでそれ自体が月に分かれているのか。
いまは真夏って事は、8月中旬から9月中旬辺りなのかな。
「アルシェの誕生日はいつになるんだ?」
「私は水月52日です。こちらももっとも寒い頃ですね」
「私は風月18日が誕生日です」
聞かれたアルシェだけでなく、
メリーも自己主張してきた。
「なるほどね。
じゃあ俺は水月20日くらいかな?」
「元の世界はどのような暦だったのですか?」
「こっちは1年が12月に分かれていて、
ひと月が28~31日で、1年365日の計算だった」
「・・・細かいですね」
「まぁ、昔の人が考えた暦だし、
季節にズレが無ければ問題ないよ」
「季節とは?」
「こっちに季節はないのか?
水の月は寒くなるし、火の月は暑くなるんだろ?」
「あぁ、季節とは気温の上下現象の事ですか」
こういった冒険とはあまり関係の無い話は、
食事時にする機会が多い。
さて、話を戻そう。
あ、精霊達はコールでお話中です。
「で、ブルーウィスプってのは何なんだ?」
「夜になると海の中で炎の様な灯りが灯るんです」
「原因は?」
「昔は調べる人も多かったのですが、
結局解明出来ずじまいでした。
お茶の追加を致しますね」
「ありがとう、メリー。
結果的に害はないと判断されて、
今では観光の一環になってるんです」
「ふぅーん」
海の中の炎か。
まさか人魚とか関わってないだろうな。
「その地に人魚の伝説とかあったりする?」
「いいえ?人魚の話は聞かないですね」
「人魚ではなくカエルなら居ますけれどね」
「は?カエル?」
「カエルはカエルなんですけど、
カエル妖精という種族なんですよ」
それはそれで面白い体験が出来そうだ。
「そのカエル妖精は人間と一緒に暮らしてるのか?」
「いいえ、アクアポッツォから少し離れた孤島に暮らしています。
そこに大きな沼がありまして、
沼でしか育たない植物で生計を立てているんですよ」
「いつでも、誰でも会いに行けるのか?」
「それが見た目が変わる種族でして、
島の外に出ると水に触れただけでカエルになってしまうんです。
なので、妖精だと知るのは町長と取引をする商会の一部だけで」
「街の人には秘密なのか。
まぁ、バレたら騒ぎにはなるかもなぁ」
空になったカップへメリーがお茶を注いでくれる。
ありがとうと声を掛けて口をつける。
やっぱミルクティーが一番旨いよな。
外だとストレートしか飲めない悔しさよ。
「アルシェはコンタクトが取れるのか?」
「王族として視察に遠征する時に顔は出しますよ。
同い年の女の子と話すのは楽しかった記憶がありますし」
「なら、アクアポッツォに着いたら挨拶がてら顔を出しに行こう」
「私は街で情報収集しておりますので、
皆様だけで行ってらっしゃいませ」
「わかった。この期間限定で起こる病気とかがないか調べておいてほしい」
「かしこまりました」
あと2日ほどで到着予定だ。
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